SUPER GT第3戦セパンは、ウイダー HSV-010が完勝
GT300は、HANKOOK PORSCHEが優勝

GT500クラスで優勝した、ウイダー HSV-010

2012年6月10日決勝開催



 6月10日、2012 AUTOBACS SUPER GT第3戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」の決勝レースがマレーシア、セパンサーキットで開催された。GT500クラスは18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)がスタートからトップの座を譲らず完勝、昨年に続きセパン2連勝を飾った。GT300クラスは33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)が独走し今季初優勝となった。

 全8戦で争われるSUPER GTシリーズで唯一の海外戦となる第3戦は、マレーシア・クアラルンプール郊外のセパン・インターナショナル・サーキットで開催された。セパン・サーキットはほぼ赤道直下にあるため、高温多湿でドライバー、タイヤに厳しいレースとなる。また、スコールに見舞われるケースもあり、波乱のレースとなることも予想される。決勝日はレース直前まで快晴。スタートの頃には薄曇りとなったが、路面温度は50度ほどでタイヤに厳しいレースとなった。

GT500クラス
 第2戦を終えドライバーズポイントは以下のとおり。ウエイトハンディはポイントの2倍となり、10ポイントなら20kgになる。トップの100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)は30ポイントを獲得しているため、ウエイトハンディは60kgとなる。

GT500ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)30
2位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)23
3位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)22
4位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)19
5位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)16
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)14
7位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8
8位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)7
9位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)7
10位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)6
11位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)6
12位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)5
13位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)1

 前日に行われた予選でポールポジションを獲得したのは18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)。開幕戦7位、第2戦9位と出遅れただけに、昨年優勝しているセパンで巻き返しを図りたいものだ。予選前の公式練習でトップタイムを出していた6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)は予選Q1でエンジンブロー、エンジンを積み替え最後尾からのスタートとなるが、マシンの調子がよいだけに追い上げが期待される。

 16時(日本時間17時)フォーメーションラップがスタートした。セーフティーカー先導で普段より1周多く2周をラップし、決勝のスタートが切られた。決勝レースは54周だが、フォーメーションラップが2周となったため53周でゴールとなる。

GT500クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)4コーナーでは18号車、38号車の順で進入

 ポールポジションの18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)がトップをキープ、2位以下も順位の変動はなくクリーンなスタートが切られた。最後尾スタートの6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔)は1コーナーで32号車 EPSON HSV-010(道上龍)、4コーナーで17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘)を抜きオープニングラップでポジションを2つ上げた。

 2周目のバックストレートで24号車 D'station ADVAN GT-R(ビヨン・ビルドハイム)の右リアタイヤがバースト。早々にリタイヤとなった。

 レース序盤はトップの18号車 ウイダー HSV-010と2位の38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)が3位以下を引き離した。3位争いは23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)が12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)と36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)を押さえ込む形となった。

 最初に23号車 MOTUL AUTECH GT-Rのブロックを突破したのは12号車 カルソニックIMPUL GT-R。4周目の最終コーナーでインに飛び込み3位に浮上。クロスラインでメインストレートで再度併走されるが、続く1コーナーのインをキープし23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを突き放した。

23号車、12号車、36号車の3位争い12号車が3位に浮上

 続いて36号車 PETRONAS TOM'S SC430も23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに襲いかかるが、簡単には抜くことができず、8周目の4コーナーでようやくパスし4位にポジションアップした。

23号車と36号車は数周にわたりバトルした

 トップ争いは18号車 ウイダー HSV-010が38号車 ZENT CERUMO SC430を引き離すかと思われたが、38号車 ZENT CERUMO SC430が3秒前後の差で食らいつきピットインまでその差をキープした。

トップ18号車と2位38号車は3秒差で走行を続けた5位23号車から100号車、19号車、35号車、6号車と続く

 6号車 ENEOS SUSTINA SC430は最後尾から怒濤の追い上げを見せた。1周目に2台を抜き13位に浮上すると2周目に11位、4周目に10位、7周目に9位、10周目に8位、12周目には7位までポジションアップした。

