写真で見るボルボ「C30」


 2006年にデビューしたボルボC30は同社のラインアップ中、もっともコンパクトで低価格なモデルだ。日本では2007年から発売を開始し、昨年末までに約2400台を販売している。

 今回の変更はマイナーチェンジに位置づけられているが、その変更点は多岐にわたっている。特に注目したいのがフロントまわりの造形だ。これまでのモデルはS40やV50と「まさに兄弟!」といった雰囲気を持つものだったが、新型は六角形のフロントグリルやシャープなヘッドライトなどイメージを一新。「100m先からでも“ボルボ”と分かること」をデザイン・コンセプトとし、先に発売されたXC60と同様に新世代ボルボのアイデンティティを表現するものとなった。

 インテリアは基本的な造形こそ変わっていないものの、新たにインテリアカラー、シート素材&カラーなど、多数のカラーコンビネーションを用意。さらに「フリー・フローティング・センタースタック」(いわゆるセンターコンソール)のデザインやマテリアルを複数用意するなど、オーナーの好みを反映させやすく、オリジナリティを演出しやすくなっている。

 用意されるグレードは「2.0e Aktiv」(295万円)と「T5 R-DESIGN」(389万円)の2タイプのみとなり、従来ラグジュアリーグレードとして用意されていた2.4リッターエンジン搭載モデルは消滅している。

2.0e Aktiv。ボディカラーはイメージカラーのオレンジフレームメタリック。写真のモデルはエクステリアスタイリング・パッケージ装着車

2.0e Aktiv
 2.0e Aktivは2リッターの4気筒自然吸気エンジンと6速デュアルクラッチ・トランスミッションを組み合わせたスタンダードモデル。従来の同モデルは310万円を超えるプライスだったが、新型は300万円を切るかなり思い切った価格設定となった。それでいながらクルーズコントロールやハイパフォーマンス・オーディオシステム、本革巻シフトノブ、フォグランプを標準装備とするなど、コストパフォーマンスは大幅に高められたと言える。

 また、充実した内容のパッケージオプション(工場装着)が用意されているのも特長だ。これは2タイプ用意されているが、装着率が相当に高くなりそうなのがラグジュアリーパッケージ。本革シートをはじめ運転席パワーシート、フロント・シートヒーター、キセノンヘッドライト、ヘッドライトウォッシャー、パーキングアシスト、17インチホイール、ラゲッジカバーなど約60万円相当の装備が追加になるが、パッケージ価格はなんと20万円ポッキリ。

 スポーツ派のドライバー向けとなるのがR-DESIGNパッケージ。こちらはラグジュアリーパッケージなどの装備に加え、R-DESIGNならではのボディーキットや専用フロントグリル、スポーツサスペンション、専用のインテリアパネル、本革巻/アルミのコンビタイプのステアリングやシフトノブを追加。さらに通常は価格アップとなるメタリックペイントも同価格でチョイス可能など約110万円相当の装備を44万円で装着できる。

フロントまわりを中心に大きく手が加えられたエクステリア。キーコンセプトは「Bolder,Prouder,Louder」(大胆に、堂々と、存在感がある)。オプションのエクステリアスタイリング・パッケージ(16万5000円)はフォグ・ランプ・フレーム、フロント・スキッドプレート、サイド・スカッフ・プレート、リア・スキッドプレートをセットにしたもの

 

