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日産、リーフの発売2周年を祝う「LEAF Owners' Meeting 2012」を開催
誕生の地である追浜工場に173台のリーフが集結
(2012/12/13 13:39)
日産自動車は12月8日、同社のEV(電気自動車)「リーフ」が発売から2年を経過したことを記念し、リーフオーナー同士の交流促進を目的としたイベント「LEAF Owners' Meeting 2012 ~2nd Anniversary in 追浜~」を開催した。
リーフを日々生み出している日産自動車・追浜工場にあるテストコース「GRANDRIVE」を会場に行われたこのイベントには、関東地方を中心に、遠くは宮城、兵庫などから合計173台のリーフが集まった。
イベントは、会場の一角に設営された特設ステージでのオープニングセレモニーからスタートした。開会の挨拶に立った日産自動車 ゼロエミッション事業本部の渡部英朗 執行役員は、会場に集まったリーフオーナーに日ごろの感謝とリーフがデビューしてから現在までの歩みについて口にしたほか、EV普及による社会貢献を目指す日産の取り組みについて説明。「EVの普及は日産自動車だけでは実現できません。国や地方自治体、協賛企業などとの連携に加え、なによりリーフに乗っているオーナー1人1人の意見に耳を傾けて、一歩ずつ改善を続けたいと思っています。みなさんといっしょになって、EVとゼロエミッションの普及を進めたいと考えています。ぜひみなさんの力を我々に貸していただいて、いっしょに少しずつ社会を変えていくといった取り組みにしたいと思っています」とコメントしたほか、リーフは発売からこれまでに4万6000台以上が生産され、クルマから出るCo2排出量を3万7000t削減したというデータを紹介した。
さらにオープニングセレモニーには、国内外のリーフオーナー代表7人が登壇。国内オーナー代表は最遠方の福岡県から来場した奥村浩文さんが務め、海外オーナー代表は、アメリカのシャノン・モンローさん、キミオ・キノシタさん、ゲーリー・リーバーさん、オランダのエドウィン・グラーセルさん、イギリスのイアン・クックさん、ノルウェーのスノアー・スレットボルトさんの6人が参加している。
オープニングセレモニーの最後には、リーフが2歳になったお祝いとして、リーフをかたどったバースデーケーキが披露された
特設ステージではこのほかに、オーナー同士が参加型アトラクションを通じて交流する「コミュニケーションタイム」、テーマに沿ったリーフに対する感想などをツイッターやフェイスブックで投稿する「つぶやきライブセッション」などを実施。ゲームの勝者や投稿内容が紹介された参加者には、特典として「NISSAN LEAF NISMO RC」に同乗試乗する権利が贈られた。
リーフの派生レースマシンと日産EVのルーツとなる“ご先祖様”がデモ走行を披露!
テストコースの一部を使ったNISSAN LEAF NISMO RCの同乗試乗では、レーシングドライバーの千代勝正選手、佐々木大樹選手の2人がステアリングを握り、ミッドシップレイアウトの本格的レースマシンに変貌したリーフの走行性能をアピールした。
また、半世紀以上前に日本国内で市販されていたEV「たま電気自動車」もデモ走行を実施。日産自動車と合併する以前のプリンス自動車(当時は東京電気自動車)が生産していたこのクルマは、リーフにとってご先祖様とも言える存在なのだ。リーフ同様に音もなくスルスルと走行を開始したたま電気自動車は、特徴的なAピラーの方向指示器を作動させながらリーフオーナーに優雅な定常円旋回を披露した。
トークセッションの域を超えた真剣討論。メーカー関係者とユーザー双方の熱意がリーフをさらに進化させる
イベント内の催しとしては一見地味ながら、じつはこのパートを一番の目当てに参加したオーナーも多いのではないかと感じるほど熱気を帯びていたのが「アンバサダーセッション」。3人参加しているリーフアンバサダーと、それぞれ30分に渡ってテーマに基づいた質疑応答をするトークセッションだが、用意されているベンチに座りきれないリーフオーナーが多数立ち見で並び、どの人も表情は真剣そのもの。質問内容も、オーナーならではという具体性の高さ、独自にさまざまな試行錯誤を続けている熱心さが感じられるものとなっており、回答するリーフアンバサダーも、問題点がどんな理由で発生しているのか、メーカーとしてどんな対策を進めているかなどを詳しく説明し、必要な部分は今後担当する部署と協議すると宣言。ときおり拍手が起きるような雰囲気となっていた。
印象的なやりとりとしては、「自分はよく出先で急速充電を利用しているが、最近になって充電スポットが増えてきて助かっている。その一方で、歩いても行けるぐらいの範囲に新しくできた4つの充電スポットは、それぞれに1つの充電器しか置いていない。これだと、初めに行った充電スポットに先客がいれば移動しなければならず、狭いエリアに密集しているので逆にどこに行こうか迷ってしまう。リアルタイムの利用状況が分かれば選びようもあるが、そんなシステム作りをする予定はあるのか。また、充電スポットの数だけではなく、1カ所ごとの充電器設置台数を増やすような方向性はないのか」といった質問があり、回答は「自分もリーフオーナーとして充電器の利用状況は知りたいと思っている情報で、充電器側に利用状況を外部に出せるような機能を追加しようと動きを進めているところ。充電スポットは、まずカバーエリアが重ならないよう均等に設置することを念頭に進めてきたが、数も増えてきた現在ではスポットの重複も増えてきていると思う。充電スポットに利便性などの環境整備はそれぞれの運営会社と協議して改善していきたい」と語られた。また、「実用性が高い5ドアだけでなく、EVらしさを生かしたスポーツカーは出せないのか」という要望に対しては、「我々はEVをマーケティングの道具にはしたくなかった。どんな人でも手を出せるクルマにして、台数を売ることでコストを下げることで、ちょっと前は億単位、そこから数千万だった新しいクルマを、補助金を利用しながらでも誰もが手の届く範囲に持ってくるのは大変な作業で、まず“量産車で5人乗り”というコンセプトが決定されています」と基本姿勢が説明された。
このほか、質問の中でリーフアンバサダーが“これは必要だ、自分も欲しい”と感じた部分は逆に自分から「そんな機能、みなさんも欲しいですよね?」と強調して盛り上げ、リーフオーナーからの大きな拍手を聞きながら「みんなこんなに欲しがってるんだから、がんばらないとね」と、にこやかに担当者に向けてプレッシャーをかけるシーンも見られた。全体の雰囲気としては、質疑応答というよりリーフの開発企画会議、もしくはリーフという存在の将来について語り合う親族会議のようにも感じ、参加者全員が持つリーフに対する熱意がそこはかとなく漂っていた。
イベントの最後には、NISSAN LEAF NISMO RCを先頭に、参加したリーフ全車で2列縦隊を形成。テストコースをゆっくりと1周するパレードランが行われた。