フォルクスワーゲン、新型「ゴルフ GTI」の発表会を開催 7月以降、販売に回復の兆し。「GTIでさらなる攻勢を」とドリゲス社長 |
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは8月25日、東京都港区にある日本自動車会館において新型「ゴルフ GTI」(発売日:9月5日、価格:366万円)の発表会を開催した。会場では同社代表取締役社長 ゲラシモス・ドリザス氏による挨拶とともに、同社マーケティング本部 商品企画課の山崎信雄氏より商品説明が行われた。
フォルクスワーゲン グループ ジャパン代表取締役社長 ゲラシモス・ドリザス氏 |
ドリザス氏は、冒頭で「ゴルフ GTIはフォルクスワーゲンのアイコンともいえる車であり、伝説の一部。この車を発表できて光栄に思う。6代目ゴルフのコンフォートラインとハイラインを導入してから、わずか4カ月あまりで性能に磨きをかけ、デザインを一新して日本のフォルクスワーゲンオーナーやスポーツカーファンに向けて導入できる運びとなった」とし、5世代目以降に搭載した直噴エンジンTSIや、DSGトランスミッションなどからくる運転の楽しさ、実用性の高さは日本市場で非常に評価を得ていると話した。
そして、ドリザス氏から日本における経済状況や市場動向についての話がされた。ドリザス氏は「6月末に3年間無料メンテナンスパッケージの『ハートフルキャンペーン』の発表をした際には、現況が大変厳しいものだと話をさせてもらったが、今日はその時と異なり、もう少し明るい話題に触れることができそうだ」と話し、「自動車業界の不況については過去数カ月間で底を打った感があり、実際に8月までのこれまでの輸入車販売の進捗を見てみると、前年同月比と比べて復調しているのが分かる」と、7月以降は市場全体が回復傾向にあるとした。
無論、この傾向の裏には自動車メーカー各社がキャンペーンやインセンティブ、広告などで活性化を図る努力をしているからだとしながらも、「日本市場についても第2四半期のGDPが昨年の第3四半期ぶりにプラスに転じるなど、明るい話題が出てきている」とし、自動車業界のみならず日本全体が回復してきていると述べた。
そして、消費者の心理についても触れ、「政府が実施しているインセンティブ制度や、来たる総選挙によって何か変わるのではないかという期待などによって、消費者心理に変化が出てきているのではないか。しかし、こうした状況ながらも、私自身はまだ保守的に見ていかなければならない」と、急激な回復というのはまだ見込めない状況だと釘を刺した。
いっぽう、フォルクスワーゲン内での販売についても7月以降回復してきているとし、「来店数や受注数が増加してきている。輸入車全体で見ても、需要の回復や新車攻勢で持ち直し、年間販売台数が15万台規模も可能なのではないだろうか。ショールームへの来店数が対前年比で約10%増加し、受注数についても回復してきている。フォルクスワーゲンにおけるさまざまな回復の兆しの要因は、7月から開始した『ハートフルキャンペーン』だろう」と話した。同キャンペーンは9月まで期間延長したと先頃発表されたが、これが成功すれば、さらなる期間延長も考えられるとした。
最後に、「当然、商品の質の高さが不況脱出の要因であることは間違いない。そして、この新型ゴルフGTIの導入によって、ゴルフ全体のラインアップの魅力を強化し、販売に勢いをつけていきたい」とし、挨拶を締めくくった。
乗用車全体と輸入車全体の年間販売台数。輸入車も全体需要の回復や新車攻勢で持ち直していると言う | ハートフルキャンペーンは8月31日で終了予定だったが、9月30日まで延長する |
フォルクスワーゲン グループ ジャパン マーケティング本部 商品企画課の山崎信雄氏 |
次に、マーケティング本部 商品企画課の山崎氏から、新型ゴルフ GTIの特徴について説明が行われた。ゴルフGTIは同社でも特別なモデルとして位置づけられるもので、初代GTIは1976年に発売され、以降、全世界で累計170万台が販売された。日本においても、2世代目から輸入が開始され、現在までに4万2000台以上のゴルフ GTIが販売されたと言う。
先代となる5世代目は、2.0リッター直噴エンジンTSIにDSGトランスミッション、そしてアグレッシブなスタイルが評価を受け、2006年にはゴルフシリーズの販売数の中で33%を占める形となった。その後継として誕生した6世代目は、高次元の走りと高い実用性、そして環境性能に優れたモデルに進化した。
フロント部における専用装備は、新デザインでダイナミックコーナーリングライト付きバイキセノンヘッドライト(走行速度に応じて光軸のパターンを変化させる自動調整機能付き)、ハニカムグリル、専用バンパーに組み込まれたハニカムデザインの大型エアインレット、その両端に配置された縦型フォグランプなど。スポーティで力強いデザインとなっている。
17インチのアルミホイールを標準装備とし、オプションとして18インチも用意。リアには大型のリアスポイラーと新デザインのリアバンパー、アンダーボディーにはブラックのディフューザーを装着する。またクロームのエキゾーストパイプがGTIのリア部を力強いものとしている。
インテリアでは、チェック柄のスポーツシートのほか、レザーシートがメーカーオプションとして用意される。ステアリングホイールやシフトノブの材質にはレザーが用いられ、クロームのアクセントが加えられている。レザーステッチには赤い糸が使われ、GTI全体の雰囲気をスポーティーなものとしている。
エンジンについては、先代同様2.0リッター直噴エンジンTSIを搭載しているが、新世代のものとし、従来型と比較してコンパクトで、フリクション低減などにより燃費性能の向上に成功した。最高出力155kW(211PS)/5300-6200rpm、最大トルク280Nm(28.6kgm)/1700-5200rpmを発生する。
シャシー性能ではサスペンションはスプリングやダンパー、リアスタビライザーの最適化によりフロントで22mm、リアで15mmのローダウンに成功。ブレーキディスク径はフロントで312mm、リアで286mmと大型のものが奢られた。レッドキャリパーも踏襲されている。
また、同社で初採用となるESPと一体型の電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」と、「DCC」(アダプティブ・シャシー・コントロール)という機能を新たに追加。
XDSはコーナリング時に内側の駆動輪の荷重が不足すると作動し、車輪のブレーキ圧を5~15bar高めることで空転を防止するもの。これによりトラクション性能を確保し、アンダーステアを軽減する。
DCCについても、ゴルフでは初採用となる機能。「ノーマル」「スポーツ」「コンフォート」の3つのモードからなり、路面状況や走行状態を総合的に判断し、ダンパーの減衰力や電動パワーステアリングの特性を調整する。なお、この機能は18インチアルミホイールとのセットオプションとして提供される。
専用バンパーやハニカムグリル、縦型フォグランプなどにより、スポーティで力強いデザインとなった。リア部では大型のリアスポイラーとディフューザーが目立つ |
新デザインのダイナミックコーナーリングライト付きバイキセノンヘッドライト。走行速度に応じて光軸のパターンを変化させる自動調整機能が付く | ドアミラーにはウインカーを内蔵する | 撮影車両はDCC機能付きのため18インチホイールを装備する |
エンジンは新設計の2.0リッター直噴エンジンTSIを搭載する | トランスミッションは6速DSG | スピードメーターは280km/hまで表示。レッドゾーンは6200rpm |
標準ではチェック柄のスポーツシートが用意されるが、撮影車両はオプションのレザーシートを装備していた |
(編集部:小林 隆)
2009年 8月 25日