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日産、リーフの発売2周年を祝う「LEAF Owners' Meeting 2012」を開催

誕生の地である追浜工場に173台のリーフが集結

参加したリーフオーナーが集まって記念撮影
2012年12月8日開催

 日産自動車は12月8日、同社のEV(電気自動車)「リーフ」が発売から2年を経過したことを記念し、リーフオーナー同士の交流促進を目的としたイベント「LEAF Owners' Meeting 2012 ~2nd Anniversary in 追浜~」を開催した。

 リーフを日々生み出している日産自動車・追浜工場にあるテストコース「GRANDRIVE」を会場に行われたこのイベントには、関東地方を中心に、遠くは宮城、兵庫などから合計173台のリーフが集まった。

発売からの2年間で全国に旅立っていった173台のリーフが追浜に里帰り! 少しずつ普及し始めてきているとはいえ、これだけのEVが一堂に集まる光景は壮観だ

 イベントは、会場の一角に設営された特設ステージでのオープニングセレモニーからスタートした。開会の挨拶に立った日産自動車 ゼロエミッション事業本部の渡部英朗 執行役員は、会場に集まったリーフオーナーに日ごろの感謝とリーフがデビューしてから現在までの歩みについて口にしたほか、EV普及による社会貢献を目指す日産の取り組みについて説明。「EVの普及は日産自動車だけでは実現できません。国や地方自治体、協賛企業などとの連携に加え、なによりリーフに乗っているオーナー1人1人の意見に耳を傾けて、一歩ずつ改善を続けたいと思っています。みなさんといっしょになって、EVとゼロエミッションの普及を進めたいと考えています。ぜひみなさんの力を我々に貸していただいて、いっしょに少しずつ社会を変えていくといった取り組みにしたいと思っています」とコメントしたほか、リーフは発売からこれまでに4万6000台以上が生産され、クルマから出るCo2排出量を3万7000t削減したというデータを紹介した。

自らもリーフオーナーになり、リーフの魅力を紹介する「リーフアンバサダー」の肩書きを持つ渡部英朗 執行役員
渡部 執行役員と同じく、リーフ開発陣の門田英稔チーフビークルエンジニア(写真左側)、阿部徹チーフプロダクトスペシャリスト(写真右側)の2人もリーフアンバサダーとして参加
屋外に設定された会場は、強風には見舞われたものの、抜けるような青空に恵まれた。冷たい北風対策には、受け付け時に記念品としてプレゼントされたリーフのロゴ入りスタジアムコートが大活躍

 さらにオープニングセレモニーには、国内外のリーフオーナー代表7人が登壇。国内オーナー代表は最遠方の福岡県から来場した奥村浩文さんが務め、海外オーナー代表は、アメリカのシャノン・モンローさん、キミオ・キノシタさん、ゲーリー・リーバーさん、オランダのエドウィン・グラーセルさん、イギリスのイアン・クックさん、ノルウェーのスノアー・スレットボルトさんの6人が参加している。

海外でリーフに乗る6人のオーナーもイベントに参加。イベント中には会場内で日本人オーナーと通訳を介して意見交換する姿も見られた
アメリカのリーフオーナーであるシャノン・モンローさん。「リーフは素晴らしいのひと言だけど、とくにガソリンに頼る生活から解放してくれたのが嬉しい。1歳になる自分の子供はまだガソリン車に乗せたことがなくて、クルマも次世代になっていくと感じるね」とコメント
オランダのエドウィン・グラーセルさんは、リーフ発売前にもEVを所有していて5万kmほど走っていたが、リーフはとても良いクルマなので乗り替えて人生が大きく変わって幸せだと語る
福岡県から来場した奥村浩文さん。リーフの前にはS2000に乗っていたが、燃費について興味が強かったのでリーフに乗り替えたとのこと。フロア下に電池があって低重心なリーフはスポーツカーのS2000と比べてもそん色なく、まだ購入から4か月程度だが、通勤や買い物などで6000kmほど走っているという

