飯田裕子のCar Life Diary

SKY CIRCUS サンシャイン60展望台で開催中のホンダ「UNI-CUB β」体験ツアーに参加してみた

4月21日~9月3日の期間に東京 池袋のSKY CIRCUS サンシャイン60展望台で開催されている、ホンダのパーソナルモビリティ「UNI-CUB β」の体験ツアーに参加してみました

 活用方法や性能について、現段階ではまだ研究段階であるというものの、ラボのなかで限られた人たちが触れているだけでは可能性もアイデアも広がらない……というものは、私たちが知らないだけでたくさんあるのではないでしょうか。ホンダが研究・開発を進めているパーソナルモビリティ「UNI-CUB β(ユニカブ ベータ)」を体験できる特別イベントが、4月21日~9月3日まで「SKY CIRCUS サンシャイン60展望台」にて期間限定で開催されています。

 UNI-CUBは、遡ること1989年にホンダが社内アイデアコンテストを行なった際に出展された2種類のパーソナルモビリティを、ホンダのロボティクス技術を活用しながら開発が進められてきたのだとか。これまでいくつかのアイデアがカタチになり変化を続け、UNI-CUBは2011年にプロトタイプが完成し、2012年には先代モデルが紹介されています。現在のUNI-CUB βは2013年に登場。2012年6月から日本科学未来館での実証実験を経て、2014年10月から常設サービスが行なわれているほか、モーターショーをはじめイベントなどで体験できる機会が設けられているようです。

 そのイベントの1つが、今回のSKY CIRCUS サンシャイン60展望台のフロアを巡るガイド付ツアー。私自身はUNI-CUBの“チョイ乗り”の経験はあったものの、30分間も乗ることができるという機会は初めて。しかもSKY CIRCUS サンシャイン60展望台も初登頂。どんな体験ができるのかとワクワクしながら現地へ向かいました。

ホンダのロボティクス技術を活用しながら開発されてきたパーソナルモビリティのUNI-CUB β。先代のUNI-CUBからシート位置が低くなり、より幅広い人が利用しやすくなったUNI-CUB βは屋内バリアフリー対応空間での利用を想定し、最高速は6km/h。リチウムイオン電池を搭載し、1度の充電で約1.5時間(使用状況により異なる)の利用が可能
UNI-CUB βについては本田技研工業株式会社 ビジネス開発統括部 スマートコミュニティ企画部 モビリティビジネス企画課 チーフの高杉悦子氏(左)に、スカイサーカス サンシャイン60展望台については株式会社サンシャインシティ コミュニケーション部 係長の栗原剛氏(右)にそれぞれ話をうかがった

 ツアーの前にいくつかの確認を行ない、手荷物を預け、参加者はガイドさんに名前を呼ばれる代わりにクマやゾウなど手書きのイラストが描かれたカードを選びます。ちなみに確認とは安全上の諸条件があり、身長145cm以上、体重100kg以下、飲酒をしていないかや体調面に問題ないか(妊婦さんも参加できません)などがそれにあたります。

 ツアー全体の所要時間は約40分(レクチャーを含んだ時間)。ツアーに出かける前にUNI-CUB βの乗り方のレクチャーを約10分受けます。UNI-CUB βは大型の車輪(Honda Omni Traction Drive System)と補助輪のような旋回性能を持つ小径車輪(オムニホイール)が前後に配置されているものの、一見すると自転車やバイクというよりも1輪車に乗るようなイメージが強い。バランスをとるのが難しいように思えますが、感覚的にはボールの上(前後左右の方向が自然に変わるため)に乗りつつ目には見えない補助輪が姿勢を安定させてくれているような安心感が得られるのです。細かな取り回しに不安を抱いていた私ですが、実際に乗ってみるとコンパクトゆえにこれが意外と体に馴染むのです。ASIMOにも求められた精度の高い姿勢安定制御、前後左右斜めの動きや旋回、駆動力にも優れているわけですが、まあ、難しいことは考えないでとりあえず乗ってみるべし。

