ニュース

ロータス、最高出力406PSで300km/hを実現する新型「エヴォーラ 400」発表会

「ロータス史上最速のクルマ」を2016年3月までに60台国内導入

2015年11月10日実施

 ロータスの正規輸入総代理店であるエルシーアイは11月10日、ロータスの新型2+2シータースポーツカー「エヴォーラ 400」(エヴォーラ フォーハンドレッド)を国内発表し、都内で発表会を開催した。これに合わせて英ロータスカーズでヘッド オブ テクニカルを務めるサイモン・ウッド氏が来日し、ニューモデルであるエヴォーラ 400の説明を行った。

パワーアップしたエヴォーラ 400

発表会内でエヴォーラ 400がアンベール

 エヴォーラ 400は3月に開催されたジュネーブショーで初公開した新型2+2シータースポーツカー。既存のエヴォーラをさらに進化させたモデルであり、基本的なエクステリアデザインは既存のモデルから踏襲しているが、車両全体のおよそ3分の2が一新された新型モデルとなっている。

 なお、予約受注は7月から開始されており、価格は6速MTモデルが1355万4000円、6速ATモデルが1406万1600円。

ロータス、2016年春デリバリー予定の新型「エヴォーラ 400」予約受注開始

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150724_713285.html

ロータス エヴォーラ 400

 エンジンはV型6気筒DOHC 3.5リッターで変わらないが、水冷式インタークーラー付きのスーパーチャージャーを新たに装備することにより、従来の257kW(350PS)/7000rpmから298kW(406PS)/7000rpmに最高出力が16%アップ、最大トルクも410Nm(40.2kgm)/3000-7000rpmへと増加した。0-100km/h加速は4.2秒に短縮し、最高速は300km/hとしている。

 また、パワーアップに伴ってブレーキを強化。2ピースのクロスドリルド・ベンチレーテッドブレーキディスクを前後ともに大径化して、フロントが370×32mm、リアが350×32mmとなり、タイヤはフロントが235/35 ZR19、リアが285/30 ZR20となった。エンジンマウントは従来より5.6kg軽量化し、リアのサブフレームも新しくなったことでビークルダイナミクスが改善された。

 トランスミッションは6速MT車と6速AT車を用意し、MT車は新しいクラッチと軽量フライホイールの採用によってより早く正確なギヤチェンジが可能になった。AT車には新しいプログラムが導入され、これまで以上にすばやいシフトチェンジが可能となった。

 エクステリアは基本スタイルを踏襲するが、新しいエヴォーラ 400ではフロントバンパーに大きなエアインテークが組み込まれるとともに、新形状のリアバンパー、軽量化したコンポジットリアディフェーザー、スリーエレメントリアウイングを採用した。これを受けて全長は27mm長くなり、アプローチアングルは11.5°から10°に減少してダウンフォースが高まっている。

エアインテークが大きくなったフロント
アプローチアングルも変更され、空力的に改善されたフロントバンパー
タイヤサイズはフロント235/35 ZR19、リア285/30 ZR20

 前面投影面積は変わらないが、出力が増加したエンジンを冷却するためにCd値が従来の0.33から0.35に悪化している一方で、エアロダイナミック・ダウンフォースが向上。速度別に計測しても従来型エヴォーラの2倍となり、242km/h走行時にはフロント12kg、リア20kgの合計32kgになっているという。

 車両重量も従来型から22kgの軽量化に成功しており、MT車が1395kg、AT車が1425kgへと進化した。これらの結果、ロータスの本社工場所在地でもあるヘセルのテストコースで計測したラップタイムが従来より6秒短縮している。

 インテリアでは押出結合のアルミシャシーの改良により、2万7000Nmのねじり剛性を変えないまま軽量化とサイドシルの小型化に成功。サイドシルは従来のエヴォーラから幅で43mm、高さで56mm小さくなり、乗降性が改善されて足下スペースが拡大した。

 シートには3種類の表皮を用意し、イタリアのスパルコ製シートを設定。ナビゲーションシステムはクラリオン製を採用する。

インテリア
ステアリングホイール
サイドシルは薄く、低くなって、乗降性と足下の広さが改善された
6速MT車のシフトレバー。AT車の場合はレバーがなく、ボタンスイッチが並んでステアリングホイールにパドルが装備される
運転席ドア
こちらはソリッドイエローのエヴォーラ 400。ボディーカラーは10色をラインアップ
ヘッドライト
テールライト
トヨタ製の2GR-FEエンジンをリアミッドに横置き搭載
鍛造アルミホイールはグロスブラック(写真)とシルバーの2色がある
アルカンターラのシート表皮も選択できる
イエローの車両も3ペダルの6速MT車だった

