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英ランチア ストラトスのレプリカ「the STR」が日本デビュー

1200万円前後での販売想定。オーダーは2年待ち

2019年2月8日 発表

ランチア ストラトスのレプリカ「the STR」(右)がジャパンプレミア

 ジェイブランディングの自動車事業部門であるUK CLASSIC FACTORYは2月8日、同社が国内独占輸入販売契約を締結して日本で販売を行なうランチア ストラトスの英国製レプリカ「the STR」のジャパンプレミアを開催。同時に、同社が同じく独占輸入販売契約を結んでいるコブラの英国製レプリカ「AK 427」も展示された。

 UK CLASSIC FACTORYはジェイブランディングの自動車部門として、2015年にクラシックレンジローバーを扱うことでスタートした。

会場にはクラシックレンジローバーも並んでいた

往年のモデルよりもポテンシャルを高めたストラトスレプリカ

 the STRを製造するリスター・ベル・オートモーティブは、2010年にクレイグ・ホワイト氏が設立した会社だ。ホワイト氏は1989年から複数の英国小量生産車メーカーに勤務し、ストラトス、セブン、コブラ、T70などのさまざまなタイプのレプリカ製造に従事。シャシー設計、ボディ製造、サスペンション開発、組み立てまで、幅広い業務を20年間経験した後、走行性能で妥協のない理想のストラトスレプリカを作るべく同社を設立。車両開発、FRPボディ製作、シャシー製造、パーツ開発、組み立てまでを自社工場で一貫して実施している。

 このthe STRは、「ランチア ストラトスが製造中止後も進化を続けていたとしたらどうなっていたか。そのような夢見事を本気でやったクルマで、オリジナルよりもはるかに剛性が高くなっています。タイヤが以前よりもよくなり、パワーが増えた部分を足がきちんと動くことでいなせるようになった結果、オリジナルと比較して圧倒的に速くなっています」とコメントするのは、自動車ライターで当日説明を担当した自動車ライターの武田公実氏だ。

the STRのエクステリア

 オリジナルとの最大の違いについて武田氏は、「センターモノコックにサブフレームを合わせて、そこにエンジンやサスペンションを組み込んだオリジナルに対し、the STRの場合は自社製の鋼管スペースフレームを組んでいます。また、細い鋼管を組み合わせた方が明らかに軽くなり、これも魅力の1つになっているのです」と説明。

 このフレームは、RAC ブルーブックに準拠したシャシー一体型のロールケージを持つスペースフレームを自社にて独自開発。実際のラリーに参戦可能な域にまでその剛性を高められた。また、ボディシェイプにおいても細部に至るまで忠実に再現し、伝説のラリー・マシンを現代の世に見事に蘇らせたのだ。

the STRのインテリア

 パワートレーンについてはアルファ ロメオ 166用の3.0リッターV6エンジンを搭載しており、最高出力は220BHPである。

パワートレーンはアルファ ロメオ 166用の3.0リッターV6エンジン

 ジェイブランディング 代表取締役の勝見祐幸氏によると、「現在2年待ちのオーダーで、為替の問題もあるので難しいのですが、価格は1200万円くらいで販売したいと考えています」とのことだった。

 1975年のツール・ド・コルス ラリーに最強のプライベーターで知られるシャルドネチームがストラトスで参戦し、ツール・ド・コルスを得意とするフランス人ドライバーのベルナール・ダルニッシュが、この通称「赤いシャルドネ」を駆り優勝。ランチアにメイクスタイトルをもたらした。現在、UK CLASSIC FACTORYでは国内第1号となるthe STRが赤であることを踏まえ、この赤いシャルドネを数少ない資料を元に完全再現しようと計画中であるという。

ACコブラに最も近いレプリカ

コブラのレプリカ「AK 427」

 AK SPORTS CARSが手掛けるコブラのレプリカ「AK 427」は、創業以来800台を超える車両を生産。大半はキットカーとして供給されているが、年間5台程度が自社工場で製造されている。

 1980年半ば、FRP製造業を営んでいた創業者のケン・フリーマン氏が、当時入手可能だったコブラ レプリカのボディラインと性能に満足できずに自ら製造に着手したのが始まりだ。「世界中にコブラのレプリカは数多くあるが、ボディの作りや塗装の仕上がりは格段によく、そこにこだわりを持っています」と武田氏は解説する。

 現在、日本に在庫されている車両のエンジンはシボレー LS3 6.2リッターV8 430馬力と、スーパーチャージャーが搭載された600馬力を超える2台だ。本来、コブラはフォードエンジンが搭載されていたが、「アメリカの自動車メーカーのスポーツ部門で組み上がったエンジンを、レプリカメーカーやさまざまなホットロッドメーカーなどに供給しています。フォードもこのクレートエンジンを供給しているのですが、現在両方を比べるとシボレーの方が耐久性が高くて、チューニングの自由度も高いことから、シボレーエンジンを選んでいます」と武田氏は説明した。

AK 427

 AK 427は、ACコブラ系のレプリカの中でもっともオリジナルに近くクオリティが高いとされている。受注から完成までおよそ6か月が目安としており、現在日本に在庫されている2台はそれぞれ1350万円で販売されている。