11位を走る6号車39号車を抜き9位35号車を抜き8位

 15周目には23号車 MOTUL AUTECH GT-Rと5位争いをする100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也)に追い付き、16周目の4コーナーでインを取り6位浮上。そのまま23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを攻め立て17周目の最終コーナーでピッタリ背後に迫り18周目の1コーナーでアウト側からオーバーテイクし5位まで浮上した。

7コーナーで19号車のインに飛び込む6号車19号車を突き放した
100号車を抜き6位浮上23号車も抜き5位

 24周目に前を行く36号車 PETRONAS TOM'S SC430と12号車 カルソニックIMPUL GT-Rがピットインしたので3位、26周目には2位の38号車 ZENT CERUMO SC430もピットイン、見かけ上の順位だがついに2位までポジションアップし27周目にピットイン、大嶋選手にドライバー交代を行った。

 トップの18号車 ウイダー HSV-010も27周目にピットイン。トップの座を譲ることなくコースに復帰。後半のスティントを担当するカルロ・ヴァン・ダム選手は初めてGT500クラスのトップを走ることとなった。

 18号車 ウイダー HSV-010と上位陣の前半のタイム差をグラフにしてみた。38号車 ZENT CERUMO SC430はスタート直後は差が開くが、その後は3秒ほどの差をキープしている。12号車 カルソニックIMPUL GT-R、36号車 PETRONAS TOM'S SC430はそれぞれ4周目、8周目まで23号車 MOTUL AUTECH GT-Rのペースに付き合わされているが、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを抜くとペースアップしていることが分かる。

 6号車 ENEOS SUSTINA SC430は最後尾から各車を抜く間はトップと差が開いているが、18周目に23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを抜き前が開けると、トップとの差を縮めるほどラップタイムが上がっている。9周目10周目にタイム差が縮まっているのはトップの18号車 ウイダー HSV-010がGT300クラスの集団を周回遅れにする際にラップタイムが落ちたためで、後続も直後にGT300クラスの集団と遭遇するためすぐにタイム差は広がっている。

 各車がピットインを終えた28周目の段階でトップは18号車 ウイダー HSV-010。2位は3.6秒差で38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)、3位は7.6秒差で12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生)、4位は19秒差で36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)、5位は21秒差で6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)となった。

 ここから2位の38号車 ZENT CERUMO SC430がトップの18号車 ウイダー HSV-010との差を一気に縮めた。29周目に1.7秒、30周目に0.34秒とその差を縮め背後に迫るが抜くまでにはいたらない。少し差が開いた後34周目に再び0.34秒差まで迫るが抜くことはできなかった。

トップ2台はテール・トゥ・ノーズとなるが徐々にその差は開いた

 6号車 ENEOS SUSTINA SC430は後半のスティントも勢いをキープ、30周目に36号車 PETRONAS TOM'S SC430を捕らえ4位にポジションアップ。42周目には12号車 カルソニックIMPUL GT-Rの背後に迫り表彰台をかけたバトルが始まった。

 テール・トゥ・ノーズで最終コーナーを立ち上がり43周目の1コーナーをアウトから大外刈りで並びかけた。インアウトが入れ替わる2コーナーで6号車 ENEOS SUSTINA SC430が先行するが、12号車 カルソニックIMPUL GT-Rがクロスラインで立ち上がり3コーナーでやや先行。続く4コーナーでインとなった6号車 ENEOS SUSTINA SC430が抜き去り3位へ。

 これで勝負は決まったかと思われたが、12号車 カルソニックIMPUL GT-Rは続く高速S字の1つ目でアウトから抜き返しに出るが、レコードラインの外にたまったタイヤカスでペースダウン、6号車 ENEOS SUSTINA SC430は12台抜きで3位のポジションを獲得した。

 後方では7位を走行していた1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝)がタイヤバーストしスピン、6位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430を巻き込みコースオフ。2台ともリタイヤとなった。また、後半スティントで順位を上げた39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一)がペースの落ちた12号車 カルソニックIMPUL GT-Rを残り6周で抜き4位に浮上した。

