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メルセデス・ベンツ、「Gクラス」のクリーンディーゼル仕様「G 350 BlueTEC」

23年ぶりのディーゼルエンジン車。1000万円を切る989万円

トリックアートの上に置かれた「G 350 BlueTEC」
2013年9月25日発売

989万円

 メルセデス・ベンツは9月25日、「Gクラス」のクリーンディーゼル仕様「G 350 BlueTEC(ブルーテック)」を発売した。価格は989万円。同日、都内で記者発表会を開催した。

モデルエンジン変速機駆動方式価格
G 350 BlueTECV型6気筒DOHC 3.0リッターディーゼルターボ7速AT4WD9,890,000円

 Gクラスは険しい山道や深い雪山など、過酷な状況に対応できるクロスカントリービークルとして1979年に登場。高いオフロード性能を備え、NATO(北大西洋条約機構)軍をはじめとする各国の軍用車として採用されていることでも有名だ。

 これまでGクラスはV型8気筒DOHC 5.5リッターの「G 550」、V型8気筒DOHC 5.5リッターツインターボの「G 63 AMG」、V型12気筒SOHC 6リッターツインターボの「G 65 AMG」の3モデルの展開だったが、新たにクリーンディーゼルエンジン搭載のG 350 BlueTECを導入する。

 このV型6気筒DOHC 3.0リッター直噴ディーゼルターボエンジンは、燃料噴射時のレスポンスに優れ、高速かつ精密に燃料噴射が行えるというピエゾインジェクターを用いたコモンレール・ダイレクト・インジェクションや、VNT(バリアブルノズルタービン)ターボチャージャーなどを採用し、最高出力は155kW(211PS)/3400rpmとしつつ、540Nm(55.1kgm)/1600-2400rpmという強大なトルク発生。また、排出ガスに高純度尿素水「AdBlue」を噴射することで化学反応(還元作用)を発生させ、有害な窒素酸化物(NOx)を大幅に削減するディーゼル排出ガス処理システム「BlueTEC」を採用することで優れた環境性能を実現。JC08モード燃費は明らかになっていないが、欧州参考値は8.9km/Lとしている。

 これに7速AT「7G-トロニックプラス」を組み合わせ、4輪を駆動する。ちなみにGクラスのディーゼルエンジン搭載は、23年ぶりのこととなる。

G 350 BlueTECのボディーサイズは4530×1810×1970mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2850mm。広いガラスエリアやスクエアなボディー形状はそのままに、ヘッドライト下にLEDドライビングライトなどを採用する
G 350 BlueTECのインテリア。本革シートとスライディングルーフをセットにした「ラグジュアリーパッケージ」(45万円)を装着。後席はバックレストを2:1で前方に倒せるほか、後席の座面を前方に跳ね上げることで2250L(VDA方式)のスペースが出現

 また、現行Gクラスではこれまで左ハンドルのみの設定となっていたが、G 350 BlueTECは右ハンドル仕様とした。さらに、フロントバンパー下部に中・長距離レーダー、リアバンパー左右に短距離レーダーを搭載し、アクセル&ブレーキの自動調整で0-200km/hまで前方の車両との車間距離を維持する「ディストロニック・プラス」、ドライバーの死角スペースを走る車両を検知して知らせてくれる「ブラインドスポットアシスト」(30km/h以上で作動)、40km/h以下でのヘッドライト点灯時にウインカーやステアリングに操作に応じて作動する「コーナリングライト」、駐車支援超音波センサー「パークトロニック」といった安全装備も備える。

 エクステリアデザインは1979年の発表以来のスクェアなフォルムはそのままに、上級グレードと同様のヘッドライト下にLEDドライビングライトなどを備える。

会場にはG 65 AMGも展示。AMGが開発したV型12気筒SOHC 6.0リッターツインターボエンジンを搭載し、最高出力450kW(612PS)/4300-5600rpm、最大トルク1000Nm(102.0kgm)/2300-4300rpmを発生

