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国交省、多軸台車によるお台場中央連絡橋(仮称)の架設を実施
約270tの橋が一晩で架設終了。完成は2013年内
(2013/7/5 13:30)
- 2013年7月2日実施
国土交通省は7月2日の深夜、多軸台車を使ったお台場中央連絡橋(仮称)の架設を実施した。これは、国道357号沿いのお台場中央交差点に歩道橋を設置するための工事で、歩行者の利便性・安全性向上と、交差点の混雑緩和を目的としている。りんかい線東京テレポート駅からフジテレビ方面に向かう途中にある同交差点の「東側橋」を跨ぐ形でX字型の立体歩道橋を架設するもので、橋の長さは最大142m(千葉方面側)。完成は2013年内を予定している。
今回はその第1段階として、組み立て済みの歩道橋中央部を多軸台車で運搬し、「東側橋」中央の開口部に建設済みの橋脚に設置する工事となる。資材置き場として使用されている東京テレポート駅付近の駐車場から橋脚までの移動距離は約100m。
工事が開始されたのは2日の22時頃。工事の大まかな流れは、多軸台車に搭載した歩道橋中央部をまず東側橋上にある橋脚部の脇まで運搬する。その後、多軸台車を入れ替え、歩道橋中央部を横に移動させて橋脚部の上に乗せるというもの。
歩道橋中央部の重量は約270tで、これを4台の多軸台車によって運搬する。4台の台車を使うのは、「東側橋」上を移動する際、歩道橋中央部の重量を分散させ、橋への負担を軽減するため。設置予定の橋脚は「東側橋」中央の開口部にあるため、まずはそこに横付けする形で歩道橋中央部を運搬する。
橋脚に設置するためには歩道橋中央部をこれまでの進行方向からみて横にスライドさせる必要があるが、これを行うには多軸台車を入れ替え、歩道橋中央部を前後のみで支えなければ中央部を支えている多軸台車が邪魔になる。そのためここで歩道橋中央部を支えていた前から3台の多軸台車をここで外し、代わりにより大型の多軸台車によって歩道橋前部を支え、歩道橋中央部の前後だけを多軸台車が支える状態にした。後部を支えていた多軸台車は元々これを想定した大型のものになっており入れ変えは必要がない。この時点で前後を支える多軸台車は国道357号の上下線上に設置されているため、すでに「東側橋」への重量負担は無く、橋を完全に跨いだ状態になっている。
この状態で歩道橋中央部を橋脚に移動させるが、先ほども述べたとおり、橋脚は東側橋の開口部にあるため、万が一何かしらの落下物が発生した場合、その下を走る首都高速道路湾岸線に危害が及ぶ可能性がある。このため、橋脚への移動時の安全性を確保するため、「先頭固定」と呼ばれる手法で一時的に湾岸線の通行を止める手段がとられた。
先頭固定とは警視庁高速道路交通警察隊と首都高パトロールカーを道路上に並列させ、低速走行することでそれより前方に車両が走行できないようにすることで道路に一般車両が進入できない状態にするもの。今回、湾岸線を完全に通行止めにする措置が取れなかったことから、先頭固定の方法で安全な時間を一時的に確保することになった。
先頭固定によって湾岸線の通行が抑制されたのは7月3日の2時15分頃から約20分前後。そのわずかな時間を使って無事に橋脚部分へ移動・設置が完了した。
なお、この後、7月9日、21日にも同様に多軸台車を使った工事が実施されるため、夜間は国道357号、都道臨港道路青梅縦貫線や湾岸線などに通行止や車線規制などが実施される予定。