12号車を抜き3位表彰台へ36号車と1号車の争いはマシントラブルでリタイヤへ

 トップ争いは一時はテール・トゥ・ノーズとなったが、18号車 ウイダー HSV-010がその差を3秒ほどに広げそのまま逃げ切り今季初優勝。チームは昨年に続きセパン2連勝となった。カルロ・ヴァン・ダム選手はGT500クラス3戦目でうれしい初優勝を飾ることとなった。

 2位には38号車 ZENT CERUMO SC430が入りポイントラインキング1位に返り咲き。最後尾から怒濤の追い上げを見せた6号車 ENEOS SUSTINA SC430が3位表彰台を獲得した。

最終ラップの最終コーナー。18号車の後方に38号車、はるか後方には6号車38号車は2位でゴールへGT500クラスの表彰式(Photo:Burner Images)

 後半スティントも含めた上位陣のタイム差のグラフを見ると12号車 カルソニックIMPUL GT-R、36号車 PETRONAS TOM'S SC430、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは18号車 ウイダー HSV-010との差徐々に開いていくのに対し、6号車 ENEOS SUSTINA SC430は18周目に23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを抜いた後はその差を縮めている。

 たらればの話しとなるが、6号車 ENEOS SUSTINA SC430が予選上位からスタートしていたら、タイムだけ見れば充分優勝できる実力があったことが分かる。

 第3戦GT500クラスの最終順位とドライバーズポイント。

GT500最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)
2位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
3位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)
4位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)
5位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
6位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)
7位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
8位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)
9位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)
10位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)
11位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)
12位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)
13位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ロイック・デュバル)
14位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)

GT500ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)38
2位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)35
3位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)30
4位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)26
5位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)22
6位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)20
7位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)14
8位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)13
9位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)12
10位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8
11位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)7
12位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)6
13位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)5
14位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)2
15位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)1


GT300クラス
 GT300クラスは第2戦を終えた段階で、トップは0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)。0号車 GSR 初音ミク BMWは31ポイントを獲得しているため、ウエイトハンディは62kgとなる。前回の富士で、デビュー戦ながら表彰台を獲得し、ポテンシャルの高さを見せた66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)はミッショントラブルにより2速が使えない状況で決勝の臨むこととなった。

GT300ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)31
2位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)26
3位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂/加藤寛規)19
4位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)18
5位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)13
6位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)11
7位15号車 ART TASTE PORSCHE(ティム・ベルグマイスター/土屋武士)8
8位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)6
9位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)5
10位87号車 JLOC ランボルギーニ GT3(山西康司/山内英輝)4
11位30号車 IWASAKI MODAクロコ apr R8(岩崎祐貴/坂本雄也)3
12位21号車 ZENT Audi R8 LMS(都筑晶裕/シンディ・アレマン)2
13位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)2
14位27号車 PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ(山岸大/井口卓人)1
15位52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)1

 予選で圧倒的な速さを見せたのは33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)。2位は87号車 JLOC ランボルギーニ GT3(山西康司/山内英輝)、3位は911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)と、今回もFIA-GT勢が上位を独占した。

GT300クラスのスタートシーン。2位を争う911号車が1コーナーで単独スピン(Photo:Burner Images)

 決勝レースのスタートはポールポジションの33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美)がトップをキープするが、2位争いをした911号車 エンドレス TAISAN 911(横溝直輝)が1コーナーで単独スピン。最後尾まで順位を落としてしまった。

 スピンしたマシンを避けるため後続車はやや混乱し、アウト側に逃げた0号車 GSR 初音ミク BMW(片岡龍也)、4号車 GSR ProjectMirai BMW(番場琢)が順位を落とした。

 トップの33号車 HANKOOK PORSCHEはスタート直後から快走を見せ独走態勢を築いた。2位争いはランボルギーニ同士のバトルとなったが、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学)が87号車 JLOC ランボルギーニ GT3(山西康司)を12コーナーで抜き2位にポジションアップした。

スタートから33号車が飛び出し、独走態勢を築いた
ランボルギーニ同士の2位争いは88号車に軍配

 予選10位のポジションからスタートした2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(加藤寛規)は、1周目で7位にポジションアップ、7周目に3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正)、8周目に31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男)、10周目には52号車 GREEN TEC & LEON SLS(黒澤治樹)を抜き4位まで浮上。3位の87号車 JLOC ランボルギーニ GT3に追い付きテール・トゥ・ノーズの争いに持ち込んだ。

