写真で見るスバル「フォレスター」 |
スバル(富士重工業)「フォレスター」はクロスオーバータイプのSUV。1997年に初代モデルが「常用進化型SUV」をコンセプトにデビュー。全天候型と言えるフルタイム4WDに加え、ターボエンジン搭載によるパワフルな走り、そしてレガシィよりSUV方向に振ったキャラクターという組み合わせは、多くのユーザーから支持を受けることになった。
その後、2002年には「Best of Both WORLDを追求したクロスオーバーSUV」、2007年には「Best Balance for Active Life」をコンセプトに掲げ、正常進化と言えるモデルチェンジが実施されている。
初代フォレスター | 2代目フォレスター | 3代目フォレスター |
そして、この11月にデビューした4代目フォレスターのコンセプトは、「SUVとしての本質的な価値の実現」。スバルのコア技術である「シンメトリカルAWD」をベースに走行、安全、環境性能を高め、使って&走って愉しいクルマを目指した。
パッケージング面で大きく変わったのはボディーサイズだ。全長×全幅×全高は4595×1795×1695mmと、先代モデルと比較して全長35mm、全幅15mm、全高20mmとひとまわり大型化し、ホイールベースも25mm伸びて2640mmとなった。同時にフロア構造の見直しによりセンタートンネルの張り出し量を抑えるとともに、フロントシートの背もたれやセンターコンソール形状を変更。ボディーの大型化と合わせて室内の居住スペースはより広く、そして快適なものとなった。ラゲッジスペースも505Lと、従来より55L拡大されている。ボディーの大型化により取り回しの悪化が懸念されるところだが、最小回転半径は従来と同じ5.3mを実現。着座位置の変更やAピラー形状の工夫などによる視界のよさも相まって、ボディーの大きさを気にせず運転することが可能だ。
エンジンは2.0リッターの自然吸気とターボの2本立て。
自然吸気ユニットはインプレッサにも搭載されている新世代の「FB20」。同ユニットは先代モデルの後期型にも採用されていたが、充電制御システムの追加や高強度チェーンの採用などを行った進化版が搭載されている。パワー面のスペックは最高出力109kW(148PS)、最大トルク196Nm(20.0kgm)と変わらないものの、燃費は先代2.0Xが15.0km/L(10・15モード)だったのに対し、アイドリングストップ機構の採用などにより15.2km/L(JC08モード)と向上を果たしている。トランスミッションはSUV向けにチューンされたチェーン式CVTの軽量タイプの新リニアトロニックと、ワイドレンジ化された6速MTが用意される。
ターボユニットはレガシィにも搭載されている「FA20 DIT」。先代の2.0リッターターボが169kW(230PS)/319Nm(32.5kgm)、2.5リッターターボが193kW(263PS)/347Nm(35.4kgm)だったのに対し、206kW(280PS)/350Nm(35.7kgm)と大幅にスペックアップ。トランスミッションは専用となる高トルク対応型リニアトロニックが組み合わされる。リニアトロニックは無段階変速または6段ステップ変速となっているが、こちらは専用チューニングが施されており「S♯」モードではDレンジ、マニュアル走行時とも8段ステップの変速が行われ、スポーティな走りが可能となっている。
スバルのお家芸とも言える「シンメトリカルAWD」も進化版となった。リニアトロニック車に採用される「アクティブトルクスプリット4WD」は、新たにトルク配分の制御にVDCからのハンドル角やヨーレート、横加速信号を加えることで、走行状況や路面状態のセンシング精度を向上。車両の安定性やスリップ制御が高められている。また、ボタンをワンプッシュするだけでエンジンやリニアトロニック、AWD、VDCなどを最適制御、悪路走破性を高める「X-MODE」スイッチが用意されたのも大きな特長と言える。一方、MT車にはコンサバなビスカスLSD付センターデフ方式の4WDが採用されている。
ラインアップは自然吸気ユニット搭載モデルが「2.0i」「2.0i-L」「2.0i-L EyeSight」「2.0i-S EyeSight」の4グレード。ターボユニット搭載モデルが「2.0XT」「2.0XT EyeSight」の2グレードとなる。
■2.0XT EyeSight
