写真で見る 「アウディ R8 5.2 FSI quattro」


 「アウディ R8」は大排気量エンジンを車体中央に搭載するミッドシップスポーツカー。いわゆる“スーパーカー”の範疇に入るモデルだが、R8は日常の使い勝手も犠牲にされておらず、車幅や最低地上高にさえ気をつければ毎日の通勤にも使える柔軟性を備えている。

 R8が日本に登場したのは2007年7月だが、当初は4.2リッターのV型8気筒エンジンと、ATモードを持つ2ペダルのシーケンシャルトランスミッション「Rトロニック」を搭載した「4.2 FSI quattro」のみだった。その後、6速MTモデルが追加され、2009年の夏には今回紹介する5.2リッターV型10気筒エンジンの「5.2 FSI quattro」が追加された。このV10モデルは現在のところRトロニックのみとなる。

 V10エンジンはFSI(高圧燃料直噴)を搭載し、8000rpmで386kW(525PS)を発生する。最大トルクは530Nm(54kgm)/6500rpm。このハイパワーはビスカスカップリングを用いたクワトロシステム(フルタイム4WD)によって4輪に伝えられる。駆動力は後輪に多く配分され、前輪には路面状況に応じて10~35%のトルクが供給される。

 ボディーはアルミによる「ASF」(アウディスペースフレーム)で構成され、ボディーシェルの重量は210kgに抑えられる。V10エンジンの重量は258kgとV8エンジンより31kg重くなったが、前後の重量配分はV8モデル同様に44:56が保たれている。

 サスペンションは定番ともいえるダブルウイッシュボーンを採用。ダンパーにはオイルの代わりに磁性流体フルードを封入した「マグネティックライド」を搭載し、電力によってサスペンション特性を制御する。

 ボディーサイズは4445×1930×1250mm(全長×全幅×全高)、ホールベース2650mm。全幅がV8モデルより25mm大きくなっているが、これは主にエアインテークの大型化によるもの。車重は1690kgと、V8モデルより50kg重い。希望小売価格は1994万円だが、バケットシートやレザーパッケージ、スペシャルサイドプレートカバーなど、豊富なオプションが用意されている。

アウディR8のスタイルは、大排気量ミッドシップカーの典型ともいえるもの。シルエットは低く短いボンネットで始まり、フロントスクリーンで一気に立ち上がると滑らかにテールエンドまで続く。また縦置きエンジンのミッドシップはドアからリアホイールまでが視覚的に間延びしやすいが、R8ではボディーと別色のサイドプレートをドア後方に置くことで、これを感じさせないものとした。同時にひと目でR8であることが分かる、デザイン上のキーにもなっている

 

フロント部分。ヘッドライトのあるコーナー部分は斜めに削り落とされている大きなワイパー。高速で浮き上がらないように、スポイラーのような形状になっているドアハンドルはエアインテークの形状を生かした目立たないもの。キーレスエントリーが可能
ヘッドライトにはバイキセノン+プロジェクタータイプを採用LEDポジショニングライトを点灯した状態ターンシグナルランプの直前には「R8」と描かれた小さなスクリーンが置かれている
フロント8.5J×19、リア11J×19という巨大なホイール。V8モデルは同じサイズながらデザインが異なるブレーキはフロントが8ピストンキャリパー+φ380mmローター。リアは4ピストン+φ356mmローター
ドアミラーに内蔵されたLEDのターンシグナルランプドアミラーはかなり大型で、ミッドシップの難点でもある斜め後方の視界をフォローする
フューエルキャップはクラシカルなデザインのアルミ製。デザイン上のアクセントにもなっているフューエルキャップを開けた状態。使用ガソリンはもちろんハイオク
エアインテーク。V8モデルは形状が異なり、これよりも膨らみが少ないサイドスカート部のエッジ。微妙なカーブが持たせてあるエアインテークも大きいが、それ以上にボディーは厚い。剛性の高さが伺える
リアまわり。エンジンの熱を逃がすための開口部が大胆に設けられているリアコンビネーションランプにもLEDが使われているリアのピラーに沿ってエアアウトレットが設けられている
ルーフエンドのハイマウントストップランプもLEDテール上部にはリトラクタブルスポイラーを装備。放熱のために特殊な格子構造としているスポイラーは100km/h以上で自動的に立ち上がり、35km/h以下で収納される。手動での動作も可能
マフラーエンド。V10モデルはこのような楕円形だが、V8モデルは2本の丸パイプとなる最低地上高は90mmとかなり低い。見た目で最も低かったのがこのエンジン下の部分リア下部のランプはリアフォグ
テールエンドの「R8」エンブレム「quattro」のエンブレムはフロントグリルに置かれるV10モデルのみ、フロントフェンダーに「V10」のエンブレムを装備する

