写真で見るランチア「デルタ 1.8 ターボ 16V」


 ランチア・デルタと言えば初代モデルがWRCの活躍で一世を風靡したことが思い出されるが、2代目以降はラリーシーンでの活躍はなく、現在は3代目。もともと高級車ブランドでもあるランチアらしく、高級ハッチバックというポジションで、一部で人気を集めている。

 現在、ランチア車を正規輸入するインポーターはなく、3代目は並行輸入という形で、かつてのランチア正規インポーターのガレーヂ伊太利屋が国内導入している。ガレーヂ伊太利屋が輸入するデルタは、1.4リッターまたは1.8リッターのガソリンターボエンジンと、1.6リッターのディーゼルターボの3タイプ。

 今回撮影したクルマは1.8リッターのターボエンジンに6速ATを組み合わせたもの。ATはトルコン式で、ステアリングに設けられたパドルで手動で変速することも可能。1.8リッターエンジンのターボの効き方はマイルドだが、スポーツモードに切り替えておけば、ターボらしい過給音を低回転域から響かせて加速することもできる。

 外見は2700mmのロングホイールベースのハッチバックデザイン。全長は4520mm、全幅1797mmでそれほど大きくもないが、着座位置が高めで、全高1499mmは近づくと高さを感じる。

 独特の雰囲気を持つ外見とともに、内装はシック。ポルトローナフラウのレザー内装は、シートだけでなくドアトリムやダッシュボードまで及んでいる。

 撮影車はさらにグラスルーフやツートーンカラーを装備。デルタのデザインをより独特のものにしている。

大きめに見える3代目ランチア・デルタだが、実際は全高が1499mmと高めであるほかは、思ったよりもコンパクト。角度によっては可愛らしくも見えるデザインだが、高級感も同時に演出しているところがイタリアの老舗高級ブランドの技といえよう

 

フロントまわりのデザインは、現代のランチアのラインアップの各車と共通のもの。しかも古くからのランチアデザインを踏襲している
ヘッドライトは両側のプロジェクタータイプのバイキセノンヘッドライトと、内側にはハイビームを備える。ライト下の白いLEDによるラインはデイライトで、スモールライトではない
デイライトは設定で点灯・不点灯を切り替えられるフォグランプはバンパーに装備する側面のターンシグナルランプはフェンダーに付く。他のフィアット系列のクルマと共通デザインものとなっている
グリルはランチアのロゴをイメージしたもの2007年から新しくなったランチアの新ロゴエンブレム。従来よりもシンプルなデザインフロントウインドーにはフラットワイパーを装備
撮影車は「B-COLORE」と呼ばれるツートンカラー仕様。グラスエリアまわりがつや消しのブラックとなるドアミラーは電動格納
ドアノブはメッキ仕上げデルタの「D」の字をイメージしたロゴはフロンドドアのサッシに装着リアドアの後端には小さなランチアのロゴ。後席に乗り込む際にランチア車であることが分かる
リアドアのウインドーはフルオープンする。グラスルーフは前半のみ開放する
グラスルーフはチルトポジションをはじめ、各位置で自動停止する
ラジオアンテナはルーフ後方に装着されるドア下部にもモールが取り付けられ、デザインでボディーの上下高を少なく見せている燃料の表示はないが、無鉛プレミアムガソリンを使用する。キャップを閉めないと給油リッドが閉まらないようにして、キャップの閉め忘れを防いでいる
リアは曲面になった大きなリアガラスが特徴。ワイパーはデザインを損ねない最小限サイズのもの
ランチアとデルタのロゴはガラスに貼られるナンバープレート部分の欧州サイズを取り付けるベース穴が、リベット風のシールで塞がれる
テールランプ、ストップランプ、リアのターンシグナルランプはLEDによるもの。少々まぶしいが視認性は高い。バックランプは助手席側のみとなり、運転席側の同じ位置にはリアフォグランプが装着される
ハイマウントストップランプはリアスポイラー内に隠れる。ブレーキを踏まないと場所がわからないバンパーの下部はブラックで仕上げられる。ボディーの上下高が目立たなくなっている
エグゾーストパイプは2本出し。後方に水平方向で排出するリアゲートは大きく開き、荷物の出し入れは容易

 