ロータス史上最速でパワフルなエヴォーラ 400

英ロータスカーズ、ヘッド オブ テクニカルのサイモン・ウッド氏

 発表会では、新しいエヴォーラ 400について英ロータスカーズ ヘッド オブ テクニカルのサイモン・ウッド氏から説明が行われた。

 ウッド氏はまず、“ロータスの歴史”として1975年に当時の技術部長が書いたメモを紹介。「オーナーに一流の本質的な移動手段を提供」「軽量化を試み、合理的な素材を採用し、最大の燃焼効率によってエンジンとコーナリングパワーを引き出すこと」「受け継がれてきた最小のパーツを効果的に配置すること」など、ロータスが持つ“DNA”を紹介した。

 ウッド氏はこのDNAがすべてのロータス車に受け継がれていると語り、「すべてのロータス車はサーキットでの使用が可能。公道を走って移動することができ、レース後にそのまま帰宅できる」とアピールした。

 エヴォーラ 400については「ロータス史上最速のクルマ」という点を強調しながら、変更点の詳細を説明した。

 そのなかでもパワートレーンの変更点として、スーパーチャージャーと水冷式インタークーラーの装備によるパワーアップを挙げた。ターボでなくスーパーチャージャーを選んだ理由としては、ターボと比較してスーパーチャージャーはスロットルレスポンスがよいことが理由だと説明した。

ロータスの歴史を紹介
ロータスのDNAとなる「1975年に当時の技術部長が書いたメモ」
ロータスの技術
エヴォーラのスペックやパフォーマンスの紹介。主なスペックとしては、最高速300km/h、0-100km/h加速が4.2秒、出力が406PS、重量が1395kg(MT車)など

2016年3月までに60台を入荷予定

エルシーアイ 代表取締役社長 高橋一穂氏

 正規輸入総代理店であるエルシーアイ 代表取締役社長の高橋一穂氏はエヴォーラ 400の位置付けとして、価格帯が1500万円くらいで馬力的にもポルシェ「911」と同じようなジャンルであると説明。さらに「ポルシェと違うメリットは、ミッドシップで操縦性がよいということと、幸か不幸か台数が出ていないので希少価値という付加価値がある。人と同じクルマに乗りたくないという人にはもってこい」とエヴォーラ 400のメリットを強調した。

 国内での納車に関しては、2009年にエヴォーラが登場したときに1年以上待たせた購入者がいたことを振り返り、「納期が遅れてお客様にご迷惑かけ、我々も苦労した苦い経験がある。今では日本はロータスのなかで一番販売台数が多い国になっており、優先的に配車枠をとって来年3月までに60台くらい入荷する予定になっている」とコメント。国内向けの台数確保を進めていることを明らかにした。

東北・北海道にディーラー拡充。2016年も「ジャパン・ロータスデー」を開催

エルシーアイ 広報担当の谷田恵美氏

 国内の販売や今後の展開ついては広報担当の谷田恵美氏が紹介した。エルシーアイが設立された2002年以降、年間の販売台数は300台前後で推移し、最も販売台数が多かったのはリーマン・ショック前の2006年。これまでに累計で4073台を販売しているが、エリーゼのモデルレンジが多く占めているという。

 とくに最近人気なのは「エキシージ S(V6)」で、デビューから3年程度の販売期間ながら全体の10%近くを占めるに至っている。2016年はエヴォーラ 400が導入されて60台程度を販売することになり、来年分の20%がエヴォーラ 400になる見込み。

 販売店は国内に19店舗を展開するが、群馬県よりも北には存在しないため、東北や北海道にディーラーネットワークの拡充を予定しているという。

 なお、顧客向けイベントとしては「ジャパン・ロータスデー」を毎年開催しており、平均して500台程度が参加するイベントに成長。この席で2016年は4月16日に開催日を決定したことが明らかにされた。場所は富士スピードウェイで、エヴォーラ 400が初めて走行するイベントになる。

エルシーアイ発足後のロータス車販売の推移。最多の2006年は449台
国内のディーラネットワーク。群馬県より北にはディーラーがない
エルシーアイ発足後の輸入台数の内訳
2011年4月から2015年10月までの販売モデルシェア。エキシージ S(V6)が急成長している
ジャパン・ロータスデー2016の開催が決定。4月17日に富士スピードウェイを舞台に行われる
ワンメイクレース「ロータスカップ」の開催スケジュール。2016年は9月にツインリンクもてぎで開催されるWTCCへの組み込みが決定

(正田拓也)