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トヨタ、通期営業利益見通しが1兆1500億円に

単独決算の通期営業利益見通しは1500億円、5年ぶりの黒字に

2013年3月期第3四半期決算発表会に出席した早川茂専務役員(左)と、伊地知隆彦取締役・専務役員
2013年2月5日開催

 トヨタ自動車は2月5日、東京本社において2013年3月期第3四半期(10月~12月)決算発表会を開催。第3四半期では、本業の儲けを示す通期営業利益の見通しを、第2四半期時点の1兆500億円の黒字から1兆1500億円の黒字に1000億円引き上げた。また、トヨタ単独決算の通期営業利益見通しも、200億円の赤字から1500億円の黒字へと1700億円引き上げ、5年ぶりの単独決算での黒字見通しとした。

 発表によると、連結販売台数は第3四半期累計(9カ月累計)で前年同期比163万4000台増の662万9000台。連結決算は、第3四半期累計で売上高5兆3187億円、営業利益1247億円、当期純利益999億円で、純利益は対前年比23.4%増となっている。

 当期純利益の増減要因について、発表会に出席した伊地知隆彦取締役・専務役員は「当期純利益は999億円と、前年同期と比べて189億円の増益となった。これは支援先の皆様と一体となった原価改善の活動ですとか、海外市場での販売台数の増加、厳しい円高が若干緩和したことなどが増益要因となった」と説明。

 第3四半期の所在地別営業利益については、日本ではエコカー補助金終了後の市場の落ち込みなどはあったものの、原価改善や為替変動の影響などにより増益(前年同期から462億円増の156億円)となったほか、アジアではタイ洪水による供給不足の反動等により、前年同期から513億円増の917億円と大幅な増益となった。

第3四半期と第3四半期累計(9カ月累計)の連結販売台数
連結決算要約(3カ月)
連結当期純利益の増減要因(3カ月)
連結決算要約(9カ月累計)
連結当期純利益の増減要因(9カ月)
連結販売台数の2013年3月期見通し
連結決算の2013年3月期見通し
営業利益(連結決算)は第2四半期決算時の見通し(1兆500億)から1000億円増となる1兆1500億円を見込んでいる
設備投資、減価償却費、研究開発費の2013年3月期見通し
「営業利益が(1ドル)79円でも収益が出るようなところまで改善できた」と、リーマンショック後から企業体質の改善ができたことに自信を覗かせる伊地知隆彦取締役・専務役員

 伊地知専務は第3四半期を振り返り、「国内ではエコカー補助金の終了で、その反動が市場に表れて市場が低迷してきたこと、あるいは海外では中国において販売が大変厳しい状況に陥ったということで、不安なスタートだった。ただ、国内の減少を北米を中心とした海外でカバーすることができ、また中国でも地道な営業活動を続けることで、その影響を最小限にとどめることができた。おかげさまで、販売台数は前年同期比で14万台の増加となった。収益面では、米国における訴訟の和解に関する一時的な費用(約900億円)を計上したということと、その他の費用がこの第3四半期で厚めに出たということもあり、連結営業利益は249億円の減益となったが、実質的には増益を維持できていると考えている」と述べるとともに、通期については連結の営業利益を1000億円上方修正し、「単独では5年ぶりとなる営業利益の黒字に目処がついた」と説明。

 こうした黒字化ができた背景については、「営業面での地道な活動や、品質の向上と原価低減などに取り組んできたことなどが、ようやく成果として現れ始めたと考えている」と解説している。

 また、販売・生産面でリーマンショック以前と現在では何が変わったかを問われた伊地知氏は、「リーマンショック前の販売台数は大きく伸びていた。これに加え、原価改善・収益改善を進めていたが、一方で将来に向けた投資を相当やっており、結果的に収益改善と台数の伸びが、固定費の伸びに相殺され、残念ながら残ったのは円安によるメリットだけだった。要は円安のメリットをのぞくと、収益の構造、損益分岐点は非常にわるくなっていた」と解説。

 こうした反省を踏まえ、リーマンショック以降は固定費を抑えながら粗利を増やしていく活動を進めてきたと言い、「特に台あたりの粗利の改善を行い、毎年3000億円を超える収益改善ができた。一方で固定費もしっかりコントロールして増加をさせない。そのことでここ数年間、トヨタの固定費は増えていない。こうしたことを現場の末端まで浸透させ、オペレーションしてきたことがリーマンショックから変わった点」と述べるとともに、「損益台数、損益分岐点の数字をここで述べるわけにはいかないが、相当程度改善しているということは、例えば単独の営業利益が(1ドル)79円でも収益が出るようなところまで改善できた」とし、円高時においても収益が出る体制になったことについて伊地知専務は自信を覗かせた。

(編集部:小林 隆)