従来の大人しめのデザインから一気にアグレッシブなムードに。また、ボディー先端を絞り込むことでオーバーハングが短く見える効果も狙っているXC60と同様の六角形のフレームに大型のアイアンマーク。ブラックアウトされた部分がハニカム形状となっているのがC30の特長サイドに装着されたロゴ入りのサイド・スカッフ・プレートはオプション
ウインカーを内蔵したサイドミラー。ボディカラーと樹脂のコンビネーションタイプだ小ぶりなスポイラー状のハイマウントストップランプを装着グレードを示すエンブレムは2.0eのみでActivの文字はない
フロントからリアまで伸びるショルダーでボリューム感をアップ。C30の特徴的な部分だリアのガラスハッチも六角形。写真のクルマはオプションが装着されているためわかりづらいが、ハッチ下部~バンパーにかけても六角形をイメージした造形に変更されている
ヘッドライトは切れ長のデザインとなったことで目元がシャープに。Aktivに標準装着されるのはデュアルハロゲンタイプ。光軸調整も手動式フォグランプは標準装備。周囲にはグリルと同様にハニカム形状のデザインが施されているヘッドライト&フォグランプを点灯した状態
テールランプの非点灯/ブレーキ&ハザード点灯状態。スモールのみでは下部がお椀を伏せたようなパターンで、ブレーキを踏むと縦長部分の下半分が点灯する
エンジンは2リッターの4気筒DOHC 16バルブ自然吸気ユニットを搭載。ガソリンは無鉛プレミアム仕様で最高出力/最大トルクは145PS/18.9kgm。10・15モード燃費は11.6km/L標準装着タイヤは205/55 R16、ホイールはアルミでサイズは6.5J×16。写真のクルマはオプションのホワイトカラーホイール「Styx(7J×17)」装着モデルで、タイヤは205/50R17になるマフラーは出口部分がスラント形状となっており後方からは見えない

 

すっきりとしたインテリア。カラーはオフブラック、エスプレッソ/ブロンドなどが用意され、シートカラーとの組み合わせで自分好みの室内を演出できる。本革巻きステアリングとシフトノブが標準
ステアリング左側にクルーズコントロール、右側にはオーディオのコントロールスイッチを用意
イモビライザー付KIR(キー・インテグレーテッド・リモートコントロール)が標準。エンジンをかけるには通常のキーと同じように差し込んで回せばいい
メーターパネルの通常/イルミネーション時。通常時がAktiv、イルミネーション時がT5 R-DESIGNだが、スケールや表示内容は変わらない
スピード/タコメーター間に用意されたパネルには燃費や平均速度、航続距離などを切り替えて表示できる
フリー・フローティング・センタースタックと名付けられたセンターコンソール。オーディオやエアコンのほか、パーキングアシストのON/OFFなどの操作が可能。このグラデーション仕上げのオイスターバースト・パネルはスウェーデンのハグストロームギターの表面仕上げからインスパイアされたもの(オプション)。横から見れば分かるように後ろ側には何もない
CDスロット下にある表示部にはオーディオやエアコンの情報がグラフィカルに表示される。オーディオは160Wアンプ、8スピーカーを備えるハイパフォーマンス・オーディオシステムが標準
オプションのカーナビはダッシュボード上に装着される。モニターは普段は収納されており、使用時は蓋を開けてモニターを引き起こすという凝ったもの。ただし、操作そのものは手動となる
アームレスト部の蓋は2段階で開けることが可能。上部は小型のトレイで、下部は深さのあるストレージスペース。内部にはオーディオ用のAUX(ミニプラグ)とUSB端子が用意される
シフトレバー後方にはスライド式の蓋が付いたカップホルダー。DC12Vのシガーソケットタイプのアクセサリー電源も用意サンバイザーは運転席、助手席どちらもバニティミラーと照明付
オーバーヘッドコンソールにはルームランプとマップランプ、中央部にはシートベルトの警告灯も備わるバックミラーは8方向のコンパス表示付運転席のアシストグリップはサングラスホルダーを兼ねたもの
ステアリング右にあるパネルはライト関係のコントロール用。ヘッドライトのON/OFF、光軸、フォグ、バックフォグ、メーター照度のほか、フューエルリッドオープナーも運転席側のドアにはパワーウインドースイッチとサイドミラーのコントロールスイッチを配置グローブボックスは間口が狭いものの奥行きが結構ある。ETCユニットもここに
Aktivのシート調節はすべて手動になる。リアシートも2名がけで中央部には小型のアームレストも
リアシート横にはアームレストとスピーカーアームレスト後方にはリアシート用のポップアップ式ボトルホルダーを用意。ただし、支えられるのは大型のボトルのみラグジュアリーパッケージ以上のモデルにはハードタイプのラゲッジカバーを装備。標準モデルには何も装着されない
リアシートは5:5の分割可倒式でシートを倒した際の最大長は1500mmに迫る。長尺物を積む際は助手席側のリアシートを畳み、大型荷物の際は両側を畳むなどアレンジが可能だ
リアシートを倒した際に荷物がフロントシートに飛び出すのを防ぐネットが標準で用意されているラゲッジのフロア下はボックス状のスペースで非常停止板などを収納。スペアタイヤは非搭載でパンクリペアキットが標準装備となる