UNI-CUB体験ツアーは1回あたり4名が参加可能。所要時間は約40分。料金は600円(別途展望台入場料が必要)
参加者はガイドさんに名前を呼ばれる代わりに、クマやゾウなど手書きのイラストが描かれたカードを選びます

 UNI-CUB βはスイッチを入れれば、ロックを外した状態でも自立していられます。バイクのサドルのようなシートに腰掛け、座った状態で重心移動をするだけで走る・曲がる・止まるができるのです。最高速は6km/h。ともすれば歩行者よりも遅いくらいとも思える速度であるため、止まる動作についてはペダルに載せている足を床に降ろすだけでピタッと止まれる。イザというときも安心だと感じました。

 というわけでひととおりの動きを確認したあと、いよいよツアースタート。ガイドさんはUNI-CUB βのレクチャー役も務めてくださった“天空ナビゲーターのチーちゃん”。ちなみに私はここでは“ゾウさん”と呼ばれます(笑)。

初めに前進や左右、旋回の仕方のレクチャーを受けます

 天空251(海抜251mの高さにちなんで命名)のフロアで最初に向かったのは、一面を囲む大きな窓。新宿のビル群から奥を覗くと東京タワーが見える。するとチーちゃんから豆知識の紹介あり。「東京タワーの名称の由来は……」という内容でしたが、詳細は実際に聞いてみてください。ちょっとした方向転換は足も使って行ない、説明を聞くときは両足は床に。UNI-CUB βは先代モデルから全高が低くなり、低めのイスに腰かけている感覚で景色を見たりお話を聞いたりすることができるのです。

 2016年にSKY CIRCUS サンシャイン60展望台として誕生した当展望台は、これまでの“眺望が楽しめる展望台”から“体感できる展望台”へとフロアそのものをエンターテインメントスペースに。「東京を空から面白く」がコンセプトなのだそうです。各コンテンツは大学や各界のスペシャリストが担当しているそうで、かなり斬新で本格的なそれらは、新鮮さとともにアーティスティックな体験ができると実感。フロアは7つのエリアに分かれており、26のコンテンツが楽しめるそうです。

いよいよツアースタート!
まずは海抜251mから見渡す東京の街をツアーガイドのチーちゃんが紹介してくれました
UNI-CUB体験ツアーはイスに腰かけながら風景を眺められる楽チンさも魅力

 例えば「ワンダーミラー」は鏡1つひとつに異なる仕掛けが隠れていて、それを探りながら遊ぶというもの。ココで私は「ミラーの前にいるはずの私がミラーに写っていな~い!(ビックリ)」、という透明人間になれる不思議なミラーを体験。「カレイドスコープ60」は壁に60個の穴が開いていて、万華鏡のような古典的なものからデジタル要素のあるものなどすべて異なる模様を採用。その穴のなかの模様はスマホなどで撮影できます。

 また、夜になって暗くなると2人の相性診断ができる「フォーチュンウィンドウ」のほか、光ファイバーを優しく撫でると音が出る「BABY CLOUD」や、傘の下に入って柄を握ると傘の上に雨粒や霰、ボールなどが落ちて当たる感覚が楽しめる「アソブレラNEXT」、当フロアの目玉でもあるVRコンテンツやカフェ、スーベニアショップなどが用意され、ツアー後に改めてゆっくりと体験してみたい内容をUNI-CUB βでロケハンする、という見方もできます。もちろん風景散歩もしかり。東京ドームが見えたり、スカイツリーが見えたり。そこにちょいちょいチーちゃんからの豆知識が紹介されるわけです。