最大出力200馬力、最大トルク32.6kgmの1.8リッターターボエンジンはフロントに横置きターボチャージャーを直接見ることはできないが、エンジンカバーには控えめにターボの文字があるボンネットの開閉にダンパーはなく、ロッドで支えるタイプ
ホイールは18インチ。タイヤサイズは前後とも225/40 ZR18フロントのブレーキキャリパーにはブレンボのロゴが見える

 

独特の高級感を持つインテリア。特徴あるスタイリングのオプションの本革シートはイタリアの家具メーカーでもあるポルトローナ・フラウ製。絶妙な固さでドライバーを迎えてくれる
撮影車はオプション装備で、シートだけでなくダッシュボードまわりまですべてレザー張り。視界に入る部分は濃い色にしてあり、ガラスへの映り込みも少ない独特のデザインのメーターまわりダッシュボード下部のベージュの表面は樹脂
夜間はシフトレバー台座が浮かび上がる照明がなされるサイドブレーキは手前に引く手動式。サイドブレーキ下にはシートヒータースイッチ。カップホルダーには灰皿が置かれる
ステアリング中央にエアバッグを装着する。左右のスイッチはオーディオの操作用ステアリングの左右にはパドルが付き、手動で変速することができるコラムの右側のレバーはワイパーと先端のスイッチはトリップメーターの表示切り替え
コラム左側のレバーは上がヘッドライトのターンシグナル。下がクルーズコントロールステアリング左下にはステアリングポジションの調整レバーがあるAT車なのでペダルは2つ
6速ATのシフトレバー。グリップの先に操作ボタンがあるステアリング中央にもランチアロゴキーはリモコンでドアロックの操作とリアゲートを開くことができる
運転席ドアにはパワーウインドーとリモコンミラーの操作ボタンスカッフプレートにもLANCIAの文字リアウインドーを開けた際は、ガラスが残ることなく開く
センターのエアコン吹き出し口とその下のオーディオ操作パネル左側のステアリングのマークのスイッチは「シティーモード」の切り替え。ハンドルが若干軽くなる。その下はAFSの動作切り替え右側のスイッチでメーターパネル内のコンピュータの設定操作を行う
オーディオとその下にはフォグランプなどの操作ボタンが並ぶオーディオのさらに下にはエアコン操作パネルがある。左右につまみがあり、左右別に温度設定が可能

 

オーディオは海外仕様のままなので、周波数変換器が入っている。FM放送受信時は受信放送局と表示が異なる。AM放送は「MW(中波)」に切り替えるとそのままの周波数で受信できる。「LW(長波)」も残っているが国内放送がないのでノイズしか聞こえないCDプレーヤーも付く
ダッシュボードにはデルタのロゴが刺繍されるオプションのレザーインテリアもポルトローナ・フラウ製。ロゴも刻印されている左右のエアコン吹き出し口
助手席のグローブボックス。足下側に開く後付のETC車載器はグローブボックス内に装着される
シートにはランチアのロゴが刻印されるフロントシートのリクライニングはダイヤル式。ここまで倒れる
センターコンソールボックスは2重にフタがあり、収納できる

 

リアシートは3名乗車。前後スペースもタップリ少しだが背もたれの角度も調整できるセンターアームレストはカップホルダーや収納スペースを持っている
2:1で分割してリアシートを倒すことできる
シートは背もたれを前に倒すだけなので、収納スペースに段差ができる
ラゲッジスペース下には非常用サイズのスペアタイヤが収納されるリアのトノボードを装着するところには、DCソケットがあり、電源をとることができる
バイザー裏のミラーにも照明が入るルーライトは左右独立で点灯できる。ルーフの開閉スイッチもここにあるグラスルーフはシェードを開くことで空を眺めることができる
メーターパネル内の設定画面の操作は、オーディオの左右についているボタンで行うメーター内の中央には液晶画面が備わる
オーディオの左右のボタンで設定画面が呼び出せ、通常の表示は日付か「エンジン情報」が選べるエンジン情報表示にすると、ターボのブースト計を表示できる日付を表示しておくことも可能だ
そのほかの設定がこの画面でできる。あらかじめ設定したスピードでブザーを鳴らすことができる車速感応でドアロックすることも可能。言語設定は欧州各言語に対応するが日本語はないデイライトを選択してONにするとヘッドライト下の白色LEDを点灯できる

(正田拓也 / Photo:鈴木広一郎)
2010年 4月 27日