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写真で見る トヨタ「ヴォクシー」「ノア」

「タウンエース」「ライトエース」の流れをくむトヨタのコンパクトミニバン、それが「ヴォクシー」「ノア」だ。ヴォクシーがネッツ店、ノアがトヨタカローラ店で販売される兄弟車で、2001年デビューの初代から数えて3代目となる。この両車はデビュー当初はあまり大きな差別化が行われていなかったが、2代目以降はヴォクシーがスポーティ、ノアがラグジュアリー指向とエクステリアに独自の方向性を持つようになった。

 3代目となる新型では取りまわしに優れる5ナンバーサイズを基本的に守りつつも、キャラクター分けをいっそう鮮明化。「EMOTIONAL BOX」をデザインコンセプトに、ヴォクシーでは「毒気のあるカッコよさ」、ノアでは「ミニバンの王道をいく堂々感」を表現した。

 ボディーの基本骨格はダッシュパネルより後方を一新。薄型燃料タンクの採用などによりクラストップの低床化を実現しているのが最大のポイントだ。ボディーサイズは先代モデルより全長を100mm、ホイールベースを25mm延長した結果、4695×1695×1825mm(全長×全幅×全高)と5ナンバー枠一杯まで大型化。その一方で全高は25mm下げられているが、低床化により室内高は逆に60mmもアップ。ホイールベースの拡大やシートの薄型化とあいまって、ヒザまわりの空間が2列目で205mm(先代比+40mm)、3列目で105mm(同+100mm)を実現。定員乗車でも窮屈さを感じさせないゆとりある居住空間を生み出しているのだ。

 パワートレーンは2.0リッター直列4気筒のガソリンエンジンに加え、このクラスでは初となる1.8リッターガソリンエンジンとモーターを組み合わせた本格ハイブリッドシステムが用意された。

 2.0リッターガソリンエンジンは、連続可変バルブリフト機構の「バルブマチック」を備えた「3ZR-FAE」ユニットを搭載。バルブマチックは吸気バルブのリフト量と開閉タイミングを連続的に変化させるもので、今回のユニットではバルブの作用角や作動領域の拡大によってさらなる効率アップを実現。また、圧縮比アップや軽量化、フリクションの低減といったエンジン本体の効率化に加え、アイドリングストップ機構の採用、新しい変速制御を加えた「Super CVT-i」との組み合わせなどにより環境性能を向上させている。その結果、最高出力112kW(152PS)/6100rpm、最大トルク193Nm(19.7kgm)/3800rpmと先代モデルとほぼ同等のスペックを維持しつつ、JC08モード燃費は2WD(FF)車で13.8km/Lから16.0km/Lへと大幅な向上を果たした。

 ハイブリッドシステムはおなじみの「THS II」で、現行3代目プリウスと同じ1.8リッター直列4気筒ガソリンエンジン「2ZR-FXE」とモーターの組み合わせ。エンジンのスペックは最高出力73kW(99PS)/5200rpm、最大トルク142Nm(14.5kgm)/4000rpm。モーターはプリウスの「3JM」から「5JM」へと変更されているものの、スペックは最高出力60kW(82PS)、最大トルク207Nm(21.1kgm)で、システム合計出力は100kW(136PS)と変わらず。搭載される電池もニッケル水素電池で、容量も6.5Ahと同じスペックとなっている。JC08モード燃費は23.8km/Lと、さすがにプリウスには及ばないものの、クラストップの数値をマークしている。

ハイブリッドシステムは上下2段構造でコンパクト
薄型燃料タンクの採用、シート下へのハイブリッド用電池搭載などにより低床化を実現
フロアの地上高は360mmで、先代モデルのステップ位置がそのままフラットフロアになった感覚
6.5Ahの容量を持つニッケル水素電池をフロントシート下に横向きで搭載
フロントサスペンションはストラット式
リアサスペンションはトーションビーム式を採用

 ラインアップは、ガソリンエンジン車が「X」「V(ノアはG)」、それに専用エアロパーツを標準装着して3ナンバー登録となる「ZS(同Si)」の3タイプ。ベーシックグレードとなるXには、装備を簡素化した「V(同C)パッケージ」と、サイドリフトアップシートを標準装備した「サイドリフトアップシート車」も用意する。ハイブリッド車は「X」「V(同G)」の2タイプで、エアロパーツ装着車は設定されていない。さらにガソリンエンジン車には、車両の状況に応じて最適な駆動力配分を行う「アクティブトルクコントロール4WD」車が全グレードで選択できるほか、2列目にキャプテンシートを設定する7人乗りモデル、ベンチシートを設定する8人乗りモデルの選択も可能(サイドリフトアップシート車を除く)。ハイブリッド車は2WD(FF)で7人乗りモデルだけの設定となる。

