飯田裕子のCar Life Diary
「ジャパン・ロータスデー2017」で「ロータス好きっていいな」と実感
2017年4月6日 07:00
「やっぱりロータスっていいな」っていうのと同じくらい「ロータス好きっていいな」と思えた4月2日。今年で7回目となる「ジャパン・ロータスデー2017」が富士スピードウェイで開催されました。今回は北海道から九州まで、全国から500台以上のロータス車が集まったのだとか。私はこの数年、このイベントのステージでツタナイMCをさせていただいており、毎年1日のほとんどをステージの上で過ごすという、1年で最も“お喋りデー”なのがこのロータスデー(苦笑)。
ちなみにこのイベント、英国メーカーであるロータスカーズの日本正規輸入総代理店であるエルシーアイさんとそのグループ会社のお手伝いによって開催されている、手作り感たっぷりなイベントなのですが、アットホームかつ英国スタイル(なのだとか)の雰囲気がほかのイベントにはないよさと言えるのかもしれません。おかげで“気取らないロータス好きなカーガイたちの集まり”と私の目には映ります。
ロータスは魅力的かつマニアックなクルマなだけに、ロータスデー開催日の富士スピードウェイの雰囲気は独特です。音と匂いと人が、富士スピードウェイというお鍋のなかで熱々になった状態。それがなんともまろやかで(穏やかかつ和やかで)美味しい!
ところでロータスデーは、1日中メインコースやパドックを貸しきり、コースとパドック(ステージ)などでさまざまなイベントが行なわれます。コース上ではオーナー走行のほかに3つのロータスレースのシーズン開幕戦や、ピットに展示されたヒストリックモデルのデモラン、サーキットタクシー(同乗走行)などが続き、朝から夕方までロータスのエンジン音が止むことがほとんどないくらい。
また、開会式からスタートするステージでは、サーキットタクシーの同乗試乗権をめぐって行なわれる抽選会やディーラー&ショップのPR、カルトクイズやプレゼント抽選会、レースの表彰式や2回のトークショー、ドライバー&レースクイーンの撮影会、コンクール・ド・エレガンスなど、こちらも多彩なプログラムが用意されていました。
サーキットタクシーに登場したモデルは、1月に国内販売が始まった「3-イレブン」や、ロータスカップ参戦マシンの「エキシージS カップカー」2台、「エリーゼ 20thアニバーサリー」「エリーゼ スポーツ220」「エヴォーラ 400」という6台のロータス車と「ケータハム 620」の計7台で、49人の参加者が同乗試乗を体験。毎年このチケットをゲットすべく、大抽選会には長蛇の列ができます。そんな列に並んでいるみなさんの退屈しのぎに私もステージ上からトークで盛り上げ、今年は記念撮影にもご協力いただきました。
そんなわけで、MCの私が会場をフラフラする時間は極めて限られてはいるものの、何人かのオーナーさんと何台かのロータスとの出会いはあるもの。というか、こちらからつい声をかけてしまうのですが……。そこで今回の主役はイベント自体というよりも、そんなオーナーさんのお話です。
私がステージでご紹介するショップさんを取材していると、古田(こた)さんという読者の方が声をかけてくださいました。聞けば、お仲間たちと広島からやって来ているというのです。声をかけてくれたことはもちろん、広島からみんなで走って来たというお話になんだか嬉しくなってしまって、みなさんの集まるところまで思わずついていってしまいました。
ロータス大好きなオーナーさんのお話を聞かねば始まらないし、終われない
広島からやって来ていたのは、「朝に広島の羅漢山に集まるから『あさらかん』」というグループの4台のエリーゼ。あさらかん全体では約20台のエリーゼオーナーさんがいるそうです。古田さんのロータスデー参加は今年で2回目。今回は小学校3年生の息子さんと一緒に「エリーゼ」(2005年式)でやって来ていました。
オーナー歴3年というエリーゼの魅力について「ぜんぶ気に入っています。なにもないところ、過保護じゃないところですよね。日常に乗るクルマはいろんなバイアスがかかっているのに対し、この子(エリーゼ)はバイアスがないんで……(笑)」という古田さん。コツコツと“ロータス貯金”を始めたころに製造されたモデルと数年前に巡り合い、ご縁を感じていよいよ購入されたのだとか。
