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写真で見る スズキ「ハスラー」

ホワイト2トーンルーフ車にはポップなボディーカラーが用意される

 新型車ラッシュで盛り上がりを見せているSUV市場。そこに殴り込みをかけるのがスズキ「ハスラー」だ。同社にはジムニーという長い歴史を持つ本格4駆があるが、こちらは軽自動車のカテゴリーで人気のセミハイトワゴンとSUVを融合させた、まったく新しいジャンルのクルマだ。

 エクステリアは短いボンネットに立てたAピラー、そして軽自動車枠一杯に使ったロングルーフ&スクエアキャビン、そこに165/60 R15サイズの大径タイヤを装着した個性的で存在感のあるスタイルを採用。このSUVライクなルックスはダテではなく、180mm(4WD車は175mm)の最低地上高に加え、アプローチアングル28°、デパーチャーアングル46°を確保。ワゴンRと比較するとそれぞれ+25mm、+3°、+5°のアドバンテージを得ており、普通の乗用車では躊躇してしまうような起伏のある路面へのアプローチを可能するなど、決して見た目だけではない実力の持ち主でもある。

 その一方で室内はワゴンRと同等のスペースを確保しつつ、豊富な収納スペースやシートバックテーブルなどの充実したユーティリティ、多彩なアレンジを可能にするシートや汚れが拭き取りやすい素材を採用したラゲッジの採用など、ワゴンらしい使い勝手のよさを踏襲。加えて運転席シートヒーターやヒーテッドドアミラー、リアヒーターダクト、ヒーターの効きはじめ時間を短縮する「CVT温水カットバルブ」といった寒冷地向けの装備が充実するなど、SUVならではの快適性も併せ持っているのだ。

 パワートレーンはエンジンが自然吸気とターボ、トランスミッションが5速MTとCVT、駆動方式が2WD(FF)と4WD、とそれぞれ2タイプずつ用意される。ただし、ターボエンジン搭載車はCVTとの組み合わせのみとなる。

 エンジンはおなじみの直列3気筒DOHC12バルブの「R06A」ユニット。自然吸気ユニットのスペックは最高出力38kW(52PS)、最大トルク63Nm(6.4kgm)。一方のターボユニットは最高出力47kW(64PS)、最大トルク95Nm(9.7kgm)と、最重量モデルでも900kgを切るボディーには十分すぎるほどパワフルといえるスペックを備えている。

 パワートレーン系のSUVらしい装備となるのが「ヒルディセントコントロール」と「グリップコントロール」。前者は急な下り坂などでブレーキを踏まずとも約7km/hの一定速度を保持してくれるもの。後者は滑りやすい路面でスリップする側のタイヤにブレーキをかけ、グリップする側のタイヤに駆動力を集中することで発進をサポートするもの。どちらも最近のSUVには必須といえる装備だが、軽自動車ではこのハスラーが初搭載となる。

 エコ系の装備では、スズキ独自の「エネチャージ」「新アイドリングストップシステム」「エコクール」からなる「スズキグリーン テクノロジー」を搭載している。同機能はすでに多くの車種に搭載されているが、ハスラーに搭載されるアイドリングストップシステムはエアコン使用時の作動状態を燃費優先、標準、快適の3モードから選択できるほか、非作動時の理由をインフォメーションディスプレイに表示する機能を備えるなど、もっとも進んだバージョンとなる。

 この結果、JC08モード燃費は自然吸気エンジン搭載の2WD CVT車(G)で29.2km/L、ターボエンジン搭載の4WD CVT車(Gターボ)でも25.0km/Lの省燃費を実現。CVT車は全車エコカー減税の免税(100%減税)対象となっている。

 また、安全装備として、いわゆる衝突被害軽減ブレーキの「レーダーブレーキサポート」をはじめ誤発進抑制機能、急ブレーキをハザードランプの高速点滅で後続車に伝えるエマージェンシーストップシグナル、ESP&EBD付き4輪ABSをAグレードを除くCVT車に標準装備している。

 グレードは自然吸気エンジン搭載車が「A」「G」「X」の3タイプ、ターボエンジン搭載車が「Gターボ」「Xターボ」の2タイプ。全グレード2WDと4WDが選択できるが、5速MTを選択できるのはAとGのみとなる。価格は104万8950円~157万6050円。

 ボディーカラーはモノトーン5色のほか、ルーフをホワイトまたはブラックとした2トーンルーフをそれぞれ3色の、計11パターンを用意。ホワイト2トーンルーフ車には新色の「パッションオレンジ」「サマーブルーメタリック」「キャンディピンクメタリック」が設定される。

X(2WD/CVT)