 

リアゲートを開けた状態。外からでもエンジンは見える。エンジンルームと運転席はガラスで仕切られている5.2LのV型10気筒エンジン見せることを考えてデザインされたのたろう。各部はきれいなカーボンパネルで被われている
V型10気筒の証し。「FSI」は高度に制御された高圧の燃料直噴機構エンジンルームの照明エンジンルームには、エンジンオイルやパワーステアリングフルード、冷却水などの給油キャップが顔を覗かせている
ボンネットはフロントフェンダーと一体で大きく開くトランクは広いとはいえないが、深い作りで、収納容量は100Lを確保しているトランクの底には工具が収まる。パンク修理キットを備え、スペアタイヤは持たない
トランクの側面の穴からバッテリーへのアクセスが可能トランク内照明。サービスソケットも用意されているフロントのサスペンションを覗く。ドライブシャフトがクアトロ(フルタイム4WD)を証明する

 

運転席側の俯瞰。比較的オーソドックスな構成をとるコクピット助手席側から見る。操作で迷うことは少ないはず下部がフラットになったステアリング
ハンドル左側のレバー。ターンシグナルやライト類などを操作する左下にはクルーズコントロールのためのレバーを装備ハンドル右のワイパーなどを操作するレバー
「Rトロニック」のシフトレバー。手前にはモード切り替えのスイッチが並ぶ。V8モデルには6速マニュアルトランスミッションも用意されるステアリングにはシフトパドルを装備。ハンドルから手を離さないでシフトチェンジできる「Rトロニック」はクラッチペダルを持たない。左側はフットレスト
インパネに置かれるライトスイッチ。ライトのON/OFFはここで行うステアリング左側のスイッチ。オーディオの切り替えや操作を行うステアリング右側。ボリュームコントロールなどが収まる
シフトレバーの前方に置かれたエアコン関連のスイッチ類運転席ドア側のエアコンの吹き出し口パーキングブレーキはオーソドックスなレバー式。少々重い

 

運転席。V10モデルは本革製のスポーツシートを標準装備する運転席側のドア。非常に大きく、重い「R8」のロゴが誇らしげなサイドシルのプレート
内側のドアノブ。アルミ製のようだドア内側のグリップにもカーボンが使われている運転席側ドアのスイッチ類。ウインドーやミラーの操作のほか、フューエルキャップのオープナーなどもここに置かれる
助手席側のシート。こちらもしっかりした作りで、サイズもたっぷり助手席側のドア。こちらのグリップは運転席側ほど大きくない助手席側ドアのスイッチはウインドー開閉のみ
助手席側のダッシュボードにも「quattro」のロゴグローブボックスはそれほど大きくないグローブボックス奥にETC車載器が装備されていた
iPodなどを接続するコネクターが用意されていたルームライトは左右独立でも使用できるサンバイザーのミラーと連動してルームライトが点灯する
シート後方のスペースは90Lの容量。ゴルフバッグも収納できる助手席シート背面の書類入れ電動シートはスライドやリクライニングのほか、ランバーサポートの調整も可能
エアバッグは運転席、助手席、各サイドの4つを装備室内で動くものやレッカー(傾斜)に反応する盗難用センサーを装備。運転席側ドアの後端にその解除スイッチがある運転席の後ろにリアゲートのオープナーがある
イグニッションキーとマニュアル

 

メーター。「V10」のロゴや赤い縁取りはV10モデルのみ中央のディスプレイに各種メッセージが表示されるサスペンションをスポーツモードに変更
ESP(アンダー/オーバーステアを抑える機能)とASR(トラクションコントロール)をONにした状態外気温や燃費などの表示も行う下段の表示は、「A」がオートマチックモード、「M」はマニュアルモード、「S」はスポーツモードの意味

 

インパネ上端のモニター表示を見る。これはカーナビゲーション画面カーナビゲーションの目的地設定ステアリングのモードスイッチで、オーディオソースなどを変更できる
タッチパネルでの操作。「情報を見る」のトップ画面交通情報ではVICSによる渋滞情報などが表示されるメンテナンスの画面。走行距離や日時で次のメンテナンスを知らせてくれる
ETCのメニュー。利用履歴などがチェックできる「各種設定」のトップ画面ナビゲーションの設定メニュー
オーディオの設定メニューモニターの明るさを調整しているところユーザーごとの設定が4名まで登録できる

 

(西尾淳 WINDY Co.、Photo 石川 智)
2010年 1月 5日