ニュース

日産とNISMO、「2016年モータースポーツ活動計画」発表会

総監督は柿元邦彦氏に代わり田中利和氏が就任

2016年2月28日 開催

 日産自動車とNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は2月26日、2016年のモータースポーツ活動概要を発表。2004年から12年間にわたってSUPER GTの日産系チームの総監督を務めた柿元邦彦氏に代わり、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 常務執行役員の田中利和氏が総監督に就任。「Nissan GT-R NISMO GT500」で3連覇に挑む。2月28日に日産グローバル本社で各GT500クラスのチーム監督やドライバーらが勢揃いする発表会が行なわれたので、その模様をリポートする。

日産自動車株式会社のCPLO(チーフ・プランニング・オフィサー)フィリップ クラン氏のビデオメッセージ。「日産を表現するのにサーキットが一番適している」とコメントした
ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)宮谷正一氏

 ニッサン・モータースポーツ・インターナショナルの宮谷正一社長が登壇し、2015年のレース成績について話した後、2016年のモータースポーツ活動内容について説明。GT3マシンの「Nissan GT-R NISMO GT3」で欧州、アメリカなど世界各地のレースに参戦することを紹介し「3週間前にオーストラリアで行なわれたバサースト12時間では、マクラーレンと僅差で2連覇はならなかったが、たいへんよいレースができた。この勢いで2016年も世界各地でモータースポーツ活動に全力で取り組んでいく」と語った。また、国内レースでは「GT500では4台のGT-R、どのチームも優勝を狙えるチームだ」とコメント。「GT300も長谷見監督のもとで、どんなパフォーマンスをしてくれるのか期待している」とも話していた。

宮谷社長のプレゼンテーションにあったスライド。豪州のV8スーパーカー選手権に日産 アルティマで参戦し、スーパー耐久シリーズ(ST3クラス)にフェアレディZ NISMO RCが参戦。昨年にカナダでスタートした日産マイクラカップも継続されるとのこと
12年間にわたって日産系チームの総監督を務めた 柿元邦彦氏

 また。12年間にわたって日産系チームの総監督を務めた柿元氏に宮谷社長は「柿元さんは12のタイトルを日産に与えてくれた。SUPER GTの会場に居ないことは考えられないので、日産チームのアンバサダーとして活躍してもらいたい」とコメントし、柿元氏は「48年間にわたりモータースポーツに従事してきましたが、理不尽なことにも耐えていただいたさまざまな同僚、仲間に支えられてここまで来られた」と挨拶して、会場に集ったファンに「NISMOのモータースポーツは永遠でないといけない」とメッセージを送った。挨拶後、本山哲選手から花束が贈呈されると、とても嬉しそうな笑顔を見せた。

4台のNissan GT-R NISMO GT500でGT500クラスに参戦。千代勝正がデビュー

NISMO チーム。左から松田次生選手、鈴木豊監督。(ロニー・クインタレッリ選手はインフルエンザにより欠席)
TEAM IMPUL。左から安田裕信選手、星野一義監督、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手
KONDO RACING。左から佐々木大樹選手、近藤真彦監督、柳田真孝選手
MOLA チーム。左から本山哲選手、大駅俊臣監督、千代勝正選手

 日産は2015年にグローバルで9つのチャンピオンを獲得し、SUPER GT GT500クラスのシリーズチャンピオンを2年連続で獲得。2016年は4チームにより3年連続チャンピオンを目指す。

 NISMOチーム(鈴木豊監督)は「MOTUL AUTECH GT-R」を松田次生選手/ロニー・クインタレッリ選手がドライブ。TEAM IMPUL(星野一義監督)は「カルソニック IMPUL GT-R」を安田裕信選手/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手がドライブ。KONDO RACING(近藤真彦監督)は「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」を佐々木大樹選手/柳田真孝選手がドライブ。

 そしてMOLA(大駅俊臣監督)チームの「S Road CRAFTSPORTS GT-R」には本山哲選手に加え、2年間ブランパン耐久シリーズやバサースト12時間レースなど海外でも経験を積んだ千代勝正選手がGT500クラスにデビューする。

