写真で見る日産「ラティオ」


 日産「ラティオ」は5ナンバーサイズのコンパクトセダン。日本をはじめアメリカ、そして中国やタイ、インド、ブラジルなど世界150カ国以上で販売されるグローバル戦略車だ。生産拠点もメキシコ、中国、タイ、インドと分散されており、日本仕様は「マーチ」と同じくタイから輸入される。

 先代(初代)モデルはハッチバック車「ティーダ」のセダンバージョンの位置づけで「ティーダ ラティオ」を名乗っていたが、ティーダが「ノート」に統合されたのを機に単独モデルとしてフルモデルチェンジを果たした。

 2代目となる新型は、セダンらしいフォーマルなエクステリアとしながら、ひとクラス上のモデルに迫る居住空間を実現しているのが特長だ。ボディーサイズは4425×1695×1495mm(全長×全幅×全高)と、セダンとしてはかなりコンパクトなサイズながら、堂々としたフロントマスクと水平基調のサイドラインの組み合わせにより、よりサイズの大きな上級車並みの存在感を演出している。

 その一方で、エンジンルームの最小化や燃料タンクレイアウトの最適化など、メカスペースをミニマムに抑えることで室内空間を確保。「ティアナ」に迫る1828mmの室内有効長によりクラストップレベルの後席ニールームを実現し、都市部で扱いやすいボディーサイズとしながら快適性が高められている。同時にトランクの容量も490Lと、9インチのゴルフバッグを4個積載できるほどのスペースが用意された。

 エンジンは仕向地によってさまざまだが、日本仕様はノートにも搭載されている直列3気筒DOHC 1.2リッターの「HR12DE」のみが設定される。スペックは最高出力58kW(79PS)/6000rpm、最大トルク106Nm(10.8kgm)/4400rpmと、ノートと同じ数値だ。組み合わせるトランスミッションは副変速機付きエクストロニックCVTのみ、駆動方式も2WD(FF)のみと至ってシンプルな構成となっている。

 もう1つ忘れてはならないのが環境性能だ。同車はベーシックな位置づけとなるモデルのため、高価なハイブリッドシステムなどの搭載は不可能。そこでエンジンのダウンサイジングに加え、サスペンションやマフラーの構造や形状を見直すなど、基本的なパーツのリファインを追求した。先代モデルに対し車両全体で約70kgと大幅な軽量化を果たし、ノートと同じ1030~1040kgという車両重量を実現した。それに加えボディーや床下形状の最適化による空気抵抗の低減、アイドリングストップ機構の採用などにより、JC08モード燃費は22.6km/Lとクラストップの数値を手に入れている。これに伴い「エコカー減税」の対象となり、自動車取得税および自動車重量税は75%減税となる。

 グレードはビジネス向けとなる「B」のほか、装備違いにより「S」「X」「G」を用意。価格は138万8100円~169万8900円。

 撮影車両は最上級グレードとなるGで、ボディーカラーはイメージカラーのタイタニウムグレー。

コンパクトなフロント&リアにゆったりしたキャビンをプラス。エクステリアはグローバル戦略車ということもあってかコンサバティブな印象だ
大きなヘッドライトに逆台形のグリルの組み合わせは同社セダンに共通するイメージタイヤ前にスパッツを装着するなど空気抵抗の低減も重視されている。見た目ではそれほど空力ボディーには感じられないがCd値は0.31と良好な数値大型のヘッドライトは、ハロゲンバルブながら配光パターンの最適化により安全性をアップ。リフレクターはかなり複雑な造形となっている
ドアミラーは全車カラードタイプGグレードのみインテリジェントキーを装備。ドアノブにはロック/アンロック用のボタンが付く
ガソリンはレギュラー仕様。タンク容量は41Lリアウインドーからの空気をスムーズに流すスポイラー形状のトランクリッド。リプタイプのスポイラーもオプション設定されている単独モデルとなったことで車名バッヂも「LATIO」のみとなった
リアコンビランプは一般的な電球を使用するタイプ。ノートのような空気穴はないが空力も考慮された形状バックカメラはディラーオプションナビ装着車のみに設定される。電磁式トランクオープナーはGのみの装備アイドリングストップ装置付車に付く「PURE DRIVE」バッヂ。ラティオは全グレードに装着される
ヘッドライトの点灯パターン。バンパー下部にビルトインされるフォグランプは全車ディーラーオプション
リアコンビランプの点灯パターン。リアフォグランプは設定なし
エンジンルームにはコンパクトなHR12DEユニットが収まる。フレーム形状などからも軽量化への苦労が見て取れるJC08モード燃費はクラストップの22.6km/Lを実現。低燃費と低排出ガスによりエコカー減税の対象となっているアイドリングストップ付のためバッテリーは大きめのQ-85サイズ。撮影車両にはアメリカ製のモノが装着されていた
マフラーはシンプルなシングルタイプタイヤサイズは175/70 R14。全車スチールホイール&ホイールカバー仕様
丸みを帯びた造形のインパネはルックスはもちろん質感も上々ステアリングは全車ウレタン。スイッチ類も非装着セレクターレバーのポジションはP-R-N-D-Lの5つ。VDC(ビークルダイナミクスコントロール)はGのみ標準
サイドブレーキ横には小さなポケットとDC12VソケットGはプッシュ式エンジンスターターが標準装備となるシンプルで見やすいファインビジョンメーターはGとXに標準装備
メーター内のディスプレイには燃費のほかオド・ツイントリップメーター、デジタル時計、航続可能距離、サービスインターバルなどが表示可能
ステアリングコラム右にあるスイッチパネル全車オーディオレス仕様が標準だが、Gのみ2スピーカーを装備。ワイド2DIN仕様のMC312D-WはディーラーオプションGにはプッシュ式ボタンを採用したフルオートエアコンが標準。パネル自体はノートと同じモノに見える
サンバイザー裏のバニティミラーはGのみ装備。運転席側だけで照明もなしルームライトは前後2カ所に装備グローブボックスは小さめ。奥に見えるのはオプション装着のカーナビ用のiPhone接続ケーブル
センターコンソール後端には2人分のカップホルダー内装色はブラックのみ。シート表皮も全グレード共通だ運転席側ドア内張り。アームレストにはパワーウインドースイッチが並ぶ
リアシートの快適度は外見から想像するよりずっと良好。特にニースペースの広さは相当なモノGグレードのみアームレストを装備リアドアの内張り。メッキドアハンドルはGのみの装備
運転席から見た左リア。細いCピラーや独特のウインドー形状により死角が少なくなるようデザインされている余計な装飾がない分、ラゲッジスペースを最大限に有効活用できる。全長4.5mに満たないボディーとは思えないほど奥行きが深いトランクのフロア下にはスペアタイヤとジャッキを収納

写真で見る バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(安田 剛)
2012年 11月 22日