スカイサーカスのコンテンツ「ワンダーミラー」で透明人間体験!?
「カレイドスコープ60」では穴のなかの模様をスマホなどで撮影することができる
夜こそ試してみたい「フォーチュンウィンドウ」。夜景もゼッタイにキレイだと思うSKY CIRCUS サンシャイン60展望台ならではのコンテンツ
触り方で音が変わる「BABY CLOUD」は、光ファイバーに映像を映し出す技術を採用した直感型インタラクティブコンテンツ
傘の上に雨粒や霰、ボールなどが落ちて当たる感覚が楽しめる「アソブレラNEXT」
ぐるぐるSHOTで記念撮影なんてことも。撮影用ホールが用意されているので、スマホで簡単に撮影できる
Cafe Quu Quu Quuではその立地を活かしたオリジナルドリンクや、カレーやロコモコなどフードメニューも人気なのだそうです。いま人気なのはパイとバニラ&チョコアイス、自家製プリンを楽しめる「moku moku 気球パフェ」(850円)とのこと
ツアー後半に体験した「SKY PARTY」では、UNI-CUB βに乗りながら雨雲と追いかけっこができる。このころになるとUNI-CUB βを自在に扱える感覚を楽しさとともに実感できてきました
VR体験はブランコ型体験コースター「スウィング・コースター」(400円/利用制限あり)に挑戦。街中をブランコで移動しつつ、高度が変わるような体験をワクワク&ドキドキしながら楽しめます。VRって不思議ね
お土産が買える「SKY CIRCUS SHOP」などは、あとでゆっくり見ようという気にさせられました

 そんなわけで40分ほどのツアーはあっという間に終了。UNI-CUB βでの移動も歩くような移動感覚で自然とでき、もっと乗っていたいというのが正直な感想でした。

 チーちゃんにこれまでガイドをした方の反応をうかがってみると、「楽しかった」とか「家に欲しい」という感想もありつつ、「もっと乗っていたい」というのが一番多い意見なのだとか。その気持ち、実によく分かります(笑)。

 UNI-CUB βというパーソナルモビリティの体験と同時にスカイサーカスのさまざまなコンテンツが楽しめるこのツアー。これまでにない移動体験とともに、いつもと違う目線で景色やアトラクションを見てみてはいかがでしょうか。実は乗り物と人との混合はどうなるのかという興味がありましたが、ホンダの方やチーちゃんのようなガイドさんたちのこれまでの経験から、「スピードが出るものではないので、歩いているときと同じように譲り合って見られる」とのこと。確かに納得。

「生活のなかに溶け込むことのできる移動を目指す」というパーソナルモビリティのこれから。イベントや展示会の見学、ショッピングモールや空港、ミュージアム、遊園地、水族館などなど、どのような場所でどんな方々がどのように利用できる可能性があるのか。そんなことを考えながらの体験となりましたが、まずはホンダが研究/開発中のパーソナルモビリティがどのようなものなのか、UNI-CUB βで体験してみてはいかがでしょうか。

ゴールデンウィークの予定がまだ決まっていない方は、見晴らしのよいSKY CIRCUS サンシャイン60展望台でのUNI-CUB体験ツアーに参加してみてはいかが?
UNI-CUB体験ツアー

SKY CIRCUS サンシャイン60展望台:東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティ サンシャイン60ビル 60F
開催期間:2017年4月21日~9月3日 10時~22時(営業時間中 毎時30分~。最終日のみ21時20分より実施)
料金:600円(別途スカイサーカス サンシャイン60展望台の入場料が必要)
ツアー実施回数:12回/日
所要時間:40分(乗車方法のレクチャーなどを含む)
1回あたりの定員:4名

飯田裕子

■日本自動車ジャーナリスト協会会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員/日本自動車連盟 交通安全・環境委員会 委員
東京生まれ、神奈川育ち。自動車メーカーでOLをした後、フリーの自動車ジャーナリストに転身。きっかけはOL時代に弟(レーサー・飯田章)と一緒に始めたカーレース。その後、女性にも分かりやすいCar&Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は「人とクルマと生活」。幅広いカーライフを柔軟に分析、紹介のできる視野を持つ。自身の2年半の北米生活経験や欧米での豊富な運転経験もあり、海外のCar&Life Styleにも目を向ける。安全運転やエコドライブの啓蒙活動にも積極的に取り組んでおり、近年はIT技術を採用するクルマの進化とドライビングスタイルの変化にも注目。ドライビングインストラクターとしての経験も15年以上。現在は雑誌、ラジオ、TVなど様々なメディアで様々なクルマ、またはクルマとの付き合い方を紹介するほか、ドライビングスクールのインストラクター、講演、シンポジウムのパネリストやトークショーなど幅広く活動中。