 価格はガソリンエンジン車が221万円~278万9000円で、8人乗りモデルは3万円安、4WD車は20万円高。ハイブリッド車は285~297万円となる。

ノア ハイブリッド G

撮影車両はハイブリッド G。ボディーカラーはダークシェリーマイカメタリック
ボディーサイズは4695×1695×1825mm(全長×全幅×全高)でガソリンエンジン車と同様。車両重量は同グレード比で50kg増加して1620kgとなる
フロントマスクはクラウン ロイヤルに通じる堂々としたデザイン
ハイブリッド車はフロントグリルのロゴマークにブルーのアクセントが入る
XグレードのCパッケージ以外はLEDヘッドライトを標準装備
ドアミラーはカラードタイプでウインカーを内蔵。自動格納機構も備わる
フロントフェンダーにハイブリッドのバッヂを装着
Gグレード以上にはスマートエントリーシステムを標準装備。助手席側の後席スライドドアはXグレードのCパッケージ以外は電動スライド式が標準となる
リアコンビランプの側面には走行安定性を高めるエアロスタビライジングフィンが並ぶ
リアガーニッシュのトヨタロゴにも青いアクセントカラーが入る
リアワイパーはリバース連動機能付きで全車標準装備
ヘッドライトはクリアランスランプとロービームにLEDを採用
フォグランプはGグレード以上に標準装備
リアガラスと一体化してワイド感を強調するリアコンビランプ。オプション設定のリアフォグランプはバンパー部に装着される
左側(運転席側)が1.8リッターのガソリンエンジン、右側が昇圧コンバーターを内蔵したパワーコントロールユニット
アルミホイールはハイブリッド専用デザイン。タイヤはアクアにも採用されているグッドイヤーの「DuraGrip」で、サイズは195/65 R15
マフラーはシングルテールタイプ
フロントピラーのスリム化、三角窓拡大、ドアのベルトライン引き下げなどにより広々とした前方視界を実現。Gグレードはアイボリーの内装色が標準
Gグレード以上は本革巻ステアリングを標準装着。Gグレードにはクルーズコントロールも標準装備となり、ステアリングの右下奥側に操作レバーが付く
シフトレバーはトヨタ ハイブリッド車共通のエレクトロシフトマチック
パーキングブレーキは足踏み式
ステアリングコラム左側にEVモードなどの切り替えスイッチを配置
オプティトロン式のメーターパネルは左側にパワーメーターを備えるハイブリッド専用タイプ
インパネ中央上部に独立したマルチインフォメーションディスプレイを配置。Gグレード以上は4.2インチのカラー液晶を採用し、アナログ時計やエアコンの作動状況、エネルギーモニター表示などに加え、表示設定などの各種調整も行える
全グレードでオーディオレス仕様が基本。Gグレードは6スピーカー、それ以外は4スピーカーを装備する。写真のモデルはG-BOOK対応のディーラーオプションナビ「NSZT-W62G」
エアコンは左右独立温度調整式を全車標準装備。ハイブリッド車のエアコンは1席集中モードの「S-FLOW」を備える
ハイブリッド車のパワースイッチは青色。運転席側の後席パワースライドドアはオプション(5万7750円)
インパネの右下にはカードホルダーと小物入れを用意。カードホルダーはオプションのETC車載器の装着スペースとしても使われる
インパネの中央下側には格納式のセンターマルチトレイのほか、ハイブリッド Gだけに標準装備されるシートヒーターのスイッチを設置
フロア近くの位置にはDC12Vソケットと小物置き場を備える
カップホルダー2個を備えるセンターマルチトレイは引き出し方によって使い分けできる
助手席前方には小物置き場として便利な大型のオープントレイを設定
上側はリッド付きのアッパーボックス
下側はグローブボックス
ハイブリッド Gの運転席、助手席間のスペースには「おくだけ充電(qi)」の充電器一体型コンソールトレイを用意
ドアトリム下部にはドアポケットとドリンクホルダーを用意
パワーウインドーはフロント&スライドドアともオートタイプ
Gグレードのシート表皮は消臭機能付きの「ハイグレードタイプ」
定員乗車時でも小型のバッグなどを置ける程度のラゲッジスペースを確保。3列目シート下のスペースを利用すれば雨傘のような長尺物を縦方向に収納することも可能
3列目シートを2人で使うなら、3列目中央のヘッドレストを取り外して後方視界も確保できる。外したヘッドレストはラゲッジスペース左側に固定しておける
3列目シートを跳ね上げ収納すれば、大型の荷物が積載可能なラゲッジスペースが出現
2列目シートを前端までスライドさせた「ビッグラゲージモード」でさらに広いスペースを確保できる
2列目の片側シートだけを前にスライドさせ、3人乗車+自転車積載のような組み合わせも可能
3列目の片側だけをシートとして使うこともできる
3列目シートの跳ね上げは座面下側中央のレバーを引いて操作する
跳ね上げたシートはサイドウインドー部にスリムに収納され、荷物積載の邪魔にならない
シートに備え付けられたストラップを使い、跳ね上げたシートを内装側面に簡単に固定できる。ライトグレーのレバーが3列目シートのロック解除装置
取り外した3列目中央部のヘッドレストの置き場所に困らないよう、ラゲッジスペース内の助手席側に専用の収納スペースを用意
ラゲッジスペースのフロア下に大容量の床下収納を用意。右下に設置されている黒いボックスは補機バッテリーのカバー。リアバンパー側にはジャッキなどのツールを収納する

