【インプレッション・リポート】
岡本幸一郎の日産「フーガ」インプレッション

熟成を進めた技術と、新たに搭載された技術


 2009年11月19日に2代目へとフルモデルチェンジした日産自動車の「FUGA(フーガ)」。日産の最新技術を惜しみなくつぎ込み、さらに大胆すぎるほどの艶やかなデザインを与えられたフラッグシップセダンだ。ドライバーズカーと、ショーファードリブンの二面性を持つこのクルマを、モータージャーナリストの岡本幸一郎氏が評価する。

日本を見たクラウンと世界を見たフーガ
 このところの日産車には、個性的で強烈な存在感を放つスタイリングから、街中であっても思わず目で追ってしまう車種がいくつもある。GT-RやZは言うまでもなく、スカイラインのセダンにクーペ、さらにはクロスオーバー、あるいはムラーノも入ってくるだろう。個性的で魅力的なデザインのクルマとして、これほど何台もの車種がパッと挙げられるのはたいしたものだと思う。そして、そこに新たに加わったのが、今回レビューをお届けする2代目フーガだ。

 実のところ、今年厄年を迎える筆者も、昔はあまり興味のなかったセダンに少し前から興味が沸き始めていて、初代フーガも気になる1台ではあった。しかし、インフィニティの「M」として送り込まれた北米市場では好調だったようだが、日本での販売は苦戦と言わざるをえない状況に。これほど宿敵クラウンに大差をつけられるとは、日産自身も予想していなかったことだろう。

 日本での不振の理由としては、伝統ある「セドリック/グロリア」の車名をやめたこと、丸っこいスタイリング、硬い乗り心地など、いくつか考えられるわけだが、クルマとしての仕上がりがゼロ・クラウンの圧勝だったわけではない。むしろ、よいと感じさせる部分はフーガにもたくさんあった。

 クラウンは一足先に2008年2月にモデルチェンジ。さすがは日本でもっとも売れている高級セダンらしく、いたってキープコンセプトであった。クラウンは、中国での販売も相当な数となっているようだが、あくまで日本を最重要視しているはず。対するフーガの主戦場は北米。さらに初代の途中より中国にも投入している。そしてフーガは2009年11月、ご覧のとおりのクルマになった。よい意味で、ここまでやるとは思わなかった。

 そこにあまり「日本」らしさは見えてこない。日産がフーガを日本でももっと売りたいのであれば相応の手段もあったはずだが、そうはしなかった。しかし、好き嫌いは分かれるだろうが、より“極めた”フーガに共感する国内ユーザーを確実に取り込めるだろうから、これでよいと思う。

大胆なデザインのエクステリア
 ボディーパネルには、まっすぐとか平らな部分がまったく見当たらない。キャラクターラインを入れることなく面構成のみで、これほどの色気を表現しているのが印象的。しかも軽量化のためアルミを多用している。アルミを複雑に成型するのは相当に難しいはずだ。ただし、何かあったときに板金補修が大変そうではある……。

 ちょっと「おやっ?」と思ったのは、今や高級車の常識になりつつある、ドアミラーにウインカーを内蔵させる手法を採用していない点。きっと何か事情があるのだろう。

 ちなみに試乗の途中で立ち寄った駐車場で、40~50代の専門職と思しき男性に声をかけられた。まだ発売されたばかり(取材時点)の新型フーガに非常に興味を持っている様子で、いろいろな角度から眺めては「カッコイイですね」と連発していた。この男性にとっても新型フーガのスタイリングは魅力的に映ったようだ。

 日本で販売されるモデルのエンジンは2種類で、スカイラインセダンと同じ。いずれもV6の、VVEL仕様の3.7リッター「VQ37VHR」と、2.5リッターの「VQ25HR」。もちろんグレード名の数字と同じ。もっとも贅沢な「370VIP」以外にはすべて「GT」の名が付き、さらに「370GT」には「タイプS」がある。タイプSは20インチタイヤを履き、バンパーなどのデザインも異なり、スポーティな走りを意識したチューニングが施されている。

