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コースレコード連発のSUPER GT第2戦富士。1号車MOTUL AUTECH GT-Rがポールポジション獲得

GT300は前戦優勝の31号車 TOYOTA PRIUS apr GTがポール

2015年5月2日~3日開催

コースレコードでGT500クラスのポールポジションを獲得した1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)

 SUPER GT第2戦となる「FUJI GT 500km RACE」が、5月2日~3日の2日間にわたって静岡県小山町の富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されている。5月2日の午後には、決勝レースのグリッド順位を決める予選が行われ、GT500は1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が、GT300は31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一/佐々木孝太)がそれぞれポールポジションを獲得した。いずれのクラスでもコースレコードが更新されるハイレベルな予選となった。

 明日、5月3日の決勝レースは富士スピードウェイで、14時20分より行われる。天気予報では今日と同じ快晴が続くことが予想されており、決勝レースもハイレベルで、激しいレースが展開されることになりそうだ。

Q1では上位ランカーたちが順当に勝ち上がる、GT300/GT500ともにコースレコード更新

 開幕戦の岡山は、予選はドライ、決勝は常に雨量が変わる難しいウェット路面となったが、今回の第2戦富士では、天気は朝から快晴。岡山と比べて気温も上がり、高温の路面の中での予選となった。予選は、GT300、GT500の順で、Q1(予選1回目)、Q2(予選2回目)がそれぞれ行われた。GT300は上位13台、GT500では上位8台がQ2へと進むことになる。

 GT300のQ1は、残り3分で2号車 シンティアム・アップル・ロータス(高橋一穂/加藤寛規)が10コーナーでコース脇に停止してしまい、赤旗により中断。これにより2号車は明日の決勝レースは最後尾からスタートすることになる。

 残り5分から再開されたが、結局中断前にコースレコードとなるトップタイムを叩き出していた31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一/佐々木孝太)がそのままトップ、2位に65号車 LEON SLS(黒澤治樹/蒲生尚弥)、3位 3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/高星明誠)となった。以下、通常の上位勢が13位までに入り、特に大きな番狂わせはなかった。

 15分間で行われるGT500のQ1は開始してから8分程度はほとんどのクルマがピットに待機して静かなスタートとなったが、残り7分になり待機していたクルマが一斉にコースインした。そうした中で、トップタイムを出したのは、1号車MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、2位は12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)、3位は36号車 PETRONAS TOM'S RC F(伊藤大輔/ジェームス・ロシター)の順で、4位の17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/武藤英紀)まで上位4台がコースレコードを更新するQ1となった。なお、開幕戦に優勝した37号車 KeePer TOM'S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川亮)は、ウェイトハンデが効いたのか、14位に沈み、厳しい予選となった。

2位は12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
3位の36号車 PETRONAS TOM'S RC F(伊藤大輔/ジェームス・ロシター)

上位6台がコースレコードを更新するハイレベルなQ2を制したのは1号車 MOTUL AUTECH GT-R

第1戦岡山を優勝し、第2戦富士でもポールポジションを獲得した31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一/佐々木孝太)

 GT300のQ2は、Q1での上位13台で戦われた。大本命と考えられていたのは、3号車、10号車 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎)のNISSAN GT-R NISMO GT3勢。だが、予選でポールポジションを獲得したのは、Q1でもトップタイムを記録した31号車 TOYOTA PRIUS apr GT。しかも、Q2を走ったのは、レギュラーの2人(嵯峨宏紀/中山雄一)ではなく、スポット参戦となる佐々木孝太。今年はレギュラーシートを失う形になっていた佐々木だが、今回のポールポジションで、その価値を証明したことになる。