 

ラグジュアリーパッケージを仕様のAktiv。エクステリアスタイリング・パッケージも装着されているタイヤは205/50 R17、ホイールはシルバーブライト仕上げのZaurak(7.0J×17)を装着する
インパネまわりはベース車両とほぼ同じ。ヘッドライトが自動光軸調整機構付となるため、ステアリング右手のパネルに光軸調整用のダイヤルがなくなるシートは座面および背もたれ部分が本革となる。運転席が8ウェイパワーシートとなるため、リアへのウォークイン機構も電動式だ
フリー・フローティング・センタースタックは標準タイプのアルミニウムパネル。ボタンが並ぶ操作部の最下部にはシートヒーター用のボタンが追加される

 

T5 R-DESIGN
 T5 R-DESIGNは230PSを発生する2.5リッターの5気筒ターボエンジンと5速ATを組み合わせたスポーツモデル。特に大きな進化を遂げたのがシャシーまわりだ。従来のT5はスプリングレートのみの変更にとどまっていたが、新型はスカンジナビア半島の氷結路やアウトバーンなどを走り込みつつ、隅々まで入念にチューニング。その変更点はバネレートの強化(30%アップ)、フロントダンパーの減衰力変更、モノチューブ式リアダンパーの採用、専用チューンのステアリング、ブッシュ類の強化(8カ所)などにまで及ぶ広範囲なもの。また、ラグジュアリー系の装備も2.0e Aktivのラグジュアリーパッケージ仕様車相当と充実。スポーティな走りと快適なクルージングのどちらも楽しめる欲張りな内容となっている。

ボディー同色の専用ボディーキットが装着されるR-DESIGN。特にサイドのボリューム感はAktivとの大きな差別化が図られている部分
フロントだけを見るとT5 R-DESIGNとAktiv R-DESIGNパッケージの見分けはつかないフロントグリルは専用のマットクローム仕上げ。左隅にはR-DESIGNのエンブレムが装着される
ルーフエンドには大型のリアスポイラーを装着ドアミラーはマットクローム仕上げのカバー付。下部にはBLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)用のカメラが装着される
リアにはT5のエンブレムエンジンは2.5リッターの5気筒DOHC20バルブ・インタークーラー付ターボユニットを搭載。可変バルブタイミング機構を備え、最高出力/最大トルクは230ps/32.6kgm。10・15モード燃費は9.3km/L。ガソリンは無鉛プレミアムエンジンルーム内にはいわゆるストラットタワーバーを装着
マフラーのテールパイプはデュアルタイプに。サイレンサー位置もAktivとは異なっている。Aktiv R-DESIGNパッケージはシングルタイプタイヤは18インチへ大径化される。サイズは215/45R18。ホイールは細身の5本スポークが特長のMidir(7.5J×18)
ヘッドライトはアクティブ・ベンディング機能付デュアル・キセノンヘッドライトに。同時にヘッドライトウォッシャーも装着
フォグランプはAktivと同じく標準装備グリルデザインを引き立たせるDNAライト。XC60には専用のユニットが用意されているが、C30はヘッドライトユニットに内蔵されるステアリングは本革/アルミコンビタイプのR-DESIGN専用タイプ。スポーク部のスイッチはAktivと同様
イグニッションスイッチはキーレスタイプ。Aktivにもオプションで装着可能スポーツペダルも専用装備。AktivのR-DESIGNパッケージも同様のペダルとなるシートは専用のV-Flex/スムースレザーのコンビネーションシート
フリー・フローティング・センタースタックのアルミパネルも専用パネル。センタースタック裏にはランプが用意され常時点灯しているが昼間は分かりづらい。夜間になるとご覧の通りムードたっぷりに室内を演出してくれるT5 R-DESIGNは運転席&助手席ともに8ウェイパワーシートタイプに。もちろん、シートヒーターも標準装備
サイドミラーに装着されたカメラでドライバーの死角をカバー。死角にクルマなどが入った場合はミラー裏の警告灯で知らせてくれる

(安田 剛 / )
2010年 3月 1日