 オープニングセレモニーの最後には、リーフが2歳になったお祝いとして、リーフをかたどったバースデーケーキが披露された

7人のリーフオーナー代表の手でバースデーケーキがアンベール
アクアブルーのリーフをモチーフとした特製バースデーケーキ
リーフオーナー代表とリーフアンバサダーによるフォトセッション

 特設ステージではこのほかに、オーナー同士が参加型アトラクションを通じて交流する「コミュニケーションタイム」、テーマに沿ったリーフに対する感想などをツイッターやフェイスブックで投稿する「つぶやきライブセッション」などを実施。ゲームの勝者や投稿内容が紹介された参加者には、特典として「NISSAN LEAF NISMO RC」に同乗試乗する権利が贈られた。

「コミュニケーションタイム」では、参加したリーフオーナーが「同じボディカラーで異なる都道府県に住む5人のリーフオーナーでグループを作る」というミッションに挑む参加型アトラクションを実施。制限時間終了までに10チームが形成され、代表者のじゃんけん勝負で勝ち残った2チームの10人がNISSAN LEAF NISMO RCに同乗試乗した
「リーフオーナーになった理由」、「リーフを買ってよかったこと、変わったこと」などのテーマで、会場にいるリーフオーナーから投稿を募った「つぶやきライブセッション」。投稿文はラジオDJをイメージした2人の司会者によるやりとりで紹介されるほか、大型モニターにも表示

リーフの派生レースマシンと日産EVのルーツとなる“ご先祖様”がデモ走行を披露!

 テストコースの一部を使ったNISSAN LEAF NISMO RCの同乗試乗では、レーシングドライバーの千代勝正選手、佐々木大樹選手の2人がステアリングを握り、ミッドシップレイアウトの本格的レースマシンに変貌したリーフの走行性能をアピールした。

NISMOの鈴木豊監督も見守るなか、幸運にもNISSAN LEAF NISMO RCの試乗権利を手に入れたリーフオーナーが助手席に乗車
NISSAN LEAF NISMO RCの走行シーン
試乗後には記念撮影の時間も設けられた
今年からSUPER GT300クラスにステップアップを果たし、S Road NDDP GT-Rで活躍した千代勝正選手(写真右側)、2012年シーズンの全日本F3選手権でF3Nクラス優勝を果たした佐々木大樹選手(写真左側)がドライビングを担当

 また、半世紀以上前に日本国内で市販されていたEV「たま電気自動車」もデモ走行を実施。日産自動車と合併する以前のプリンス自動車(当時は東京電気自動車)が生産していたこのクルマは、リーフにとってご先祖様とも言える存在なのだ。リーフ同様に音もなくスルスルと走行を開始したたま電気自動車は、特徴的なAピラーの方向指示器を作動させながらリーフオーナーに優雅な定常円旋回を披露した。

1947年製造というたま電気自動車。65年という長い歳月を経て、日産の最新EVオーナーが見守る前でデモ走行を行った

トークセッションの域を超えた真剣討論。メーカー関係者とユーザー双方の熱意がリーフをさらに進化させる

 イベント内の催しとしては一見地味ながら、じつはこのパートを一番の目当てに参加したオーナーも多いのではないかと感じるほど熱気を帯びていたのが「アンバサダーセッション」。3人参加しているリーフアンバサダーと、それぞれ30分に渡ってテーマに基づいた質疑応答をするトークセッションだが、用意されているベンチに座りきれないリーフオーナーが多数立ち見で並び、どの人も表情は真剣そのもの。質問内容も、オーナーならではという具体性の高さ、独自にさまざまな試行錯誤を続けている熱心さが感じられるものとなっており、回答するリーフアンバサダーも、問題点がどんな理由で発生しているのか、メーカーとしてどんな対策を進めているかなどを詳しく説明し、必要な部分は今後担当する部署と協議すると宣言。ときおり拍手が起きるような雰囲気となっていた。

