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住友ゴム工業、高純度天然ゴム「UPNR(ユーピーエヌアール)」開発
「4D NANO DESIGN」による開発成果。2014年以降の発売製品に投入
(2013/5/27 17:36)
ダンロップやファルケンなどのブランドで知られる住友ゴム工業は5月27日、高純度天然ゴム「UPNR(Ultra Pure Natural Rubber、ユーピーエヌアール)」の開発に成功したと発表した。2014年以降に発売する製品に用いていく。
同日、UPNRに関する説明会を都内で開催。同社は、タイヤ材料開発技術「4D NANO DESIGN」を2011年に発表。この4D NANO DESIGNは、放射光施設「Spring-8」で素材を分析し、分析結果をスーパーコンピューター「地球シミュレータ」で解析シミュレーションするなどで、ゴム中のシリカの3D構造をナノレベルで可視化。得られた知見をタイヤ開発に利用している。
今回発表が行われたUPNRも、4D NANO DESIGNにより天然ゴムを改良したもので、天然ゴム粒子の外周にあるタンパク質とリン脂質を取り除くことで、天然ゴム分子そのものの性能が発揮でき、カーボンとの相互作用が高まるとしている。
これにより、発現する性能として「低発熱性(低燃費性能)」「高耐久性(耐ゴム欠け性/耐クラック性/耐摩耗性向上)」があるとし、2014年以降に発売する、低燃費タイヤをはじめとする一部タイヤに順次採用していく。
現在、このUPNRを製造するパイロットプラントをタイのチョンブリに建設中で、操業開始は2014年1月。年間600tの製造量からスタートし、1500tまでの拡張を予定している。住友ゴム工業は、天然ゴムを年間30万t近く使っていることから、「UPNRは製造コストなども若干上昇することから、プレミアムな製品に用いる」(常務執行役員 中瀬古広三郎氏)と言う。
なお、同社は2013年中に100%石油外天然資源タイヤをダンロップブランドから発売する予定となっているが、このタイヤには今回のUPNRは用いられず、従来タイプのENR(Evolutional Natural Rubber)を用いるとのこと。