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日立、電力損失を60%低減し電力容量約2倍の環境対応自動車向けインバーター開発

両面冷却型フルSiCモジュールを東京モーターショーに出展

2015年9月28日発表

 日立製作所と日立オートモティブシステムズは9月28日、従来比で電力損失を60%低減して同体積で電力容量を約2倍に拡大させた、環境対応自動車向けインバーターを開発したと発表。

 今回開発したインバーターは、低損失化が可能なSiC-MOSFETに流れる電流を均等化させる並列実装技術と、高速なスイッチングが可能な配線実装技術を採用。高効率で高出力なインバーターにより環境対応自動車の長距離走行や快適な加速性能の実現に貢献するという。

 具体的には、SiC半導体の低抵抗な特性を十分に引き出すとともに、電力容量の拡大を実現するため、パワー半導体は各半導体のON/OFFのタイミングを等しくすることを目指し、先に開発した並列実装技術を応用し、各半導体への制御信号線の長さを均一化する配線基板を開発し各配線の抵抗特性を揃えることに成功した。

 また、インバーターでは、負荷電流の向きが互いに逆になるように配線を重ね、両面冷却型パワーモジュールの缶状の金属製冷却フィンの中に実装する構造とした。これにより、冷却フィンは内蔵した配線が作り出す磁場を打ち消すことで配線に蓄えられた磁場エネルギーの低減を実現する。

 なお、今回インバーターに採用された両面冷却型フルSiCモジュールは、10月30日(一般公開日)から東京ビッグサイトで開催される「第44回東京モーターショー2015」に出展予定。

(編集部:椿山和雄)