2位となった3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/高星明誠)
3位は10号車 GAINER TANAX GT-(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎)
GT300の予選結果(暫定)
順位カーナンバー車両ドライバータイヤQ2Q1
1位31TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/中山雄一/佐々木孝太BS1分36秒9521分36秒519
2位3B-MAX NDDP GT-R星野一樹/高星明誠YH1分37秒0281分37秒720
3位10GAINER TANAX GT-Rアンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎DL1分37秒2421分37秒923
4位11GAINER TANAX SLS平中克幸/ビヨン・ビルドハイムDL1分37秒3181分37秒796
5位65LEON SLS黒澤治樹/蒲生尚弥YH1分37秒5181分37秒558
6位55ARTA CR-Z GT高木真一/小林崇志BS1分37秒7111分38秒183
7位25VivaC 86 MC土屋武士/松井孝允YH1分37秒7361分37秒753
8位0グッドスマイル 初音ミク SLS谷口信輝/片岡龍也YH1分37秒7521分37秒870
9位7Studie BMW Z4ヨルグ・ミューラー/荒聖治YH1分37秒8131分38秒202
10位61SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL1分37秒9581分38秒173
11位88マネパ ランボルギーニ GT3織戸学/平峰一貴/佐藤公哉YH1分38秒0501分38秒195
12位21Audi R8 LMS ultraリチャード・ライアン/藤井誠暢/ステファン・オルテリYH1分38秒2771分38秒349
13位360RUNUP Group&DOES GT-R吉田 広/田中篤/成澤正人YH1分39秒7461分38秒278
14位33Excellence Porscheアレキサンドレ・インペラトーリ/山下 健太YH-1分38秒379
15位18UPGARAGE BANDOH 86中山友貴/マルコ・アスマー/井出有治YH-1分38秒467
16位77KSF Direction Ferrari 458横溝直輝/峰尾恭輔/飯田太陽YH-1分38秒768
17位30NetMove GT-R小泉洋史/岩崎祐貴/影山正美YH-1分38秒770
18位51JMS LMcorsa Z4新田守男/脇阪薫一YH-1分38秒791
19位9PACIFIC マクラーレン with μ's白坂卓也/東徹次郎/山脇大輔YH-1分39秒295
20位5マッハ車検 with いらこん 86c-west玉中哲二/密山祥吾/山下潤一郎YH-1分39秒305
21位48DIJON Racing GT-R高森博士/田中勝輝/柴田優作YH-1分39秒362
22位50SKT EXE SLS加納政樹/ナニン・インドラ・パユーング/安岡秀徒YH-1分39秒436
23位87クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3青木孝行/山西康司YH-1分39秒458
24位111Rn-SPORTS GAINER SLS植田正幸/鶴田和弥/池上真YH-1分39秒667
25位60SYNTIUM LMcorsa RC F GT3飯田章/吉本 大樹YH-1分40秒135
26位86Racing Tech Audi R8クリスチャン・マメロウ/細川慎弥/黒田 吉隆YH-1分40秒883
27位2シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規YH--

 GT500のQ2は、Q1の上位8台で行われたが、予想通り今回の大本命と考えられていたニッサン GT-R勢が順当の上位に来る形となった。ポールを獲ったのは、Q1でのコースレコードをさらに更新した、クインタレッリがドライブする1号車 MOTUL AUTECH GT-Rで、1分27秒552とQ2のタイムを約0.5秒近く更新することになった。ミシュランタイヤを履く1号車 MOTUL AUTECH GT-Rは、同じGT-Rだがブリヂストンを履く12号車 カルソニック IMPUL GT-Rに約0.3秒の差をつけた。

 以下3位 38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明)、4位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F、5位 24号車 D'station ADVAN GT-R(佐々木大樹/ルーカス・オルドネス)、6位 17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/武藤英紀)までが昨年のコースレコードを更新するという非常にハイレベルな予選となった。

