写真で見るマツダ「プレマシー」 |
7月に登場したコンパクトミニバンの新型プレマシーは、2005年に登場した先代プレマシーの基本コンセプトを踏襲しながら進化させ、新たにアイドリングストップシステム「i-stop」を搭載するなど環境性能に一層の磨きをかけた。
新型プレマシーは市販車として初めて自然界の水や風などの「流れ」の美しさを表現する「NAGARE(流れ)」造形を取り入れた。このデザインはフロントグリルを起点にテールゲートまで続くもので、エクステリア上でもっとも分かりやすいのはボディーサイドのプレスラインだが、ヘッドランプに「NAGARE」をモチーフにしたS字ライン、ボディーサイドの「NAGARE」ラインとスライドドアレールからの流れを滑らかにテールゲートへつなげるデザインとしたリアコンビネーションランプのほか、インテリアにおいてもインストゥルメントパネルやシートデザインに「NAGARE」デザインのエッセンスを取り入れているのが特徴となる。
余談だが、このボディーサイドのプレスラインは板金での再現が一見難しいように見える。しかし、新型プレマシーのチーフデザイナーである田畑孝治氏によると、プレスラインの間隔がどの程度開けばよいか、また彫りの深さはどの程度であれば問題なく板金作業ができるか、試作の段階で実際に板金作業を行いながら検証し、かつデザインを損なわないように詰めて行ったと言う。そのため、「マツダ販社は無論のこと、一般的な板金工場でも問題なく対応してくれる」と田畑氏は説明していた。
ミニバンとしての使い勝手では、686mmの開口部となる両側スライドドアを電動開閉タイプとし、リモコンスイッチや運転席横に設けられるスイッチで簡単に操作できるようにした。また、スライドドア開閉時に体などが当たるとドアの動作を反転させる挟み込み防止機構も備え、安全面も考慮している。
シートは先代プレマシーから採用している「6+One」パッケージを踏襲し、左右独立で使える2列目シートの中央にカラクリ7thシートを備えることで、7名乗車を可能にした。カラクリ7thシートは助手席側のセカンドシートの座面の下からカラクリシート用の座面を取り出し、センターアームを背もたれとして使用するもので、新型プレマシーでは先代モデルと比較して背もたれを50mm延長するとともに座面のクッションを15mm、クッション前部を50mm厚くすることで座り心地を高めた。このカラクリ7thシートを収納すればセンターウォークスルーが可能になるなど、“カラクリ”の名に相応しい多彩なシートアレンジを可能にしている。
パワートレーンは直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴ガソリンエンジン「DISI」を搭載し、最高出力110kW(150PS)/6200rpm、最大トルク186Nm(19.0kgm)/4500rpmを発生。トランスミッションは5速ATを組み合わせる。独自のアイドリングストップ機構である「i-stop」は、アクセラやビアンテに搭載するそれをさらに進化させ、アイドリングストップが作動するステアリング操舵角度を従来の45度以内から65度以内まで拡大し、アイドリングストップする頻度を高めた。なお、エンジン停止から再始動するまでの所要時間は0.35秒。10・15モード燃費は16.0km/L(電動スライドドア非装着車)。
グレード構成は20CS、20E、20S。7月に発売されたモデルはすべて2WD車(FF)で、4WD車は8月上旬に発売される予定。撮影車のボディーカラーは新色のクリアウォーターブルーメタリック。価格は209万9000円。
フロントグリルからヘッドランプ、ボンネット、フェンダー、ボディーサイド、リアコンビネーションランプ、テールゲートと、ボディー各所に「NAGARE」デザインを施したエクステリア。もっとも特徴的なのがボディーサイドのプレスライン |
両側電動スライドドアの動作の様子
インストゥルメントパネルの中央上部に配置されるインフォメーションセンターディスプレイ。外気温、時計、エアコン表示のほか瞬間燃費、平均燃費、走行可能距離、平均車速を表示する | 瞬間燃費 | 平均燃費 |
走行可能距離 | 平均車速 |
(編集部:小林 隆 / Photo:堤晋一)
2010年 7月 15日