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2014年のル・マン24時間レース、間もなく開幕
トヨタ、アウディ、ポルシェが競う「LMP1-H」クラスに注目
(2014/6/11 00:00)
30℃を越える晴天のなか、2014年のル・マン24時間レースはリパブリック広場での公開車検からスタートした。公開車検は6月8日(現地時間)に実施され、11日~12日に予選、14日~15日に決勝が行われる。
FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦にあたる今年のル・マン24時間は、パワートレーン、シャシーともに大きくレギュレーションが変わり、ようやくハイブリットの規則が確立される格好となった。LMP1(ル・マンプロトタイプ1)クラスでは、エネルギー回生システムの装備が義務付けられる「LMP1-H(Hybrid)」、それ以外は「LMP1-L(Light)」と呼ばれることになった。
2012年から参戦しているトヨタ自動車の新マシン「TS040 HYBRID」では、ようやく基本設計とも言える4輪回生が可能となり開幕から2連勝、この勢いでル・マン24時間初制覇を狙う。アウディの「R18 e-tron quattro」は、2013年末に今年のF1で採用される「ERS-H(熱エネルギー回生システム)」のような、ターボによる排気の熱エネルギー回生も行うと発表していたが、これを断念して2013年までのシステムを踏襲。今年WECにカムバックしたポルシェは「919ハイブリッド」の開発にたっぷり時間をかけ、ターボによる熱エネルギー回生を実現してきた。
各陣営のシステムを簡単に説明すると、王者アウディはV型6気筒4.0リッターディーゼルターボエンジン(昨年は3.7リッター)+フライホイール式の回生システム(2MJ)。トヨタはガソリンのV型8気筒3.7リッター自然吸気エンジン+4WDにMGU(モーター/ジェネレータユニット)を積む。このMGU(6MJ)が発生するパワーは480PSと言われ、エンジン出力と合わせると1000PSにも上る。ポルシェの回生システムは、アウディ同様のフライホイール式のシステムを使うが、F1のようにターボによる熱エネルギー回生(合計で6MJ)も行う。エンジンはV型4気筒2.0リッター直噴ターボエンジンだ。このように3社3様のパワーユニットがうまく争えるレギュレーションが今回採用されたのである。
シャシー面も見直しが図られ、車幅が10cm狭くなった、これはタイヤサイズが16インチから14インチになったことが大きく影響している。また、ドライバーの視界を改善するためにヒップポイントを2cmあげ、これに伴い全高も2cm高くなった。
フェンダーの開口部に関しては、上面、側面から選択できるようになり、トヨタとポルシェはフロント上面/リア側面となり、アウディは逆の設定となっている。どちらが有利といったことはないだろうが、上面に開けた場合はフロント寄りに開けたほうがダウンフォースを得られるらしく、フェンダーが以前よりも前に伸びた格好となっている。昨年までのどっしりした感じから、やや間延びした印象になった。この点アウディはやや傾斜が残っていてスムーズな印象を受ける。
ワークス以外のLMP1クラス(LMP1-L)では、レヴェリオンレーシングの2台が参加している。また、先日に2015年からのWEC参戦を表明した日産自動車は、新技術を紹介する車両のために用意される「ガレージ56」枠から参戦する。
混戦のLMP2クラスでは、残念ながら日本の童夢の参戦が見送られたものの、LIGIER JS P2から3台が参加する。そのうちの1台は、ドライバー全員が中国人という中国チームがホンダエンジンで参加している。また、日本人女性ドライバーの井原慶子選手は今年、チームを変更して望む。
LM GTE Proクラスは、相変わらずワークスのガチンコ勝負で、ポルシェ、フェラーリ、アストンマーチン、コルベットが競い合う。LM-GTE Amクラスに今年はチームタイサンがフェラーリで参加する。