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アフターマーケットショー「SEMA SHOW 2013」国内メーカーリポート

2014年モデルの「シビック・クーペ」や、「マツダ3(アクセラ)」「FR-S(86)」カスタマイズカーがズラリ

会期:2013年11月5日~8日

場所:LAS VEGAS CONVENTION CENTER

 毎年10月の下旬から11月の上旬にかけてラスベガスコンベンションセンターで開催される、世界最大級のアフターマーケットショー「SEMA SHOW」。今年は開催期間を11月初旬にずらし、11月5日~8日の4日間で開催された。

 SEMAとは「Special Equipment Market Association」の略称で、SEMAの会員になっている自動車メーカーやパーツメーカー、ショップなどが一堂に介し、新作パーツや新たに製作したデモカーなどを始め、あらゆるカスタマイズやクルマに関したパーツを披露する。細かいものだとネジ1本から塗料、作業ウェア、電装品まで展示され、その商品点数は膨大になる。

 SEMA SHOWは一般ユーザーを対象にしたショーではなく、トレードショーになるのだが、開催期間の4日間で100万人を超える関係者が来場。それぞれが今年のトレンドや斬新なアイテム、カスタマイズ手法などを食い入るようにチェックするのだ。

 会場となるラスベガスコンベンションセンターは、世界有数の規模を誇るコンベンションセンターで、全ホールを使って開催されるSEMA SHOWは、すべてを把握するには1日や2日では難しいほどの規模。展示される車両も国産車のカスタマイズからアメリカンチューンドカー、オフロードの4×4までバリエーションは豊富。本稿では、国産メーカーのモデルを中心に紹介していきたい。

本田技研工業

 ホンダは、初日に開催されたプレスカンファレンスで「シビック・クーペ」とスポーツグレードとなる「シビックSiクーペ」の2014年モデルを初公開した。2011年から発売している現行モデルの北米仕様シビックは、コンパクトカー部門でベストセラーを受賞している人気モデルで、今年に入ってセダンが大幅なマイナーチェンジを決行。そのセダンに続き、クーペとSiクーペが2014年モデルでマイナーチェンジを受けた。

プレスカンファレンスでワールドプレミアした2014年モデルのシビック・クーペとシビックSiクーペ

 マイナーチェンジ前よりもフロントフェイスの水平基調が強くなり、現行「フィット」などに似たデザインとなった。サイドからリアにかけても抑揚のあるスポイラーなどが装備され、よりスポーティさを感じさせるシルエットへと進化した。

 スポーツグレードに位置づけられるSiクーペは、より力強いスポイラーやリアウイング、1インチアップしたホイールなどでスタイリッシュに仕上げている。シビックSiに関しては、最高出力が4HPアップの205HP、最大トルクが0.5kgmアップの24.0kgmとパフォーマンスも向上している。

 また、カンファレンスでは、北米ホンダのレース部門となるHPD(Honda Performance Development)が開発を行った「CR-Z」用のスーパーチャージャーパッケージや、シビック用のビッグキャリパーといったアフターパーツをディーラーで販売することを発表した。これまではアメリカン・ルマン・シリーズ(ALMS)やインディカーなどのレース分野で活躍してきたHPDが、今後は市販パーツの開発とリリースにも積極的に関与していくということだろう。

2014年モデルのシビック・クーペ
2014年モデルのシビックSiクーペ
HPDが開発を行った「HPDシビックストリートパフォーマンスコンセプト」。大径のホイールや専用の外装などHPD製のストリートパーツが装備される
「HPDシビックSiクーペレースカー」はレース用に製作したモデル。ロールケージやスリックタイヤなどを装備し、即レースに参戦できる仕様となっている
HFP(Honda Factory Performance)のパーツを装備した2014年モデルのアコード・クーペ。HFPのリップスポイラーなどのエクステリアパーツ、大径ホイールを装備している。HFPパーツも北米ではディーラーで購入することが可能

