インプレッション
2016 ワークスチューニンググループ 合同試乗会(TRD編)
2016年7月27日 00:00
「TRD(トヨタテクノクラフト)」「NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)」「無限(M-TEC)」「STI(スバルテクニカインターナショナル)」という4社の合同グループ活動である「ワークスチューニンググループ」。
日ごろのモータースポーツシーンではライバルとして切磋琢磨しているが、アフターマーケットでは競合しないとのことから、お互いのレベルアップと効率化を図ろうと、1993年より合同で活動している。
その目的はモータースポーツとスポーツドライビングの振興にあり、一般ユーザー向けのサーキット走行会なども実施している。また、1年ぶりに舞台を伊豆の日本サイクルスポーツセンターに移して開催された報道向け試乗会もその活動の一環である。
TRDは、ニューモデルの発売とともにラインアップした各種パーツをフルに装着したプリウスと、1年前の合同試乗会とは異なる仕様のヴェルファイアという2台を持ち込んだ。
TRD プリウス
TRD プリウスは、ノーマルも走りの評判は上々のところ、試乗車は乗り心地をキープしつつ、より走る楽しさが増していて、ルックスもなかなかイケている。特徴的なスタイリングには賛否両論の現行型プリウスだが、個人的にはエアロ映えするし、なかなか好み。かつてのJTCCマシンを彷彿とさせるホイールも「こう来たか!」という印象で、かえって新鮮味を感じる。
走りについて、全面的に手が入れられている中でも注目したいのは、プリウスで初採用となった新作の「モーションコントロールビーム(MCB)」だ。これはボディに対する入力を、皿バネによる反力と摩擦機構による摩擦力を組み合わせて減衰・吸収することで、ボディの変位を抑制するとともに振動を減衰させるという仕組みのパーツである。
TRDでも採用している既存のヤマハ製「パフォーマンスダンパー」とは似て非なるパーツで、剛性向上にも寄与する点が最大の違いと言える。実際に走ってみても、その効果は確かなものであることがうかがえる走りっぷりであった。ハンドリングの一体感が増し、振動が減って走り味が上質になり、いわば車格感が高まったように感じられた。なお、モーションコントロールビームは今後、「86」など他車種にも展開予定という。
TRD ヴェルファイア
TRD ヴェルファイアは、2015年のときはボディ補強を目的としたパーツなど、もっと大掛かりにあれこれとパーツが追加されていたのに対し、今回は機能系のパーツとしてはドアスタビライザーの装着とブレースの交換のみ。こうした手軽な変更でも走りの変化を体感できることを証明するのが今回の狙いだ。
ドアスタビライザーというのは構造上、スライドドアを持つミニバンに導入するのは難しいとされていたのだが、フロア下に設置されている純正ブレースを強化品に入れ替えて組み合わせると十分に機能することが分かったとのこと。今後はミニバンを含め、ほかの多くの車種にも順次展開していく予定だという。ドアスタビライザーはブレースとのセットで3万円(税別)と安価なのも魅力だ。
今回はノーマル状態の車両と比較試乗できたおかげで、よりダイレクトに違いを感じ取ることができた。まずステアリングを切ったときの反応が違って、リニアになっていることを直感した。さらには切り始めの応答遅れがなくなり、舵角は小さくなっている。フロアの微振動も減って乗り心地も改善していた。手軽に装着できるパーツながらも、確実にボディ剛性が向上するというスグレモノだった。