 2016年は規則により空力部品とサスペンション部品の開発が凍結されているため、2015年仕様車のエンジン性能の向上を図ることと、各チームとタイヤメーカーが共にタイヤ性能向上を重点に開発している。エンジンの基本仕様は継続されているが、規則変更で5%低減した燃料リストリクターに適合するよう、エンジンの燃焼・吸排気に細かな変更を加えることで、より高い燃焼効率と信頼性を実現しているとのことだ。

 各チームが使用するタイヤは、NISMO/MOLAがミシュラン、TEAM IMPULがブリヂストン、KONDO RACINGがヨコハマタイヤ。

SUPER GT GT300クラスやスーパー耐久シリーズに参戦

 SUPER GT GT300クラスには若手育成を担うNDDP RACING(長谷見昌弘監督)の「B-MAX NDDP GT-R」がエントリーし、NISMOアスリートのヤン・マーデンボロー選手が星野一樹選手と共にシリーズを戦う。

NDDP RACINGチーム。左からヤン・マーデンボロー選手、星野一樹選手、長谷見昌弘監督
B-MAX NDDP GT-R

 スーパー耐久シリーズのST-Xクラスには、引き続き日産自動車大学校とKONDO Racingの共同チームが、今年で5年目となる日産自動車大学校の授業の一環として学生たちがレース活動に取り組む「スリーボンド日産自動車大学校GT-R」で出場する。

「スリーボンド日産自動車大学校GT-R」。レース活動が授業の一環というのが、いかにも日産自動車大学校らしい

Nissan GT-R NISMO GT3は、新たにブランパンGTシリーズ スプリントカップにも参戦

 昨シーズンにブランパン耐久シリーズのプロクラスでシリーズチャンピオンを獲得した「Nissan GT-R NISMO GT3」は、チャンピオンを獲得したブランパンGTシリーズ エンデュアランスカップ(旧ブランパン耐久シリーズ)に加え、ブランパンGTシリーズ スプリントカップにも参戦する。

 エンデュアランスカップ プロクラスには、アレックス・バンコム選手、ルーカス・オルドネス選手に加え、日本の若手ドライバー高星明誠選手をNISMOから派遣。またプロ・アマクラスには2015年のGTアカデミーインターナショナル部門勝者のマット・シモンズ選手とGTアカデミーヨーロッパ部門勝者のロマン・サラザン選手がショーン・ウォーキンショー選手とチームを組みタイトルを狙う。

SUPER GT監督&GT500 ドライバーのトークショーも開催

 日産の発表に続いて、2016年のSUPER GTチーム監督とGT500ドライバーが出演するトークショーも開催された。先ず総監督の田中氏が「日産のチームワークのよさ、それぞれのチームがライバル意識をもって緊張感を忘れずに戦うことができるのはもちろん、勝ちにこだわったレースができる。どのチームもレースのプロフェッショナルだから、各チームで最終戦までタイトルを狙うきわどいレース転換が予想される」と語った。また、「総監督の最初の仕事は、インフルエンザになったロニー・クインタレッリ選手に欠席しろと言ったこと」と話して会場内の笑いを取った。

田中利和氏総監督
NISMOチームの鈴木監督は「厳しいことだが、もちろん3連覇を狙っている」と闘志を見せた
TEAM IMPULの星野監督は「NISMOチームが3連覇なんて甘い。でも日産の中で1-2-3を競っているなんてすごいことだ。我々は、いい走りをしていい戦いをする」と語った
KONDO RACINGの近藤監督は「ドライバーやスポンサーが変わり、クルマのカラーリングも大きく変わった。シーズンオフもさまざまな調整に時間がかかった」とコメント
MOLAチームの大駅監督は「昨年の最終戦までチャンピオン争いをしていたので、今年も狙えると思っている」と静かながらも力強いコメント
NDDP RACINGチームの長谷見監督は「ヨーロッパ車がニューカーになる中、レギュレーションの関係で我々は去年と変わらないクルマ。さらに、ヤン選手が走っているのを、まだ見ていない」と語った
会場内にはSUPER GT 2003に出場していた「No.23 XANAVI NISMO GT-R」なども展示
No.12 カルソニック スカイライン
スカイライン GT-R '69 IAFグランプリ 優勝車仕様

(酒井 利)