トヨタ、バーチャル人体モデル「THUMS Version 5」を発売

衝突前の乗員の身構え状態を模擬することが可能となった「THUMS Version 5」

　トヨタ自動車は6月26日、コンピューター上で衝突事故における人体傷害をシミュレートできるバーチャル人体モデル「THUMS（サムス）」を、人の身構え状態から脱力状態まで模擬可能な筋肉モデルを追加した「THUMS Version 5」として発売した。

　THUMSは、2000年に「Version 1」の市販を開始し、これまで国内外の自動車メーカー、部品メーカーなど数十社が採用し、衝突事故における乗員や歩行者の傷害の解析に使われている。今回発売する「THUMS Version 5」では、衝突前の身構え状態も含めた乗員の姿勢変化を模擬することを可能とした。

　事故時には、約半数のドライバーが急ブレーキや操舵などで回避行動するという調査結果があり、特に急ブレーキを踏むと乗員は身構えるため、事故前後の脱力した状態とは姿勢変化の大きさが異なっていた。

　THUMS Version 5では、新たに筋肉モデルを追加することで、より現実の事故に近い条件でシートベルトやエアバッグなどの安全装備の効果を検証できるほか、PCS（プリクラッシュセーフティ）など予防安全技術の効果をより精度高く予測可能とし、乗員保護効果をさらに向上させる予防安全技術の開発促進が期待できるとしている。

身構えた状態

脱力状態