0号車と競う2号車0号車に競り勝ち7位
3号車を抜き6位52号車を抜き4位
3位の87号車を追う87号車がピットインするまで抜くことはできなかった

 ミッショントラブルを抱えながらも快走を見せたのは66号車 triple a Vantage GT3(星野一樹)だ。14番グリッドからスタートし1周目を12位で終えると、2周目に11位、4周目に10位、7周目に9位と着実にポジションアップ。911号車 エンドレス TAISAN 911に抜かれ一旦10位に後退するも、13周目に31号車 apr HASEPRO PRIUS GT、0号車 GSR 初音ミク BMWを抜き8位、21周目に3号車 S Road NDDP GT-Rを抜き7位とトラブルを感じさせない走りを見せた。

66号車はスタートで4号車の後方12位4号車を抜き11位8位の0号車を攻める66号車
31号車、0号車を抜き8位7位の3号車に迫る

 スタート直後のスピンで最後尾に落ちた911号車 エンドレス TAISAN 911だったが、怒濤の追い上げであっと言う間に順位を上げてきた。1周目2台を抜き19位、2周目には4台を抜き15位、3周目に14位、5周目に13位、7周目に10位とポイント圏内まで急上昇した。

 10周目には66号車 triple a Vantage GT3を抜き9位、12周目に31号車 apr HASEPRO PRIUS GT、0号車 GSR 初音ミク BMWを抜き7位、20周目に3号車 S Road NDDP GT-R、22周目に52号車 GREEN TEC & LEON SLSも抜き、2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電に次ぐ5位までポジションを回復した。

911号車は最後尾から追い上げを開始した15位に浮上66号車を抜き9位
0号車も抜き7位へ3号車を抜き6位へ5位の52号車に迫る911号車

 一方、スタートから我慢の走りを見せたのが0号車 GSR 初音ミク BMWだ。タイヤ温存、燃費セーブに徹した走りで7位をキープ。31号車 apr HASEPRO PRIUS GTを抜き、911号車 エンドレス TAISAN 911、66号車 triple a Vantage GT3に抜かれ8位に後退するもグッと我慢の走りを続け19周目に他車より一足早くピットイン、給油とドライバー交代を行い、タイヤ交換はせず短いピットインで谷口選手がコースに復帰した。

0号車はペースを維持して8位付近で走行を続けた

 決勝の周回数はGT500クラスは53周だが、GT300クラスは49周でゴールとなる。折返しとなる24周あたりで上位陣のピットインが始まった。87号車 JLOC ランボルギーニ GT3、911号車 エンドレス TAISAN 911、52号車 GREEN TEC & LEON SLS、3号車 S Road NDDP GT-Rが24周目、トップの33号車 HANKOOK PORSCHEが25周目、66号車 triple a Vantage GT3が26周目にピットインを行った。

見かけ上のトップを走る2号車

 いつもどおり加藤選手がギリギリまで引っ張る作戦の2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電はそのまま走行を続け26周目に見かけ上のトップに立ち、32周目にピットインを行った。

 最後にピットインした2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂)がコースに戻った段階の順位はトップが33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)、13.6秒差の2位に2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電、14.2秒差の3位に0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)、25秒差の4位に911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔)、27秒差の5位に3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛)、40秒差の6位に66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹)、45秒差の7位に52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典)となった。

 この段階の順位を見ると0号車 GSR 初音ミク BMWのタイヤ無交換作戦が功を奏したように見える。トップと0号車 GSR 初音ミク BMWがピットインする前のタイム差は23.5秒、33号車 HANKOOK PORSCHEがアウトラップを終えた時点のタイム差は4.8秒、18.7秒も短縮している。ピットインする周のラップタイム(インラップ)、ピットアウトした周のラップタイム(アウトラップ)の合計タイムを比較するとその差は歴然だ。