370GT タイプSは、バンパーの意匠なども異なり、ホイールは20インチ、ブレーキは対向キャリパーを装着する
ヘッドライトも個性的で、フーガの魅力を象徴しているグラマラスなフェンダーライン。プレスラインが見あたらないウィンカーを内蔵しないドアミラー。サイドブラインドモニター用のカメラが装着されている
250GT。タイヤは18インチでブレーキも一般的なフローティングタイプとなる

Eクラスにも負けない高級感のインテリア
 ドアを開けてシートに収まった瞬間、まずは質感の高さに圧倒される。インテリアもエクステリア以上に徹底的に直線部分を廃した、妖艶なデザインとされている。むしろインテリアのほうが大胆にRがつけられ、しかも立体的でもありと、ちょっと不思議な感覚の空間が構築されている。メーターさえも平面ではなく凹面に配されており、フードにはソフトパッドが配される。

 最近日産が採用している、レバーの内側からも外側からも操作できるインナードアハンドルの形状もユニークで、使いやすい上、視覚的にもよいアクセントになっている。木目パネルは十分な高級感があり、新しい質感を追求したというレザーの感触もよい。木目の上に銀を手作業でまぶしたというセンターコンソールも一見に値する。総じて、内と外の調和は巧く取れていると思う。

350GTのインテリア。カラーはブラウンだシートはセミアニリン本革シート。メーカーオプションだメーターフードさえもうねうねしたデザインだ
ステアリングにはクルーズコントロールやマルチインフォメーションディスプレイの操作スイッチなどがつくパドルシフト最近日産が採用している使い勝手のよいインナードアハンドル
木目に手作業で銀をまぶしたと言うセンターパネルセンターコンソールにはドリンクホルダーやボックスを用意

 初代フーガの印象も悪くなかったが、高級感は段違い。メルセデスのEクラスやアウディA6あたりと比べてもまったく負けていない。ただし、全体のクオリティ感はかなり高いのだが、欲をいうと、樹脂パネルの素材そのものの質感を高めたり、革シボの柄を工夫するなど、もう少し樹脂っぽさが払拭されているとなおよかった気もするところだ。

 インテリアカラーのバリエーションは、ベージュ、ブラウン、ブラックの3色が用意されるが、ベージュはガラスへの反射を避けるためかダッシュボード天面とインナードアパネル上端だけが濃いめの色になっており、それがブラウンの木目調パネルとトーンがだいぶ異なるので、ややチグハグした感もあり、ブラウンかブラックのほうがしっくりくるように思えた。

ただの本革とは違う、赤ちゃんのほっぺたのような肌触りのセミアニリン本革シートBOSEサラウンドサウンドシステムの5cmパーソナルスピーカー助手席にはパワーオットマンを装備する
250GTのインテリア。カラーはベージュだブラウンと比べると明るい車内だが、全体的な色味にちぐはぐ感を覚えてしまったシートは本革、ただしセミアニリン本革ではない

 運転席・助手席はドライバーズカーとしての演出ゆえか、けっこうタイト。左足の置き場所がトランスミッションの影響を受けてちょっと狭いのは難点だが、許せなくはない。

 後席の乗降性については、ロングホイールベースの恩恵とともに、センターピラーの下端の付け根の太さと、インナードアパネルの厚さ、適度に丸くされたシートの角などにより、足を出し入れするには十分なスペースが確保されている。

 後席は前席よりもヒップポイントがやや高く、閉塞感を薄めている。といっても頭上空間のゆとりは十分だ。クッションはかなりぶ厚く、点ではなく面でサポートする印象の良好な座り心地。後席の居住性にもかなり配慮して設計されたことがうかがえる。また、リアクォーターピラーに小窓があるおかげで、頭の斜め後方の視野に入るか入らないかというあたりが明るくなり、それがわずかながら開放感の向上につながっている。日産と言えばシーマがショーファードリブンの代表だが、フーガの後席の作りは、遠くない将来に消滅するであろうシーマの代役としても使えなくはないだろうと思えるものだ。

 トランクはかなり広く、奥行きも幅も高さも十分にあり、ゴルフバッグ4つがラクに入りそうだ。上面も含め全体が上質なトリムで覆われているあたりも高価格帯のサルーンらしい。