マツダ

 マツダは、フルモデルチェンジを行った「マツダ3(日本名:アクセラ)」と2014年モデルの「マツダ6(日本名:アテンザ)」をベースとしたカスタマイズカーを出展。併せて、ディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D」を搭載し、アメリカのグランダムシリーズに参戦しているレースカー「マツダ6GX」も展示していた。

 新型マツダ3は北米でも注目の1台で、セダンとハッチバックの両モデルを出展。セダンベースの「VECTOR3コンセプト」では、最近ではコーポレートカラーにもなりつつある「soul red」のカラーリングを施し、大径ホイールやブレーキをセット。一方のハッチバックベースの「CLUBSPORT3コンセプト」は、モータースポーツをイメージしたモディファイを行っている。

「VECTOR3コンセプト」と呼ばれるアクセラセダンベースのカスタムカーでは、ソウルレッドのカラーリングにベクトルパターンという幾何学模様のシートを貼っているのがエクステリアの特徴。ホイールはレイズの19インチ、ブレーキはブレンボの4ピストンキャリパーなどでパフォーマンスを高めている
「CLUBSPORT3コンセプト」は、クラブスポーツのグラフィックを外装に施した。足まわりはVECTOR3コンセプトと同様の仕上げで、インテリアでは専用のプレミアムレザーを使用し質感を高めている
「CLUBSPORT6コンセプト」。マツダ3のクラブスポーツコンセプトと同様のエクステリアが与えられている。サスペンションはH&Rのキットで、ブレーキはブレンボ、ホイールはレイズ製を装着
SKYACTIV-Dエンジンを搭載したマツダ6のレースカー。アメリカ独自のグランダムシリーズに参戦しているマシンで、今年はクラス優勝も記録し、エンジンの熟成が進んでいる
マツダが地元の学生をサポートし、学生自らが製作したコンセプトカー。パワートレーンはガソリンエンジンとモーターのハイブリッドで駆動形式は4WDとなる。内装では溶接跡などが残り仕上がり途中といった感じだが、エクステリアはしっかりと“魂動”が表現されている

サイオン

SEMA SHOWでは、毎年ホッテストカーとして各部門から1台のクルマを表彰しているが、サイオンの「FR-S」はスポーツコンパクト部門でホッテストカーを受賞した

 昨年のSEMA SHOWでは、発売開始から半年ということもあり多くのメーカーやショップがデモカーを導入していたトヨタブランドのサイオン「FR-S(日本名:86)」。今年もその流れは続いていて、サイオンブースを始め会場の多くの場所でFR-Sを見る機会が多かった。アフターパーツメーカーやショップなどが積極的にカスタマイズの提案を行ってきたこともあり、今年はユーザーレベルでもメーカーやショップに負けないカスタマイズをしたマシンが見受けられた。

 カスタマイズの内容も過激なものが目立ち、ターボ化やスーパーチャージャー化によるパワーアップはもちろん、エンジン換装でさらなるパワーを求めるマシンも現れている。

 いずれにしても、アフターメーカーやショップが先行してきたFR-Sのカスタマイズだが、オーナーにもだいぶ受け入れられてきたことになる。その証として、SEMA SHOWの主催者が選ぶホッテストカーのコンパクトスポーツ部門ではFR-Sが表彰されたのだ。

Blletproof Automotiveが製作したFR-S。エンジンルームにはタービンがセットされ、エクステリアもレーシングカー顔負けの迫力あるエアロパーツを装着
Greddy×Scion Racingとしてドリフトシーンで活躍しているマシン。エンジンはトヨタの直列6気筒ターボ「2JZ」に換装しており、最高出力は750PSをオーバーするという
「URBAN GT SPORT COUPE」は、ワンオフの専用フロントバンパーやリアディフューザーなどをセットし独自のFR-S像を作り上げている
ヘッドライトやサイドステップ内のLEDライトなど鮮やかな光り物を装備するFR-S。スポーツやレーシングだけでなく、光り物のアイテムも人気のカスタム手法となる
サイオンブース以外にもFR-Sは多く展示されている。国内パーツメーカーの出展も多く、LSDや車高調、補強パーツなどをリリースしているキャロッセも出展していた

(真鍋裕行)