写真で見る「ゴルフ GTI」


 初代GTIは、ベーシックモデルが登場した2年後の1976年に登場した。それ以来、30年以上にわたって販売されたGTIシリーズの世界累計台数は、170万台におよぶ。日本市場では2世代目のゴルフからGTIは投入され、現在までにおよそ4万2000台を販売していると言う。ゴルフⅤが日本に導入された2006年では、国内の全ゴルフ販売台数のうち約33%がGTI。ゴルフⅤが販売された2005年~2008年における平均値でも24%を占め、みごと1位に輝いていることからも、日本市場においても同モデルがどれだけ評価されているかが分かる。

 新型ゴルフ GTIは無論本国ドイツでも発売されており、見た目にも高い品質や静粛性、燃費性、走行性を高次元で兼ね揃えたパッケージがマーケットから歓迎されたことを受け、9月5日から日本でも導入された。当初9月15日に発売される予定だったのが、GTIの販売要望が多数寄せられたため、前倒しに踏み切ったと言う。

 ゴルフ GTIに搭載される新型TSIエンジンは、改良型のピストンおよびピストンリングのほか、新設計のオイルポンプ、バキュームポンプ、マスエアフローセンサーなどを採用し、最高出力155kW(211PS)、最大トルク280Nm(28.6kgm)を発生する。5300rpmからレッドゾーンまでの6200rpmにピークパワーを発生させ、最大トルクに至っては1700rpmから始まり5200rpmまで保たれる。これに組み合わせられるトランスミッションは、シフトアップ/ダウンを素早く、そして正確に完了する湿式6速DSG。環境性能に関しても、CO2排出量を先代ゴルフ GTIの190g/kmから173g/kmまで下げることに成功し、Euro-5排出ガス基準もクリアした。

 GTIならば、“走り”に特化した装備に目をひかれる。新たに装備した電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」は、中高速域のコーナリング時において、駆動輪の荷重が減少したときに作動するもので、コーナー内側の駆動輪の荷重が足らないと判断すると、5~15barの間でブレーキ圧を高めて空転を防ぐというもの。FF車にありがちなアンダーステア傾向を減少させ、ニュートラルなハンドリング性を楽しめる。

 オプションでは「DCC」(アダプティブ・シャシー・コントロール)の有無も選択できる。これは走行モードに応じてダンパー減衰力と電動パワーステアリングの特性を任意にコントロールできるというもので、ショックアブソーバー内のオイル流量を電子制御して減衰力を調整するほか、サスペンション特性のコントロールも行う、ゴルフシリーズでは初採用となる機構だ。

 DCCで用意される走行モードは3つ。1つは日常で使うのに適した「ノーマル」、もう1つはダンパーの減衰力を高める一方で、電動パワーステアリングのアシスト力を弱めることでダイレクト感のあるハンドリングが楽しめる「スポーツ」、そして路面状況にかかわらず快適な乗り心地を維持する「コンフォート」となる。これらのモード切替はわずか1000分の数秒で終了すると言う。このDCCを選択すると、U字型5ホールの18インチアルミホールに225/40 R18サイズのタイヤが組み合わせられ、よりスポーティな走りを楽しむことができる。

 GTI専用装備として注目なのは、新デザインのバイキセノンヘッドライト。これは車速によって3つの配光パターンを自動調節するというもの。「シティモード」は車速が10~40km/h時に作動するモードで、左側ヘッドランプの光軸を左に12度、下方に1%動かして歩行者側を照射。「ハイスピードモード」は110km/h以上で30秒間継続した際に作動するもので、光軸を0.6%上向きにすることで、より遠方を照射する。これら速度域以外では「ノーマルモード」でする。

 また、ステアリングの切れ角に応じて照射範囲を水平方向に変化させるダイナミックコーナーリングライト機能は、ノーマルモードとハイスピードモードでコーナーのイン側に向けて内側のライトを最大15度、外側のライトを最大7.5度水平方向にスイングして照射する。これら機能もまた、“走り”を楽しむための重要なファクターの1つといってよいだろう。

力強さと洗練さを兼ね揃えたデザインとし、空力特性において重要な役割を担うリアスポイラー以外はシンプルにまとめられている
ハニカムフロントグリルには光沢のあるブラック塗装が施された。伝統のレッドラインも継承新デザインのバイキセノンヘッドライトは、車速によって「シティモード」「ハイスピードモード」「ノーマルモード」の3パターンから自動調整する。コーナー時により遠くの路面状況や障害物を確認するのに一役買う、ダイナミックコーナリングライト付きドアミラーにはウインカーを内蔵する
標準モデルのタイヤサイズは225/45 R17だが、DCCをチョイスすると225/40 R18になる。写真は18インチのものクローム仕上げの2本出しエキゾーストパイプダークテールレンズを採用
ブレーキランプ下にある「GTI」のロゴリアのエンブレム内には、オプション設定のリアビューカメラが収まる直列4気筒DOHC 2リッターインタークーラー付ターボのTSIエンジンは、最高出力155kW(211PS)/5300-6200rpm、最大トルク280Nm(28.6kgm)/1700-5200rpmを発生
インパネ全景。ハンドル、シート、シフトブーツなど随所に赤いステッチが入る左右独立で調整できる2ゾーンフルオートエアコンは標準装備12セグ地デジチューナー付きHDDカーナビはオプション扱い。リアビューカメラの映像を画面上で見られる
ハンドルは3本スポーク。「GTI」のエンブレムのほか、各種操作スイッチがつく。チルト&テレスコ機構を備えるハンドルの左側で電話操作などを行う右側ではメニューコントロールができる
280km/hまで刻まれるスピードメーター。レッドゾーンは6200rpmから。メーター中央にはマルチファンクションインジケーターを備え、時刻、瞬間/平均燃費、走行距離、平均速度、運転時間、外気温度、油温などが見られる。そのほかメーター照度調整、シートベルト警告装置、タイヤ空気圧警告灯、ブレーキパッド摩耗警告灯もつく
ハンドル右側に配置されるスイッチでライトの点灯・消灯を行うサングラスなど小物類を収納できるスペースもサンバイザーにはミラーのほか照明機能が備わる
グローブボックスも広い。ETC車載器が見えるセンターコンソールボックス内にはiPodやUSBデバイスと接続できる「MEDIA-IN」を装備アクセルペダルとブレーキペダルにはアルミ調ペダルクラスターがつく
フロントシートはGTI伝統のチェックパターンを採用し、大きめのサイドサポートを備える。オプションにレザーシートも用意され、こちらはシートヒーター機能が装備される
後席のニースペースも大人がゆとりをもって座れるスペースを確保。肘掛けも用意される
後席は分割可倒式のため、カーゴルームの使い勝手にも優れる。トノカバーの取り外しも可能だ
カーゴルームには12V電源ソケットを1つ備えるデッキアンダートレイを外すとスペアタイヤが出現

【お詫びと訂正】記事初出時、ブレーキランプにLEDを採用していると記載しておりましたが、LEDは採用しておりませんでした。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。

 

(編集部:小林 隆)
2009年 9月 28日