運転席はタイトな印象。ドライバーズカーとしての主張を感じる後席の快適性の高さは、ショーファードリブンとしての使い勝手も期待できる十分な広さがあるトランク。全面トリムで覆われているところも好印象だ

2.5リッターと3.7リッターの2つのエンジン
 2種類のエンジンは、どちらも7500rpmからがレッドゾーン。上級の3.7リッター車だけでなく、2.5リッター車にも7速ATが与えられたこともポイントだ(1月にスカイラインセダンにも採用)。ちなみに、エンジンスペックについて、3.7リッターはスカイラインより微妙に上回り(3PS、0.2kgm)、2.5リッターでは同一となっている。その2.5リッターは、エコカー減税への対応の影響か、若干トルク値が初代フーガに対してダウンしている。ちなみにフーガもスカイラインも、VQ25HR搭載車は、10・15モード燃費が従来の11.2km/Lから12.2km/Lへと1km/Lも向上しているところも特筆できるだろう。

370GTの3.7リッターエンジンエンジンは比較的後方にマウントされている250GTの2.5リッターエンジン

 2.5リッターはけっこう高回転型で、動力性能面でもこれで十分と思わせるだけの味がある。ATの5速→7速化の恩恵も、むしろ小排気量モデルのほうが大きいもので、けっして2.5リッター車が「廉価版」となっていない印象だ。

 ところが3.7リッターに乗ると、やはり段違い。出足から中間加速までの力感は2.5リッターのそれを圧倒的に上回る。VVEL(Variable Valve Event & Lift)という、吸気量の制御をスロットルバルブの代わりに、バルブタイミングとバルブリフト量で行う可変バルブ機構を採用しているのだが、踏み始めにやや飛び出し感を伴うのは、このVVELの宿命だろう。

 7速ATはとても積極的にロックアップ(トルコンを介さずエンジンとミッションが直結した状態)する印象で、エンジン回転と車速がシンクロするダイレクト感のある走りを体感できる。ロックアップ領域が拡大すると、トルコンが滑らなくなるぶんリニアな加速感が得られ、また燃費も向上する。ただし、ロックアップ領域を増やすとノイズも増大してしまう。その問題を克服するために採用されたのが、ノイズに対し逆位相の音を発生させることでノイズの低減を図るというアクティブノイズコントローラーだ。

 また、日産のVQエンジンは、力感という点では大いに評価できるが、フィーリング面では、やや回転フィールの緻密さに欠け、ガサツな印象もなくはなかった。新型フーガについても、エンジン自体の印象は、同じエンジンを積むスカイラインと大差ないのだが、そこにアクティブノイズコントローラーをはじめ、静粛性の向上が図られたことで、エンジンまでいくぶんスムーズな印象になり、上質感が増したように感じられたほどだ。

 全体的に静粛性は高く確保され、高級サルーンとして相応しい上品な空間に仕上がっていることが確認できた。それはスカイラインあたりともずいぶん印象の異なる部分である。アクティブノイズコントローラーは高価なシステムだが、フーガの高級感を高める上で、得られたメリットは大きかったと開発陣も語っている。

250GTでも7速ATとの組み合わせで十分な走りを見せてくれる。ただ、370GTで走ってみると、やはりその差を実感する

進化したFR-Lプラットフォーム
 フーガは、日産のEセグメントFR車向けグローバルプラットフォーム「FR-Lプラットフォーム」を採用しているが、現時点でのその最後発として、シャシーもだいぶ洗練された印象だ。過去にこのプラットフォームを採用したスカイラインやフェアレディZ、あるいは先代フーガでは、乗り心地の粗さ、とくにリアサスのストロークしない、ゴツゴツとした印象が見受けられたが、それがずいぶんと払拭されている。

 足まわりの機構は、フロントはスカイラインと基本的に同じ。リアは、これまでダンパーとスプリングが別々に設置されていたが、同軸になったのは大きな変更点だ。さらに、サスペンションジオメトリーの変更で横剛性を確保しつつ、ラバーブッシュはソフトにするという手法を採ったと言う。

