写真で見るBMW「535i グランツーリスモ」 |
セダン、クーペ、カブリオレ、ワゴン、SUVと広がってきたBMWのボディーバリエーションだが、その最も新しい提案はファストバックスタイルを持つ5ドアのサルーンだ。
「グランツーリスモ」と名づけられたこの車種は、当初は「PAS」(プログレッシブ・アクティビティ・セダン)と呼ばれ、セダンとSUV、ワゴンの使い勝手を併せ持ったものとされている。
こう書くと、同じような時期に日本に導入されたアウディの「A5スポーツバック」が思い起こされる。しかし、ファストバックの5ドアサルーンという同じボディー形式を持っていても、2台のでき上がりはまるで違うものになった。
ファストバックと聞くとスポーティな車種を思い浮かべるが、535i グランツーリスモはセダンよりも高めのルーフを持っており、ドライバーはアップライトな着座姿勢をとる。セダンの派生というよりも、「X6」のようなSUVのタイヤを小さくして、車高を落とした車種と考えるとしっくりくるのではないか。あるいは、米国市場で人気のある、ミニバンとセダンの中間にあるような車種とも考えられる。
4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載する「550i」と、3リッター直列6気筒ツインスクロールターボンジンを搭載する「535i」の2モデルが用意されるが、今回紹介するのは535iのほう。直列6気筒と言えばBMW伝統のエンジン型式だが、このユニットは新開発で、可変バルブリフト機構「バルブトロニック」に直噴システム、ツインスクロールターボと、最新の技術を取り入れている。最高出力225kW(306PS)/5800rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/1200-5000rpm)と性能に不足はなく、大柄なボディーを軽々と引っ張る。トランスミッションは8速ATで、後輪を駆動する。
535i グランツーリスモの価格は878万円だが、撮影した車両にはメタリックカラー(8万5000円)、Vスポーク・スタイリング315アロイ・ホイール(34万7000円)、フロント・コンフォート・シート(13万円)、ヘッドアップ・ディスプレイ(20万1000円)のオプションを装備しており、合計価格954万3000円となっている。
5シリーズ グランツーリスモのハイライトは「ツイン・テールゲート」。ナンバープレートの上に2つあるゲートオープンスイッチのうち、右を押すと通常の5ドア車のようにリアウインドーごと大きく開き、右を押すとウインドーから下の部分だけ開く。前者では大きな荷物の積み降ろしがしやすく、後者では荷物の出し入れ時にパッセンジャールームに外気が入らない |
リアシートは4:2:4の分割可倒式だが、シートの後ろにパッセンジャールームとラゲッジルームを仕切るパーテションがあり、シートとは別々に倒れる | ||
テールゲート全開時のラゲッジスペース。取り外し可能なトノボードが付く | ||
ウインドーから下だけを開けたときのラゲッジスペース。このモードでは4ドアセダンと同じ使い勝手になる |
ラゲッジルームには大小2つの床下収納がある。ランフラットタイヤなのでスペアタイヤやパンク修理キットは搭載していない |
3人掛けの後席は、6:4分割で前後に100mmスライドする | 後席スライドレバーは座面のすぐ下 | |
後席の装備は控えめ |
センターコンソールの物入れ。シガーライターソケットとAUX端子、イルミネーションがある | 反射板とレンズの造形が美しいルームランプ。マップランプも備える |
パワーシートのメモリースイッチはドアに。2パターンを記憶できる | 電動ミラーとパワーウインドーのスイッチ |
スカッフプレートのロゴもイルミネートされる |
メーターパネル下部の液晶ディスプレイに、車両情報や警告、オーディオ情報などを表示できる |
スピードメーター下部のオンボードコンピューター表示。航続距離、燃費情報、平均速度など表示できる | ||
フロントウインドーのドライバーの前に様々な情報を表示できるオプションのヘッド・アップ・ディスプレイ。速度、各種警告のほか、カーナビのガイドが表示される |
ドアロックやシートヒーターの設定も可能 |
7シリーズで初めて採用されたオンボードマニュアルを5シリーズ グランツーリスモも搭載。グラフィック表示された車体各部の説明を見ることができる。50音で検索することも可能。また基本機能を説明するクイックリファレンスも搭載する |
(安田 剛 / 編集部:田中真一郎)
2010年 3月 11日