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ホンダ、“コンパクトカーセダンの概念を打ち破る”「グレイス」発表会

目の肥えた人を唸らせるような上質なコンパクトカーセダンを目指して開発

2014年12月1日開催

直列4気筒DOHC 1.5リッター+スポーツハイブリッドi-DCDを搭載した新型ハイブリッドセダン「グレイス」

 12月1日、本田技研工業は新型ハイブリッドセダン「グレイス」を発売、同日に東京 青山の本社ビルで発表会を開催した。会場の外にも白いベールを被ったグレイスが並び、アンベールの時を待った。11時に発表会がスタートし、会場内、屋外ともグレイスがその姿を現した。会場内の壇上には本田技研工業の専務執行役員 日本本部部長 峯川尚氏らが立ち、グレイスの発表を実施。グレイスの詳細については関連記事を参照して欲しい。

ホンダ、最高燃費34.4km/Lの新型ハイブリッドセダン「グレイス」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20141201_678236.html

本田技研工業の専務執行役員 日本本部部長 峯川尚氏

 峯川氏は発表のなかで、グレイスのTV-CMに使われる曲について紹介。その曲は1983年に「ワンダーシビック」と呼ばれた3代目シビックのTV-CMにも使われていた「What a Wonderfui World」である。カナダ人のシンガー、マイケル・ブーブレが歌っている。

 ワンダーシビックといえば、斬新なデザインと優れたパッケージングによって、当時のコンパクトカー界に新風を吹き込んだ画期的なクルマだった。そして、このグレイスにも「新時代のコンパクトセダンを提案したい」という思いがあることから、ふたたびこの曲を使用することになったという。

 なお、グレイスが発売されたことで「レジェンド」「アコード」と合わせて、ホンダの「アースドリーム・セダンシリーズ」が完成している。

グレイスのTV-CMのイメージ曲には3代目シビックのときに使われた「What a Wonderfui World」を再び使用
本田研究所 四輪R&Dセンター 開発責任者の広瀬敏和氏

 続いて本田研究所 四輪R&Dセンター 開発責任者の広瀬敏和氏が登壇。グレイスはさまざまなクルマを乗り継いできた、目の肥えた人を唸らせるような上質なコンパクトカーセダンを目指して開発してきたクルマで、使い勝手のよさや低燃費といったコンパクトカーセダンの価値を最大限に生かしつつ、上級セダンの持つ、ゆとりある室内空間や上質な乗り味も求めたとのこと。さらにクルマ好きな人にも認められる、胸のすく走りも実現するという、これまでのコンパクトカーセダンの概念を打ち破ることを目的に開発が進められたことが語られた。

 車名に使われた「グレイス」には「思いやり」という意味があるが、大切な人と大切な時間を優しく包み込むことができるよう、そういう想いを込めて付けた車名ということも明かされた。その「大切な人のため」と謳ったクルマの造りについても触れられたので、それを紹介したい。

 1つ目はスタイル。コンパクトカーセダンの枠内ながら、ロングホイールベース化することでアッパーミドルセダンクラスの居住性を確保。そしてインテリアについても先進さや上質感を持ったデザインを採用している。

 運転のしやすさにもこだわっていて、ドライバーズシートはよりセダンらしい落ち着きと安定感のあるドライブ感覚が得られる、少し低めの設定とした。5ナンバーサイズのボディーとあわせて、女性でも運転しやすいクルマに仕上げたとのこと。後席空間は上級セダンの「アコード」に匹敵する広さを確保しているので、同乗するゲストに対しても居心地のよい空間を提供できるという。シート本体もクッション性や表皮の肌触り、さらには表皮の縫い方にもこだわり、リアシートの背もたれ角度まですべてに座り心地のよさを求めたということ。

 また、グレイスはハイブリッドカーのみの設定で、ハイブリッドセダンではもっとも優れる34.4km/L(JC08モード燃費。2WDのDX/LX)という低燃費を実現し、人と地球の未来に貢献する作りであることが強調された。

新しい時代のコンパクトカーセダンであるグレイス。コンパクトというジャンルの価値感を大きくかえる存在として期待できるクルマだ
左が2WD(FF)、右が4WD車。駆動方式の特徴にあわせて、車高の設定がこれだけ違っている
34.4km/Lという低燃費を実現した直列4気筒DOHC 1.5リッター「LEB」エンジン。H1型モーターを内蔵する7速DCTを組み合わせ、エンジンは最高出力81kW(110PS)/6000rpm、最大トルク134Nm(13.7kgm)/5000rpmを、モーターは最高出力22kW(29.5PS)/1313-2000rpm、最大トルク160Nm(16.3kgm)/0-1313rpmで、システム全体で101kW(137PS)を発生する
居住性を重視した室内空間。シートはクッションの厚み、表皮の肌触りや縫い方にもこだわり、上質な座り心地を作る。後席の足下スペースはアコードと同等を確保した
リア用のエアコン吹き出し口。その下には電源がある。マップランプはオプションで設定。トランクは広く、トランク開口部にあるレバーでシートが前倒し可能
セダンらしい落ち着きを持たせた室内デザイン。カーナビやスイッチ計もすっきりした印象。シフトレバーは未来的なデザインになっている
モデューロエアロパーツ装着車。スポーティでありながら高級感もあるスタイリングになる。内装パーツも用意されている

 なお、グレイスにはi-DCDというホンダ独自のハイブリッドシステムが使われているが、これは先ごろリコールの対象になった部分で、リコール発表からあまり日が経っていないことからその信頼性についての質問が出た。

 これに対して本田技研工業の専務執行役員 日本本部部長 峯川氏からは「i-DCDについては一連のリコール問題に対応するため社内の品質管理体制を刷新、その新しい体制が徹底的にチェックしたのがこのグレイスであるので、i-DCDについても完成されたものが搭載されている」と語られている。

(深田昌之)