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JAL、三菱航空機から次世代国産ジェット旅客機「MRJ」を32機導入の基本合意

2021年から導入予定。JALグループのリージョナルジェット機はすべてMRJへ

日本航空 代表取締役社長 植木義晴氏(左)、三菱航空機 代表取締役会長 江川豪雄氏(右)
2014年8月28日発表

 JAL(日本航空)と三菱航空機は8月28日、JALグループの次世代リージョナルジェット機として「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」を32機導入することについて基本合意に達したと発表し、同日JAL本社内で記者会見を開催した。

JALカラーに塗装されたMRJ

 MRJは三菱航空機が開発中の国産民間旅客機で、2015年の初飛行、2017年の初号機導入を目指して開発中の機体。国産民間旅客機としては、YS-11以来の航空機になる。MRJには、標準座席数78席の「MRJ70」と標準座席数92席の「MRJ90」があり、100席クラスの「MRJ100X」も計画されている。

 JALは、このMRJシリーズを32機購入し、2021年に導入開始。その後、7年程度の期間で全機導入を図るとしている。JALグループでは、ジェイエアにおいてリージョナルジェットを運航しており、その全機をMRJに置き換える。

契約合意の調印式を実施
モデルプレーンも展示

 日本航空の植木社長は導入決定に至った理由として、三菱航空機でMRJを視察したほか、MRJの操縦シミュレーターも実際に利用し「素晴らしい飛行機になると確信した」こと、MRJの購入について「大変よい条件を三菱航空機からいただいた」こと、「MRJは国産初のジェット旅客機であり、国民の夢になっている。日本経済の発展、航空産業の拡大に貢献できる」ことの3つを挙げた。

 また、JALは同日、ジェイエアで運航中のリージョナルジェット機「エンブラエル 170」の追加導入、および「エンブラエル 190」の新規導入も発表。両機種合計で確定15機、オプション12機で2015年から導入する購入契約をエンブラエルと締結することを決定した。

 JALグループは現在、「ボンバルディア CRJ」9機、「エンブラエル 170」15機の計24機を運用。導入するエンブラエルは当初はCRJを置き換えていき、現在の24機を超える部分についてはターボプロップ機を置き換えていく。その後、2021年からMRJの導入を始め、7年程度で全機MRJのリージョナルジェット32機体制を構築することになる。

 導入価格については、「MRJはカタログ価格で47億円、それが32機なので計算すると1500億円程度になる」(植木氏)といい、“大変よい条件”については守秘義務のため語られることはなかった。

 三菱航空機 代表取締役会長 江川豪雄氏は、「今後20年で5000機と言われている」リージョナルジェット市場において、JALの32機が加わることで407機の注文をすでに得ていることは大きな意味があるという。とくに、「客室が広いこと、燃費がよいこと、環境にやさしいこと」が評価されたことはもちろん、「ライバル機から三菱航空機に飛行機を変えていただくことは、新たに飛行機を導入することに比べて大変です。パイロットや整備の方が慣れているところで、私どもの飛行機に変えていただくためにたくさんのエネルギーがいる。そういった困難を乗り越えても、すでにある飛行機を私どもの飛行機に変えていただく。これが、ライバルに比べてよい飛行機だとアピールできると考えている」と、JALが導入することのインパクトを語った。

 MRJの開発の遅れが見られることについての質問に対して三菱航空機 江川会長は、1号機に関しては10月中旬のロールアウトを予定しており、強度試験機もできあがっていることなどを挙げ、順調さをアピール。日本航空の植木社長は、「もはやその(遅れのことを云々するような)段階は越えている」とし、「(JALグループが導入する段階では)ローンチ後の4年後になるため、準備万端の素晴らしい状態で導入できる」と語った。

 JALの発表により、国産初のジェット旅客機であるMRJは、ローンチカスタマーのANA(全日本空輸)とJALの国内2大エアライングループに導入されることになる。なお、MRJの初飛行予定は2015年となっている。

(編集部:谷川 潔)