GT500の予選結果(暫定)
順位カーナンバー車両ドライバータイヤQ2Q1
1位1MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMH1分27秒5521分28秒022
2位12カルソニック IMPUL GT-R安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラBS1分27秒8771分28秒148
3位38ZENT CERUMO RC F立川祐路/石浦宏明BS1分28秒3121分28秒845
4位36PETRONAS TOM'S RC F伊藤大輔/ジェームス・ロシターBS1分28秒3351分28秒680
5位24D'station ADVAN GT-R佐々木大樹/ルーカス・オルドネスYH1分28秒6421分28秒849
6位17KEIHIN NSX CONCEPT-GT塚越広大/武藤英紀BS1分28秒6721分28秒769
7位39DENSO KOBELCO SARD RC F平手晃平/ヘイキ・コバライネンBS1分28秒8021分28秒882
8位15ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT小暮卓史/オリバー・ターベイBS1分29秒1861分28秒921
9位46S Road MOLA GT-R本山哲/柳田真孝MH-1分28秒973
10位6ENEOS SUSTINA RC F大嶋和也/国本雄資BS-1分29秒050
11位100RAYBRIG NSX CONCEPT-GT山本尚貴/伊沢拓也BS-1分29秒164
12位64Epson NSX CONCEPT-GT中嶋大祐/ベルトラン・バゲットDL-1分29秒301
13位8ARTA NSX CONCEPT-GT松浦孝亮/野尻智紀BS-1分29秒543
14位37KeePer TOM'S RC Fアンドレア・カルダレッリ/平川亮BS-1分29秒584
15位19WedsSport ADVAN RC F脇阪寿一/関口雄飛YH-1分29秒616

ポールを獲得した各ドライバーのコメント

GT500 1号車 MOTUL AUTECH GT-R

松田次生:開幕戦がトラブルで躓いたので、ウェイトがない状態で臨むこのレースでは予選で上位を獲らないといけないと思っていた。ポールポジションを獲れたのは、クルマのセッティングがいい方向に進んだから。シーズンオフのテストから、クルマの課題をロニーやチームと一緒になんとかしようという話をしていて、今回に向けてチームがその対策をしてくれた。それとタイヤとのマッチングがよかったのがポールを獲れた理由。ただ、仮にウェイトを搭載していても、28秒台の前半のタイムは出すことはできたと思う、それぐらいセットアップが決まっていた。

ロニー・クインタレッリ:次生の言っている通り、フリー走行から決まっていると感じていた。練習走行のタイムも渋滞の中で出したタイムだったので、まだ余力はあると考えていた。次生がQ1でいいタイムを出してくれて、その上でQ2に向けていいアドバイスをくれて、それでいいタイムを出すことができた。

松田次生選手
ロニー・クインタレッリ
31号車 TOYOTA PRIUS apr GT

中山雄一:練習走行ではトラブルがでてほとんどの周回がが重ねられない中でのQ1で不安もあったが、ソフトタイヤを使って走り始めてコースレコードとなるタイムが出せてよい仕事ができたと思っている。孝太さんにもいい形で渡すことができたし、前回は嵯峨さんにポールを獲らせることができなかったので、ポールを獲れたのは非常に嬉しい。

佐々木孝太:僕にとっては今回が開幕戦だから、じっくり走り込みたかったが、練習走行でトラブルがあって走り込めなかったので不安はあった。そんな中で雄一がタイヤが違うとはいえ。よいタイムを出してくれて刺激になったし、チームとブリヂストンさんが頑張ってくれた。

嵯峨宏紀:前回の岡山で優勝した記者会見で、次回のレースはWECのスパのレース(筆者注:現在ベルギーのスパ・フランコルシャンで、WECの第2戦が開催されている)に出ると言った通りで、本来はここにいる予定ではなかったんだけど、体制面などでごたごたがあって、そちらには出場できないことになって、今回エントリーすることになった。今回は孝太さんの最多ポールがかかっているので、獲ってもらえれば格好いいよねという話をしていたんだけど、まさかそれが実現してしまうとは思っていなかった。ポールからスタートするのは優位だけど、例年を見ていても500kmレースは荒れることが多いので、どんな状況にも対応できる強さを見せたい。

佐々木孝太
中山雄一
嵯峨宏紀

 明日の決勝レースは14時20分より行われる予定で、TV中継ではBSのJ SPORT4、インターネットではニコニコ生放送(https://secure.live.nicovideo.jp/event/supergt)などでライブ中継が行われる予定。現時点(2日18時)でも日本気象協会発表の御殿場地方の明日の天気予報は晴れ時々曇りで、降雨の可能性は低いと考えられており、レースが行われる15時頃の天気予報では気温21度と今日と同じような天候になる可能性が高い。明日も最高のコンディションの中で熱いレースが展開されることになりそうだ。

(笠原一輝/安田 剛/Photo:奥川浩彦)