ターボエンジンを搭載する2.0XT EyeSight。ボディーカラーはクリスタルブラック・シリカ |
フォレスターならではのSUVらしいフォルムはそのままに、スポーティかつスタイリッシュさを増したエクステリア。ボディーカラーはアイスシルバー・メタリック |
ブルーのアクセントが入ったフードが付くFA20 DITユニット。スペックは最高出力280PS/5700rpm、最大トルク350Nm/2000-5600rpmを発生 | JC08モード燃費は13.2km/L。ハイパフォーマンスユニットながら排出ガス性能もSU-LEVと高いレベルだ |
マフラーは左右2本出しタイプ | タイヤは225/55 R18。標準装着となるアルミホイールは切削光沢+ブラック塗装の凝ったデザイン |
マルチインフォメーションディスプレイには、時計をはじめエコドライブをサポートする各種情報、VDCやX-MODE、ブースト圧などの車両情報など、さまざまな表示が可能 |
XT系のシート表皮は合成皮革とファブリックのコンビタイプ。オプションで黒本革仕様もチョイスできる | 前後席間、足下スペース、左右間とすべてが広くなったリアシート。AWDでありながらセンタートンネルも154mmから87mmと従来より低く抑えられている |
■2.0i-S EyeSight
2.0i-S EyeSight。バンパーやグリルなどの違いによりXT系とはちょっと違った趣を感じさせる。ボディーカラーはダークグレー・メタリック | こちらは注文色となるヴェネチアンレッド・パール | |
従来、フェンダー部に装着されていたアンダーミラーは助手席側サイドミラーに移設された | 燃料タンク容量は60L。ガソリンは自然吸気車がレギュラー、ターボ車はプレミアム指定だ |
独特の表情を見せるホークアイヘッドライト。コの字型のポジションランプはわずか2個のLEDでむらなくキレイに光る |
リアコンビランプのパターン。リアフォグランプは2.0i以外に標準装備 |
自然吸気車に搭載されるのは2.0リッターの水平対向4気筒DOHCユニット。スペックは最高出力148PS/6200rpm、最大トルク20.0kgm/4200rpm | JC08モード燃費は15.2km/L。排出ガス性能はターボ車と同じSU-LEV |
ターボ車と違いマフラーはシングルテールタイプ | サスペンションはフロントがストラット、リアがダブルウイッシュボーン |
インパネまわりのデザインはターボ車と変わらない | ステアリングは本革巻。SI-DRIVEのスイッチのみ異なる | |
2.0i以外のリニアトロニック車にはパドルシフトを装備 | 常時発光式ホワイト照明を採用するメーター。メッキリングやヘアライン仕上げの盤面などXT系とは若干仕上げが異なる | 助手席前のグローブボックス |
2.0i以外には4.3インチ液晶を備えるマルチファンクションディスプレイを装備 |
スライド機構の付いたフタを備えるコンソールボックス。DC12Vソケットのほか、オプションナビ装着車にはUSB端子も用意される |
ゴルフバック4個をラクに積み込めるラゲッジスペース。容量は505Lだがパワーリアゲート付モデルは451Lになる |
ラゲッジフロア下は収納スペース。さらに下にはスペアタイヤや工具が収められている | ラゲッジ側からリアシートを倒すことができるワンタッチフォールディング機構を装備(2.0i以外) |
荷物の固定などに使えるフックを壁面に内蔵 | 左サイドにはアクセサリーソケットを用意 |
スバル初となるパワーリアゲートは2.0i-S EyeSightのみ標準。XT系にはオプション | 荷室容量の拡大とともにフラットなフロアを採用。女性でも大型の荷物をラクに積み込める |
■2.0i
このクラスでは珍しい6速MTモデルが用意されている | ステアリングコラム横のスイッチ群も数が少ない |
インパネ中央上部にはインフォメーションメーターを装備。外気温や瞬間/平均燃費、航続可能距離、連続走行時間/平均車速、デジタル時計が表示できる | シートは上位グレードと同じ |
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http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/
(安田 剛)
2012年 11月 16日