ちなみに、普段の移動はトヨタ自動車の「シエンタ」。そこで息子さんに「シエンタの方が快適じゃない?」と質問すると、ボソッとひと言「酔っちゃう」との答えで、周囲の大人達は苦笑。「自転車で酔う人はいないと聞いたことがあります。エリーゼはそんな感覚なのかな」と、お父さんの古田さん。親子ともども大好きなエリーゼで富士スピードウェイと広島を往復ドライブするなんて、ステキだと思いませんか。
また、ロータス歴10年という岡本さんは2007年式の「エリーゼS」のオーナー。「シンプルでハンドリングが素直なところが気に入っています。ボク、カートもやっているので、エリーゼSは公道を走れる“大人のカート”みたいな感覚で楽しんでます」と岡本さんは語ってくれた。10年も所有していて、なにかほかに気になるモデルはないかと質問してみると、実は新型エリーゼを狙っているらしい。が、「出る、出るって聞いているのに、ロータスが出してくれないんです。それを待ちながらこの子(エリーゼS)と付き合っているんですよ(苦笑)」と口にする岡本さんは、完璧にロータス、いやエリーゼに侵されてますな、ふふふっ(笑)。
さらに、停まっていた「エリーゼR」の車内から出てきてくれたのはこのクルマのオーナーの奥様。「こういうお仲間たちはどうですか?」と聞いてみると、口を濁らせながら苦笑。あまり快く思っていないのかと思いきや、実は緊張していただけで嫌いじゃないらしい。ご主人のエリーゼRも、1人で長距離ドライブは大変だし、万が一のときにも備えてご主人とドライバー交替ができるようにと、昨年に運転の特訓を受けたという。
なんてお話をうかがっているうちにご主人が登場。エリーゼの魅力は「すべてです。軽くてクルマの動きが素直に伝わってくるクルマなので、ハンドルを握っているだけで楽しいです。同乗者は分かりませんが、ハンドルを握っている人間にとってはこんなに楽しいクルマはないです」とのこと。奥様によると、ご主人はただいま単身赴任中だそうで、エリーゼRに乗りたいばかりに毎週末自宅に帰って来るんですって。呆れた様子で話しているようでいて、軽くノロケられたような気がしたのは私だけだったのかしら(笑)。さらにこの奥様からは「路面を感じて走る楽しさとか、クルマと一緒に走ってる感じが分かるんです」とステキなコメントもいただいちゃいました。なんてステキなご夫婦なんでしょう。
そうこうしているところに、2代目「ヨーロッパ」のオーナーで長野県にお住まいという竹内さんが合流。竹内さんは広島に単身赴任をしていたときに「あさらかん」の仲間になり、みなさんと会うのは昨年のロータスデー以来とのこと。竹内さんはエリーゼと2代目ヨーロッパのどちらかを購入するべく探しているうちに、結果的に広島と実家のある長野との往復を考えてヨーロッパを購入したのだとか。
古田さんにロータスデーについて聞いてみると、ロータスオーナーはSNSで繋がっている人が多いとのことで、「ここに来れば、全国のオーナーさんと直接会えるんです」と楽しそうに語る。そんな風に会話している最中にも、東京のオーナーさんがお土産を持ってやって来ていました。
たまたま声をかけてもらったおかげで知り合った4台のエリーゼとその仲間たち。実は今回のイベントで私がお話できたのはこちらの方々だけ。たくさんのお話のなかから厳選された内容というわけではなく、これは本当に偶然のたまたま。
しかし、この数年を通してお話を聞かせてもらった方々は、パドックでもステージ上であっても、みなさんフレンドリーで純粋なロータスファンで、だからこそ、お話を聞くこちらが嬉しくなってしまう人ばかり。あの和やかなムードは、今思い出してもニンマリしてしまう。やっぱりロータス好き、クルマ好きっていいですね。例えば美味しい食事をいただいているときに、美味しいものや美味しいお店の話しをするように会話がはずみます。
コース上で1日中ロータス車が走りまわるあいだ、私もステージ上でしゃべり続けたイベントの最後には、毎年恒例のパレードランが行なわれて、今年のロータスデーも無事にお開きとなりました。「あさらかん」のみなさんは前泊をしてイベントに参加し、そのまま広島に直帰。私のFacebookにも、みなさんが無事に帰宅されたとの連絡が届いてひと安心でした。
このイベントに参加したことのない人も、ぜひ来年は足を運んでみてはいかがでしょうか。エリーゼだけでなく「エキシージ」や「エヴォーラ」といった現行モデル、それに新旧のヨーロッパにエラン、エスプリ、3-イレブン、ケータハムetc、こんなにたくさんの、しかもカラフルなロータス車を1度に見る機会はめったにないと思うのです。