 また、従来よりもオイル流路を増やした、周波数感応型のデュアルフローパスショックアブソーバーは、周波数の低い大きな揺れと、周波数の高いビリビリとした振動がともに抑えられている。コストの高い電子制御に頼ることなく、快適な乗り心地と姿勢変化の抑制という相反する要素を上手く両立させている。これで初期の動き出しの渋さが、もう少しなくなればさらにベターなのだが、それにはさすがに電子制御の力が必要になってくるのかもしれない。タイプSでは、20インチタイヤ&ホイールを履き、ダブルピストンショックアブソーバーを使ったスポーツチューンドサスペンションが標準装備される。乗り心地にはやや硬さが感じられるものの、従来の19インチ車よりはずっとよい。

サスペンションのジオメトリーやブッシュの硬度を変更。リアはサスペンションの取り付け方法も変わった370GT Type Sに採用されるのはダブルピストンショックアブソーバー。路面からの入力周波数に合わせて2つのピストンが減衰力をコントロールする。370VIPや250GT Type Pのコンフォートサスペンションでも使われる

4WSは概ね成熟
 タイプSに標準装備される4WSも、だいぶマトモになったと思う。4WSというのは、日産では早くから着目してきた分野で、過去は「HICAS」と呼んだものまで遡るが、いったん消滅。そして近年、M35ステージア、Y50フーガ、V36スカイラインなどに再び4WSを採用していた。しかし、それら4WS車を試乗した印象は、あまりよいものではなかった。ステアリング操作をして期待するヨーモーメントと、実際に発生するヨーモーメントにどうしてもズレが生じがちだし、それが速度域によっても一定しないため、修正舵が必要になるシーンが少なくなかった。また、V36スカイラインのセダンでは、切り始めがクイックすぎることも気になった。

 ところが、新型フーガのそれは、一連の動きがだいぶリニアに仕上がっていた。ステアリングを操作したとおりにフロントが素早い反応速度で反応するし、リアのよけいな動きをしないので、オツリをもらうこともない。さらにロールの仕方も、あまり前のめりになることもなく、前後のロール軸が路面に対して平行で、4輪がしっかり接地する感覚がある。コーナリング時の安定感も上がって、限界が上がったような感覚となっている。

 ライントレース性も概ね良好で、修正舵を当てる必要もない。ステアリングは初期がけっこうクイックレシオなのだが、概ね上手くまとまっているし、これくらいやらないと俊敏性は感じられないだろうから、これでよいと思う。

 ただし、細かく見るとまだ煮詰める余地もある。ステアリングレスポンスはシャープで、舵角を与えたときはよいのだが、微小舵角では応答しない領域がある。また、おそらくオーバーステアを嫌ってのことだろうが、舵角を大きめで一定にしているのに外側に膨らんでしまうようなシーンもある。そして、速度によってその感覚が変わるので、期待と異なる反応をすることもある。という感じで、よくできているなと思いつつも、現状は妥協点を線で結んだような印象と言えなくもないので、もう少し全体がスムーズに連続性のある仕上がりになることに期待したい。

V36スカイラインでは挙動がやや顕著すぎる感があった4WSだが、フーガではよりリニアに仕立てられていた。車重を感じさせないクイックなハンドリングを実現している

ブレーキはやや改善を望む
 ブレーキは車重に対し十分なキャパシティを身につけていることはわかったのだが、フィーリングにちょっとナーバスな面が見られた。「効きがよい」と感じられるよう、ブレーキ踏力に対して制動力を補正する機能を持つのだが、タイプSのほうでとくに、あるポイントを境に、減速Gがイメージよりも大きく変わりすぎる領域がある。VIPを乗せることもあるであろうクルマだから、不快な思いをさせないためにも、さらなる洗練を望みたい。

ブレーキは、370GTタイプSにフロントが対向4ピストン、リアが対向2ピストンのブレーキキャリパーがおごられる

フラッグシップに採用された計12の先進技術
 日産はセドリック/グロリアの時代からフラッグシップモデルに初モノの先進技術を採用してきたが、2代目フーガにも計12の先進技術が採用されている。その中から注目すべき装備をいくつかを紹介したい。

