NEXCO東日本、高速道路の死亡事故が激増中と注意を呼びかけ
道央自動車道の開通も告知。7月定例記者会見より

NEXCO東日本定例記者会見

2012年7月26日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は7月26日、定例記者会見を開催した。6月の営業概要のほか、高速道路の死亡事故の増加や、道央自動車道の開通などについて発表した。

2012年6月の営業概要
 2012年6月の営業概要は、通行台数が日平均264万台と対前年比4.2%減、料金収入が510億8700万円と対前年比14.6%増となった。また、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の売上高は、103億3300万円と対前年比6.7%減となった。

 昨年の6月19日までは地方部上限1000円の特別割引があり、また20日以降は被災者、避難者、そして復興支援のため東北地方の高速道路の無料化措置があった。今年は被災者支援の特別処置が行われているのみとなっており、またその対象人数も昨年に比べ少なくなっているため、通行台数は減少、料金収入は増加となった。PA/SAも、通行台数が減ったことから売上高が減少している。これらは、東北地方の無料化措置終了後続く傾向となっている。

増加する高速道路の死亡事故
 NEXCO東日本管内の高速道路の死亡事故は、2007年以降2010年まで連続で減少してきたが、2010年の年間49名(事故率0.1人/億台キロ)と比べて2011年は59名(事故率0.16人/億台キロ)と増加に転じた。そして、2012年は6月までに44人(事故率0.27人/億台キロ)と激増している。

 この死亡事故人数には、関越自動車道で7人が死亡したバス事故も含まれているが、それを除いても増加しており、同社としても対応に苦慮していると言う。

 死亡事故でとくに増えているのが、「高速道路上で人をはねてしまう」「停止車両への衝突事故」の2つ。本来自動車・二輪車しか走っていない高速道路上だが、車両が故障した際や事故などを起こした際に、高速道路本線上を歩き、後続車両にはねられ死亡した人は半年で10名になる。また、渋滞後尾や事故・故障車に衝突する・されるなどして死亡した人は17名になる。

 NEXCO東日本としては、「高速道路本線上を歩き回らない」「事故・故障などで停止する際は、三角停止板を必ず使う」などの注意喚起を行っていく。

死亡事故の経年推移
死亡事故の特徴

道央道 大沼公園IC~森IC間が開通
 道央自動車道 大沼公園IC~森IC間が11月10日に開通することも発表された。道央道 大沼公園IC~森IC間の延長9.7kmの開通によって、道央道がより南に延び、今年7月3日にラムサール条約に登録された大沼を含む大沼国定公園へのアクセスがこれまでより向上する。

 この区間では対面通行区間に新たにワイヤーロープ式の防護柵を採り入れ、重大事故の低減が期待できると言う。開通時期に関しても、今年は2月、3月の積雪が少なかったことなどから工事が進捗し、当初予定より4カ月早く開通することとなった。

開通区間開通告知ポスター

NEXCO東日本代表取締役社長 廣瀨博氏

就任1カ月が経過した廣瀨新社長
 廣瀨氏がNEXCO東日本代表取締役社長に就任して約1カ月が過ぎた。就任してまず行ったのは、経営改革や現場の視察だと言う。経営に関しては、新しい経営会議を発足。取締役6人で、できるだけスピーディな経営判断を行っていく。

 そのほか、役員連絡会を設置。取締役会の決議事項、経理概況、各種委員会コンプライアンス委員会の開催状況になどについて、取締役、監査役、執行役員で情報共有を行い、さまざまな事象にあたっていく。

 NEXCO東日本管内には、北海道支社、東北支社、関東支社、新潟支社と4支社があるが、現場の視察は、すでに東北支社、関東支社について行った。関東支社は、事業規模から同社において大きなウエイトを占めており、現在工事中の三郷南などを視察。この区間は、住居地、ライフライン、鉄道を横切っていく工事となっており、高架、掘り割りスリット、高架でつないでいく大変な工事であることを実感したと言う。

 また、東北支社においては、雪が降るまでに本格復旧を成し遂げる必要があり、工事の際の車線規制など「ドライバーのみなさんにはお詫びを申し上げたい」と述べるとともに、「今年中になんとしてもやり遂げる」と語った。新潟支社の視察は。7月29日の週に行い、その後北海道支社の視察を行うとのことだ。

 社長就任から1カ月で印象に残ったのは、NEXCO東日本の現場力だと言い、「現場は大変な使命感を持ってやってくれている。現場力はすごい」と語った。

(編集部:谷川 潔)
2012年 7月 30日