撮影車両はX 2WD CVT。ボディーカラーはパッションオレンジ ホワイト2トーンルーフ
ボディーサイズは3395×1475×1665mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2425mm。リアとバックドアのウインドーは全車標準でスモークタイプ
バンパーには金属風の質感があるシルバー塗装が施される
フロントウインドー上部にはレーダーブレーキサポート用のレーザーレーダーが備わる。約5km/h~約30km/hで走行中に、前方の車両との衝突を避けられないと判断した際に自動ブレーキが作動する
2トーン塗装はサイドウインドー上部付近で塗り分けされる
ルーフサイドにはロッドタイプのアンテナが備わる
バックドアにはハスラーの頭文字「H」をイメージしたバッヂが付く
Aグレード以外にはリアワイパー&ウォッシャーを標準装備
バックドアハンドル内蔵カメラは「スマートフォン連携ナビゲーション」とセットオプション
ヘッドランプは丸形の本体と少し離れたウインカーの組み合わせ。スズキSUVに共通したデザインテイストだ
バンパーにビルトインされるマルチリフレクタータイプのフォグランプはXグレードのみの標準装備
X系グレードはディスチャージヘッドランプ&LEDポジションランプを標準装備
縦長台形デザインのリアコンビランプ。ブレーキランプはLEDを採用
X系グレードにはLEDサイドターンランプ付ドアミラーが標準となる。カラーは2トーン系はルーフカラー、モノトーンはボディーと同色、Aグレードはブラック
自然吸気、ターボとも型式はR06Aで同じ。自然吸気ユニットのスペックは最高出力38kW(52PS)/6000rpm、最大トルク63Nm(6.4kgm)/4000rpm
CVT車は全車エコカー減税の免税対象、5速MT車は75%減税対象となる
マフラーエンドはバンパーから斜め下に突き出す形状
全車165/60 R15サイズの大径タイヤ&アルミホイールを装着。最小回転半径は4.6m。A、G系グレードはスチールホイールが標準
パッションオレンジのボディーカラー選択時のみ内装色も同色に。他カラーではインパネはホワイトになる
X系のみ本革巻きステアリング&チルト機構が標準で備わる。スマートフォン連携ナビゲーション装着車にはステアリングスイッチも
X系、G系グレードはオートエアコンとシルバーの加飾パネルが標準
スピードメーターとマルチインフォメーションディスプレイを組み合わせたシンプルなメーターパネル。上部には運転状況を教えてくれるステータスインフォメーションランプが付く
スマートフォン連携ナビゲーションはメーカーオプション。BluetoothのほかUSB/HDMI/AUXの各端子、microSDカードスロットなどが備わる
ステアリングコラム右側のスイッチ群。プッシュスタートシステムはX系、G系グレードに標準
マルチインフォメーションディスプレイに表示されるオリジナルの専用アニメーション
インパネには引き出し式のドリンクホルダーも
ペダルまわり。サイドブレーキは足踏み式
インパネ中央下部にもドリンクホルダーを用意。USBなどの各端子もこの位置
助手席前にはテーブル機能付きのインパネボックス
グローブボックスも別に用意されている
X系グレードには運転席、助手席とも照明付きバニティミラーが備わる
AグレードとG 5速MT車以外のフロントシートはベンチタイプ。ホワイト2トーンルーフ車のシートパイピングはボディー同色、それ以外はホワイトになる
助手席の座面下にも収納を用意
収納のさらに下にはエネチャージ用リチウムイオンバッテリーが設置されている
ベンチシート車にはセンターアームレストを用意
アームレストは小物入れにもなっている
運転席ドアトリムもボディーカラーをフィーチャー。アームレスト部にはパワーウインドーなどのスイッチが並ぶ
2名がけのリアシート。Aグレード以外にはヘッドレストも装備
X系、G系グレードは左右独立して前後スライドが可能
リアドアにはペットボトルが収まるドリンクホルダーを装備
フロント&リアシートを使ったセミフラットシートにも
リアシートは50:50の分割可倒式
全車に助手席前倒し機構を装備。荷室容量のアップや長尺物の積み込みにも対応
ラゲッジのフロア下にはジャッキなどのツールとパンク修理キットが収まる
Aグレード以外には壁面にDC12Vのアクセサリソケットを用意

Xターボ(4WD/CVT)

撮影車両左側はXターボ 4WD CVT。ボディーカラーはスチールシルバーメタリック ブラック2トーンルーフ
ルーフレールはX系にメーカーオプションとして設定されている
ガソリンは自然吸気、ターボとも無鉛レギュラー仕様。燃料タンク容量はともに27L
Aグレード以外はカラードドアハンドルを採用。電波式キーレスエントリーは全車標準
ターボユニットのスペックは最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク95Nm(9.7kgm)/3000rpm
環境性能は自然吸気車と同レベル
パッションオレンジ以外のボディーカラーの場合、インパネのパネルカラーはホワイトになる
4WD車はエアコン下にグリップコントロール、ヒルディセントコントロール、それにシートヒーターのスイッチが付く
ステアリングコラム右側のスイッチ群からはシートヒーターがなくなる
シートパイピングもホワイトになる

アクセサリー

 ハスラーでは、ウインタースポーツやマリンスポーツ、キャンプ、フィッシングなどを想定した数多くのオプションが用意されている。ここではその一部を紹介したい。

カーテン&タープキットなどキャンプ使用の各オプションを装着した状態
バックドアを開ければ立ったまま着替えができるスペースに。写真では装着していないが開口部をカバーするカーテンもセットになっている
ラゲッジマット(バンパーカバー付)とラゲッジネットの組み合わせ
遮光生地を使ったプライバシーシェード。フロント、リア用ともドアガラス部分はメッシュ生地となっておりサマーシーズンでも快適に過ごせる
車内で寝るのに便利なベッドクッション。2セット使用で2人でも快適に寝られるスペースに早変わり

(安田 剛)