アクセルペダルを押し戻すような反力を発生させる「カーナビゲーション協調機能付インテリジェントペダル」

 ひとつは「カーナビゲーション協調機能付インテリジェントペダル」だ。日産では、すでに初代フーガで「インテリジェントペダル」を実用化しているが、これをカーナビと組み合わせたところがポイント。地図データによるコーナー情報をもとに、アクセルペダルに軽い反力を発生させて注意を促し、さらに足を離すと滑らかに減速させるというものだ。反力の加減に慣れるまで少々わずらわしく感じられる部分もあるが、オーバースピードでのコーナー進入が原因で起こる事故を防ぐ上では大いに有効と言えるだろう。

 また、横滑り防止装置VDCのシステムを応用した「アクティブスタビリティアシスト」により、4輪それぞれのブレーキ制御やエンジントルクを調整することで、限界域でのコーナリングで車両の動きを滑らかに制御している。一般走行の範疇では、この機能の恩恵にあずかることもないが、とっさの場合、あるいは運転の不得手なドライバーがセオリーを無視したハンドル操作を行ったような場合に、これの有無によってクルマの挙動がだいぶ違うことが確認できた。とても自然に、違和感なく、安全にクルマの動きを制御していて、逆におせっかいなほど介入して、わずらわしく感じるようなこともない。

 車内空間の快適性の向上については、森林の空気を構成する風、温度、湿度、香りに着目して開発された世界初の「フォレストエアコン」の採用が挙げられる。車内を自然環境に近づけることでストレスの元を取り除くのが狙いとのこと。ダッシュのアッパーベントとインパネのフロントベントの吹き出し風量をランダムに制御して、そよ風のような自然な感覚の風とした「ゆらぎ風」や、「みどりの香り」「香木の香り」の2つを交互に間欠的にベント風に乗せて供給する「アロマ」のほか、乾燥しすぎや窓曇りを検知してエアコンの除湿運転を最適に制御したり、車内外の臭いを検知することで空気取り入れ口の開閉を自動的に制御。また、濃度の高いプラズマクラスターイオンをベント風で供給することで除菌と臭いを低減したり、ブドウ種子ポリフェノールを添加した繊維で作ったフィルタでアレルゲンを不活性化するといった機能を備えている。

 「快適性」とは難しいもので、不快であればそれを感じるものの、快適であればあまり意識されることもないわけで、この先進のエアコンも、その存在に気づかせられる部分としてはアロマの割合が大部分ではあるのだが、より車内で快適に過ごせるよう、こうした数々の技術が駆使されていることをお伝えしておきたい。

 カーナビゲーションシステムも、さらに進化しており、道路に設置された光ビーコンや車両検出センサー、信号などのシステムとの連携によるITSの分野で他社をリードする日産らしく、数々の新技術を用いている。

 まず、小学校付近などで安全運転を注意喚起する機能を採用している。そして、コーナーの度合いや交差点および料金所までの距離などの地図情報をもとに、エンジンとトランスミッションを協調制御することで、燃費を向上させる機能も持つ。また、これまでのVICSだけでなく、「カーウイングス」のセンターから配信される各種情報を活用することで、より最速のルート探索を可能とし、渋滞に遭う頻度を減らすことでエコ運転を支援するという機能も与えられた。こうした、安全運転支援とエコ運転支援に直結する機能を備えているのも好ましい。

総括、買いは370GT タイプS
 2代目フーガは、視覚的にも、触れた感覚においても、従来よりも大きく高級車としての資質を磨き上げた。そして乗り味の面でも、従来気になった部分を洗練させるとともに、走りそのものの素性を高めてきた。

 そんな2代目フーガのイチオシは、どうこういっても370GTのタイプSだ。2.5リッターの250GTと3.7リッターの370GTの価格差は約30万円にすぎない。であれば、せっかくフーガを買うのであれば、自動車税や実用燃費には目をつぶって、よりフーガらしさを堪能できる3.7リッター、そして、日産らしいダイナミックなドライブフィールを味わえる、タイプSこそ本命だと思う。

【お詫びと訂正】記事初出時、スカイラインではトランク内上面がトリムで覆われていないという表現がありましたが、誤りでした。 お詫びして訂正させていただきます。

(岡本幸一郎)
2010年 2月 19日