トヨタ、中間決算は純利益で対前年比472.1%増の5482億円
東日本大震災の影響から回復。通期見通しは200億円増の7800億円

決算を発表する、トヨタ自動車 取締役副社長 小澤哲氏(右)、専務役員 早川茂氏(左)

2012年11月5日発表



 トヨタ自動車は11月5日、2013年3月期 第2四半期決算を発表。説明会を東京本社で開催した。

 発表によると、連結販売台数は第2四半期累計(6カ月累計)で451万6000台となり、前年同期比149万台増となった。第2四半期のみ(3カ月)のみで、224万7000台(対前年比44万2000台増)となっている。連結決算は、第2四半期累計で売上高10兆9083億円、営業利益6937億円、当期純利益5482億円となり、純利益で対前年比472.1%増。この純利益増要因として、営業面の努力で5800億円、原価改善努力で2300億円を挙げ、昨年は東日本大震災の影響があり生産への影響が出たこと、前半はエコカー補助金があり販売増となったことが影響している。

 この傾向は、所在地別営業利益で顕著に表れており、所在地別営業利益で2759億円の赤字だった日本が2508億円の黒字と約5000億円の利益改善となった。また、北米も政府の支援策などがあり増益、欧州も微増、アジアは中国の減益要因はあるものの、東南アジア地域などでは過去最高の勢いだと言う。

連結販売台数連結決算要約(6カ月累計)純利益増減要因(6カ月累計)
連結決算要約(3カ月)純利益増減要因(3カ月累計)所在地別営業利益(6カ月累計)
所在地別営業利益(3カ月累計)金融セグメント営業利益持分法投資損益

 また、トヨタ自動車単体の決算では、第2四半期累計で、売上高4兆8792億円、営業利益677億円、経常利益4055億円、純利益3168億円となった。とくに本業の儲けを示す営業利益が3223億円の赤字から677億円の黒字へと好転。これらにより、中間配当は昨年の20円から10円増の30円となった。

単独決算要約(日本基準・6カ月累計)中間配当は10円増の30円

 通期見通しについては、連結販売台数で5万台の減。純利益で200億円の上方修正を行い、7800億円とした。

2013年3月期通期見通し、連結販売台数2013年3月期通期見通し、連結決算2013年3月期通期見通し増減要因、連結決算
2013年3月期通期見通し、単独決算2013年3月期通期見通し、台数(トヨタ・レクサス)

中国の影響については、20万台、300億円の影響を見込む
 これほどの好決算となった理由としては、東日本大震災からの回復やエコカー補助金の影響、北米での新型カムリやカローラ、RAV4の販売の好調があるとし、生産の原価改善など大きく影響していると、小澤副社長は言う。

 しかしながら、「前半期の費用の出方が遅れており、後半期にずれている」などもあり、「実力以上の結果が出ている。追い風参考記録と言える」(小澤副社長)と、厳しい見方を示した。

 下半期は、エコカー補助金も終わり、すでに販売台数への影響が出始めている。また、尖閣問題に端を発した中国での生産・販売問題があり、「中国の影響については、先行きの見通しを出すことは極めて困難」(小澤副社長)としながら、「見通し不透明な中で『えいっと』数字を置いた」「20万台程度の影響があるという前提で(通期の)決算を組んでいる。純利益で300億円程度の収益インパクトがある」とのこと。今後については、「中国は世界最大の自動車市場でもあるので、決まっていることについては粛々と進めていく。それ以降のことについては、コメントを差し控えたい」と語った。

 また、国内のもの作りに関しては「(トヨタの)競争力の源泉であるもの作りの現場は守っていかなければならない。その中で300万台は必要だと思っている。この方針は不変である」と語り、国内300万台という生産ボリュームの予定に変更はないものの、これを維持するには、国内150万台、輸出150万台という環境が必要であると言い、健全な国内自動車市場のためには、とくに消費税との二重課税となっている車体課税の撤廃が必要であるとした。

(編集部:谷川 潔)
2012年 11月 5日