アンバサダーセッションでは11月に行われたマイナーチェンジの内容についても多数のやりとりが交わされた

 印象的なやりとりとしては、「自分はよく出先で急速充電を利用しているが、最近になって充電スポットが増えてきて助かっている。その一方で、歩いても行けるぐらいの範囲に新しくできた4つの充電スポットは、それぞれに1つの充電器しか置いていない。これだと、初めに行った充電スポットに先客がいれば移動しなければならず、狭いエリアに密集しているので逆にどこに行こうか迷ってしまう。リアルタイムの利用状況が分かれば選びようもあるが、そんなシステム作りをする予定はあるのか。また、充電スポットの数だけではなく、1カ所ごとの充電器設置台数を増やすような方向性はないのか」といった質問があり、回答は「自分もリーフオーナーとして充電器の利用状況は知りたいと思っている情報で、充電器側に利用状況を外部に出せるような機能を追加しようと動きを進めているところ。充電スポットは、まずカバーエリアが重ならないよう均等に設置することを念頭に進めてきたが、数も増えてきた現在ではスポットの重複も増えてきていると思う。充電スポットに利便性などの環境整備はそれぞれの運営会社と協議して改善していきたい」と語られた。また、「実用性が高い5ドアだけでなく、EVらしさを生かしたスポーツカーは出せないのか」という要望に対しては、「我々はEVをマーケティングの道具にはしたくなかった。どんな人でも手を出せるクルマにして、台数を売ることでコストを下げることで、ちょっと前は億単位、そこから数千万だった新しいクルマを、補助金を利用しながらでも誰もが手の届く範囲に持ってくるのは大変な作業で、まず“量産車で5人乗り”というコンセプトが決定されています」と基本姿勢が説明された。

 このほか、質問の中でリーフアンバサダーが“これは必要だ、自分も欲しい”と感じた部分は逆に自分から「そんな機能、みなさんも欲しいですよね?」と強調して盛り上げ、リーフオーナーからの大きな拍手を聞きながら「みんなこんなに欲しがってるんだから、がんばらないとね」と、にこやかに担当者に向けてプレッシャーをかけるシーンも見られた。全体の雰囲気としては、質疑応答というよりリーフの開発企画会議、もしくはリーフという存在の将来について語り合う親族会議のようにも感じ、参加者全員が持つリーフに対する熱意がそこはかとなく漂っていた。

テーマは「インフラとEVの将来について」、「バッテリーの航続距離・走行性能について」、「機能・デザイン全般について」の3種類。航続距離については多くのユーザーから「寒くなると航続距離が低下する」と指摘されたが、この理由にはヒーターの使用やバッテリー効率の低下に加え、気温が下がるとタイヤの転がり抵抗が増えることも要因になると紹介された

 イベントの最後には、NISSAN LEAF NISMO RCを先頭に、参加したリーフ全車で2列縦隊を形成。テストコースをゆっくりと1周するパレードランが行われた。

リーフのフラグシップであるNISSAN LEAF NISMO RCを先頭に、約170台のリーフが2列になってパレード走行。生まれ故郷に錦を飾る、まさに凱旋パレードだ
車間距離を保ちながらの安全運転とはいえ、愛車でテストコースを走る貴重な機会となった
会場となったGRANDRIVEでは、歴代日産EVの車両展示などが行われた。たま電気自動車。駆動用モーターは4.5馬力を発生させ、最高速度は35km/h。エンジンルーム内には設計者である田中次郎氏のサインも書かれている
ハイパーミニ(写真左側)と実験車両のEV-02(写真右側)のツーショット
2000年に実際に販売された2人乗り超小型EVのハイパーミニ
キューブキュービックをベースとしたEV量産に向けた実験車両のEV-02。グリルのデザインが雷マークに変更されている
実験車両のEV-12(写真左側)とNISSAN LEAF NISMO RC(写真右側)のツーショット
ティーダをベースとした実験車両のEV-12。フロントノーズの充電リッドにリーフとの共通点が見える
デモ走行でポテンシャルの一端を披露したNISSAN LEAF NISMO RC
2011年の東京モーターショーでも展示されて話題となったNISSAN LEAF NISMO CONCEPT
Kn's Factoryのブースには、コンプリートカーのLEAF Kn's Sports Packageや装着パーツなどが展示された

(佐久間 秀)