1000万円を切るGクラス

メルセデス・ベンツ日本 商品企画・マーケティング部 商品企画1課の伊藤節弥氏

 発表会では、メルセデス・ベンツ日本 商品企画・マーケティング部 商品企画1課の伊藤節弥氏がG 350 BlueTECの概要を紹介した。

 今回、GクラスにBlueTECディーゼルエンジン車を導入した経緯については、2010年に発売した先代MクラスのBlueTECモデルが好評だったためで、「先代のML 350 BlueTECは左ハンドル仕様しか導入しなかったにも関わらず、Mクラスの販売台数の約4割を占めていた」(伊藤氏)が、昨年にフルモデルチェンジをして、ML 350 BlueTECは右ハンドル仕様を導入したこともあり、Mクラスの約7割を占めるほどディーゼルモデルが好調と言う。また、「他の国内メーカーやインポーターも順次ディーゼルモデルを拡大しているが、私どもとしても“憧れのSUV”であるGクラスのディーゼル仕様導入を要望しており、ようやくそれが叶った」と述べ、現在のメルセデス・ベンツの中でクリーンディーゼル車が重要なポジションを担うことを説明した。

 また、伊藤氏はG 350 BlueTECの魅力について「動力性能と燃費・経済性に優れ、かつクリーンな排ガス性能を備えたクリーンディーゼルエンジンを搭載したこと」「1000万円を切る989万円という価格設定」「Gクラスとして久しぶりの右ハンドル」の3つであることを説明するとともに、クリーンディーゼルエンジンについてV型8気筒 5.0リッターエンジン並みの540Nmという最大トルクを発生することをアピール。最後に、同社のSUVである「GLKクラス」「GLクラス」「Mクラス」「Gクラス」について触れ、「SUVでは、この4つのラインアップを日本市場でご用意している。さらに小型SUVの導入など、ラインアップが拡大していく予定であり、ぜひご期待いただきたい」とし、概要紹介を終えた。

G 350 BlueTECの魅力
V型6気筒DOHC 3.0リッター直噴ディーゼルターボエンジンの最高出力は155kW(211PS)/3400rpm、最大トルクは540Nm(55.1kgm)/1600-2400rpm。燃費は欧州参考値で8.9km/Lとしている
2006年に導入したEクラスのクリーンディーゼル仕様「E 320 CDI」を皮切りに、積極的にクリーンディーゼルエンジン車を導入している
先代のML 350 BlueTECは左ハンドル仕様しか導入しなかったにも関わらず、Mクラスの販売台数の約4割を占めた。また、昨年にMクラスはフルモデルチェンジをしたが、ML 350 BlueTECに右ハンドル仕様を導入したこともあり、Mクラスの約7割を占めるに至っているという
各社クリーンディーゼル車の販売台数は増加傾向にある
G 350 BlueTECの特長
スライディングルーフ、本革シートをパッケージにした「ラグジュアリーパッケージ」は45万円で用意
「989万円という1000万円を切るプライスタグはインパクトがある」と伊藤氏
現時点の同社のSUVラインアップは「GLKクラス」「GLクラス」「Mクラス」「Gクラス」だが、今後も増やす予定としている
G 350 BlueTEC主要諸元
ステアリング位置
乗車定員5名
最小回転半径6.2m
全長×全幅×全高4530×1810×1970mm
ホイールベース2850mm
トレッド前/後1500/1500mm
車両重量2510kg
エンジンV型6気筒DOHC 3.0リッター直噴ディーゼルターボ
エンジン最高出力155kW(211PS)/3400rpm
エンジン最大トルク540Nm(55.1kgm)/1600-2400rpm
燃料消費率(欧州参考値)8.9km/L
トランスミッション7速AT
駆動方式4WD
ブレーキ(前/後)ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(前/後)265/60 R18

(編集部:小林 隆)