マシンラップタイム計タイム差
0号車05:18.9 -
2号車05:33.614.8
33号車05:41.822.9
3号車05:44.926.0
911号車05:45.827.0
52号車05:52.633.7
66号車05:56.637.7

 インラップ、アウトラップの合計には走行タイム、給油時間、タイヤ交換などとなるが当然作業ミスなども含まれるので単純に比較することはできないが、タイヤ無交換で20秒以上稼いだことは間違いないだろう。数字からは2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電の燃費のよさ、66号車 triple a Vantage GT3、52号車 GREEN TEC & LEON SLSの燃費のわるさも垣間見られる。

 残り17ラップはコース上での争いだ。33周目に0号車 GSR 初音ミク BMWが2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電を抜き2位に浮上。2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電は37周目に911号車 エンドレス TAISAN 911、3号車 S Road NDDP GT-Rに抜かれ5位、42周目には66号車 triple a Vantage GT3にも抜かれ6位まで後退した。これでほぼ順位は確定かと思われたが最終ラップに大幅に順位が代わることとなった。

ピットアウト直後の2号車に迫る0号車911号車、3号車も2号車を抜いていった

0号車は後続との距離をコントロールし2位フィニッシュと思われたが

 タイヤ無交換作戦が成功し2位フィニッシュかと思われた0号車 GSR 初音ミク BMWが最終ラップにガス欠となり10コーナーでストップ、ミッショントラブルをものともせず怒濤の追い上げを続けた66号車 triple a Vantage GT3が最終ラップのバックストレートで3号車 S Road NDDP GT-Rに追い付いた。

911号車と3号車は終盤僅差のバトルを続けた
最終ラップ直前。911号車、3号車、その後ろに66号車が近付いてきた最終ラップの最終コーナー。911号車は2位確実。3位争いは最後のコーナーへ

 最終ラップの最終コーナー。66号車 triple a Vantage GT3は3号車 S Road NDDP GT-Rのインに飛び込み逆転、この周で5位から3位に順位を上げ表彰台を奪取した。

 2位は最後尾から快走を続けた911号車 エンドレス TAISAN 911。終始安定した走行を続けた33号車 HANKOOK PORSCHEは後方のドラマを尻目に余裕でトップチェッカーを受けた。ハンコックタイヤらしく勝つときは他を圧倒する速さを見せ今季初優勝となった。

66号車が3号車のインに飛び込み3位表彰台を獲得した

 GT300クラスも優勝した33号車 HANKOOK PORSCHEと上位陣のタイム差をグラフで見てみよう。グラフが上に突き抜けるのは33号車 HANKOOK PORSCHEより先にピットインしタイム差が1分強ほど広がったとき、下に突き抜けるのは33号車 HANKOOK PORSCHEより後にピットインし1分強ほど先行したことを表す。このグラフでは2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(紫線)、66号車 triple a Vantage GT3(オレンジ線)が後にピットインを行っている。

GT300クラスの表彰式(Photo:Burner Images)

 0号車 GSR 初音ミク BMWがピットイン前の24秒差(A)をタイヤ無交換作戦で5秒(B)に縮め、8位から3位に躍進した様子が見て取れる。グラフ線の傾斜からはタイヤ温存、燃費セーブで後続とのタイム差を計算しペースを上げず2位狙いのラップを刻んだ走りも感じられる。また、66号車 triple a Vantage GT3のピットインでのロスが大きいこととレース終盤の怒濤の追い上げの様子も見て取れる。

 GT300クラスの上位陣の順位とドライバーズポイント。

GT300クラス順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
2位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)
3位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)
4位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)
5位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂/加藤寛規)
6位52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)
7位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)
8位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)
9位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)
10位4号車 GSR ProjectMirai BMW(番場琢/佐々木雅弘)


GT300ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)33
2位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)31
3位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)30
4位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)26
5位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂/加藤寛規)25
6位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)22
7位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)15
8位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)8
9位15号車 ART TASTE PORSCHE(ティム・ベルグマイスター/土屋武士)8
10位52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)6
11位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)5
12位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)5

 このレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。次戦は7月28日、29日にスポーツランドSUGO(宮城県)で開催される。


(奥川浩彦)
2012年 6月 18日