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ロールス・ロイス、「レイス・ブラック・バッジ」を日本初公開
2016年末までに日本市場に導入予定。価格は「既存モデルから500万円前後アップ」
(2016/5/27 00:01)
- 2016年5月25日 開催
ロールス・ロイス・モーター・カーズは5月25日、2016年3月のジュネーブモーターショーで発表したニューモデル「レイス・ブラック・バッジ」を東京都内で日本初公開した。
近年のロールス・ロイスは、全世界におけるユーザーの平均年齢がこれまで50歳代だったところが40歳代に下がっている。日本でも2009年に導入されたゴースト、2013年のレイス、そして2016年のドーンと新しいモデルが登場するたび、同様に若い世代のユーザーがロールス・ロイスを選ぶようになってきているとのことだ。
そこでロールス・ロイス・モーター・カーズは、自信みなぎる若い型破りな世代や、妥協せず、言い訳をしない生き方とライフスタイルを持った世代に向けて新しいレイス・ブラック・バッジを造り上げたという。発表会で使われた日本向けの表現は「夜、1人で湾岸線や首都高速を走りに行きたいと思う人」、さらに「サーキットまで走りに行くときに、リラックスできる足グルマが欲しいと思っている人をイメージしている」となっていた。
車両についての細かい解説は、今回の公開のために来日したロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋 プロダクトアンドオペレーションズマネージャーのスヴェン・グルンヴァルト氏に加え、ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋地域 セールス ジェネラル・マネージャーのマイケル・シュナイダー氏の2人から行なわれた。
会場に張られていたベールが降ろされると、奥に控えていたレイス・ブラック・バッジがゆっくりと前進。所定の位置で停車したあと、車内からグルンヴァルト氏とシュナイダー氏が特徴的な後方ヒンジのドアを開けて会場に姿を現わすという演出がなされた。
このレイス・ブラック・バッジの特徴は、ダークで大胆な仕上がりを求めるために全体をブラックトーンでまとめているところで、とくに注目すべきはブラッククロームのフロントグリル。そして車両前後に装着される「ダブルRバッヂ」は従来品から配色を反転。ブラックを背景にシルバーで描かれるデザインとなっている。さらにフロントノーズに装着する「フライング・レディ(スピリット・オブ・エクスタシー)」も、形状や素材は従来と同様だが、“オーナーになる人の影の面を表現する”という意味から高光沢のブラック仕上げになっていることなどが挙げられる。これらに加えて、トランクリッドやフロントロアグリルのアクセント、マフラーエンドなどにもダーク調のクロームを採用している。
走りのイメージを強調しているレイス・ブラック・バッジだけに、搭載する6.6リッター V型12気筒エンジンは最高出力こそ465kW(632PS)と不変ながら、最大トルクは既存モデルのレイスから+70Nmとなる870Nmに強化している。この力強さについては「信号待ちからの発進加速も楽しみになるもの」と紹介された。また、トランスミッションはZF製の8速ATが組み合わされている。
サスペンションは既存モデルと同様にエアサスペンションとなっていて、その乗り味はロールス・ロイス車の乗り味を語るときに使われる「魔法のじゅうたん」的なものだが、レイス・ブラック・バッジでは俊敏さを狙ったセッティングも追加された仕様になっているという。
そんな乗り味のよさにも貢献するのが、レイス・ブラック・バッジが装着する21インチホイール。これはロールス・ロイスが4年の歳月を費やして開発したアルミニウム+カーボンファイバーホイールだ。構造は22層のカーボンファイバーレイヤーが3軸方向に重ねられていて、リムの外側エッジではそれを折り返すことでレイヤーを44層として強度をさらに高めているというもの。また、ハブ部は航空機グレードのアルミニウム合金を鍛造成型した立体構造で、これを宇宙機器用の高強度チタンファスナーを使って結合している。
こうしたカーボンファイバーとアルミニウムの一貫したテーマは、エクステリアだけでなくインテリアにも流れている。ロールス・ロイスのエンジニアとデザイナーは、アルミニウムを折り込んだカーボンファイバーをダッシュボード、センターコンソール、ドアトリムなどに取り入れた。このパーツ構成がレイス・ブラック・バッジのインテリアの特徴だが、これらの部分以外はユーザーの好みで自由に設定できるということだ。
なお、レイス・ブラック・バッジの正式な価格はまだ公表されていないが、ミッチェル氏によれば「既存のレイスから500万円前後アップしたものを想定している」とのこと。
今回の初公開は、レイス・ブラック・バッジをロールス・ロイス・モーター・カーズのユーザーに紹介する最新ブランド展示会「Illuminate Your Senses」で実施された。このイベントは完全招待制となっており、事前に招待された人しか入場できないもの。そこで、レイス・ブラック・バッジの紹介と合わせてイベントの模様もお伝えしよう。このイベントはロールス・ロイスの車両に使われている素材、モチーフ、価値感を五感で味わってもらうことを目的としており、その目玉になるのが英国本社に所属する内装職人による匠の技と作品を間近で見られることだ。
今回公開されていた作業内容は、インパネ類に組み込む寄せ木細工を作る工程とその作例。また、ロールス・ロイス独特のインパネやボディへのイラスト、ピンストライプ施工である。
レイス・ブラック・バッジの紹介内でも触れているが、ロールス・ロイスではユーザーの好みによって内装などをオーダー製作できるのだが、例えばインパネのデザインについてだと、用意された何種類かのインパネ色から選ぶというのではなく、素材、模様などを最初からオーダーできるのだ。イラストやピンストライプに関しても同様で、サンプルがあるのではなく、オリジナルで1つずつ描いていく。
ちなみに、ボディにピンストライプやワンポイントのイラストを入れるケースもあるが、その施工は車両の製造工程で一番最後に行なわれる。そして万が一にもその施工に失敗した場合には、失敗したものを消してやり直したりせず、そのクルマ自体を廃棄して新たに作り直すという。そのこだわりは少し庶民の理解の範囲を超えるものだが、こういったこだわりがあるからこそロールス・ロイスは特別な存在として認知されるのだろう。
このほかについては写真で紹介するが、ニューモデルのレイス・ブラック・バッジと「Illuminate Your Senses」という展示会は、会場内に置かれている展示物すべてが刺激的であった。クルマの作り込みのよさに興味を持つ人にはとても楽しめる内容だと思うだけに、同様の展示会を一般にも公開してほしいと感じた。