ノア Si(8人乗りモデル)

Siグレードはエアロパーツなどの装着でボディーサイズが4710×1730×1825mm(全長×全幅×全高)になり、全幅が35mm広がって3ナンバー登録になる
フロントバンパーはメッキ加飾付きの大型タイプに変更
大型サイドマッドガードとワイドなフロントフェンダーも専用アイテム
リアバンパーも大型化
ルーフ後端にリアスポイラーを装備
タイヤサイズは205/60 R16となり、専用アルミホイールも装備
8人乗りモデルは2列目がベンチシートに変更。シート中央に収納式のアームレストを装備する
2列目は6:4分割式で、独立して前後スライドとリクライニングが可能
座面はチップアップが可能。固定には座面下に用意されたストラップを利用する
2列目シートの座面をチップアップして前方にスライドすれば広大なラゲッジスペースが確保できる。荷室長は1770mm
フロント&2列目をフルフラット化した「フロントフラットソファモード」も用意。ただし、それなりに凹凸がある

ヴォクシー

ノアのSiと同じくエアロパーツを標準装着するヴォクシー ZS。ボディーカラーはブラック
フロントマスクやクリアタイプのリアコンビランプなどがノアとの違い
専用フェンダーやフォグランプまわりのデザインでワイド感を強調
こちらはハイブリッドのVグレード。ハイブリッド車はノアと同じくエアロ装着車の設定はない。ボディーカラーは新開発されたブラッキッシュアゲハガラスフレーク
2段構成のヘッドライト&フロントグリルによりシャープなイメージを演出
リアコンビランプのデザインも異なる。エアロスタビライジングフィンは同様
リアガーニッシュの車名ロゴにはブラックの塗装が施される
ヘッドライトの点灯パターン。ポジションとロービームにはLEDを採用
リアコンビランプの点灯パターン。ノアとは異なりポジションランプとブレーキランプは同じ位置で光量が変化
フューエルリッドはボディー左側に設置。ガソリンはすべてレギュラー仕様で、タンク容量もガソリンエンジン車、ハイブリッド車共通で55L
直列4気筒DOHC 2.0リッターの「3ZR-FAE」エンジン。こちらは補機バッテリーがエンジンルーム内に収まる
ノアのアイボリーに対し、ヴォクシーのZSグレードはオレンジ&ブラックのインテリアカラーを採用。造形は同じだが、印象は大きく異なる
ZSとVグレードのステアリングは本革巻き。メーカーオプションナビ装着車にはハンズフリー用の操作スイッチが右スポーク部に追加される
シフトレバーはゲート式。エアコンはアイドリングストップ時にも冷風が流れる蓄冷エバポレーターを採用
ステアリングコラム左側に設置されるモードスイッチはエコモードのみ。下側のアイコンはS-VSCのオフスイッチ
メーターパネル左側は一般的なタコメーターに入れ替わる
メーカーオプションナビ装着車にはUSB&AUX端子が設定される
スタートスイッチは黒を使用。アイドリングストップのオフスイッチはガソリンエンジン車のみに設定
メーカーオプションのSDナビはガソリンエンジン車の一部グレードに用意される。静電タッチパネル式の8.0インチモニターを採用してフリックなどの操作に対応。地図はSDカードに収録され、ブルーレイディスクの再生にも対応
ヘッドライトのロービーム/ハイビームを自動的に切り替える「オートマチックハイビーム」はガソリンエンジン車のV(ノア G)グレードのみに装備
サンバイザー裏にはバニティミラーと照明を用意(Cパッケージ/Vパッケージを除く)
マップランプ部にサングラスホルダーを装備
フロントシート中央側にアームレストを装備
エアロ装着車は専用のシート表皮を採用。エメラルドグリーンの光沢糸を使った独特の風合いが特徴
ステッチに某キャラクターのイメージカラーのようなグリーン系を使用
7人乗車モデルの2列目には左右が独立したキャプテンシートを採用
イラストを使って使いかたを説明するキャプテンシートのスライド操作レバー。半分まで引き上げると前後にスライドし、さらに引くと左右方向にも動くようになる
2列目には折りたたみ式のサイドテーブルが備わる
キャプテンシートは両側にアームレストを装備
運転席側の2列目シートを最後部まで下げた状態。助手席側をレール前端にセットすれば斜めにウォークスルーすることも可能なスペースができる
C パッケージ以外にはスライドドアに引き上げ式のサンシェードを装備
ハイブリッドのヴォクシー V/ノア Gとサイドリフトアップシート装着車はルーフ部分にリアオートエアコンを標準装備。それ以外のグレードはリアクーラーが標準となり、リアオートエアコンは寒冷地仕様とセットオプションとなる
3列目でも大人が十分に座れるスペースが確保されている
多少の凹凸はあるものの、フロント&2列目、2列目&3列目のどちらでもシートアレンジのフラット化が可能
ガソリンエンジン車はラゲッジスペースの床下収納にバッテリーがなく、より広い空間を利用できる

ウェルキャブ

リアに手動式スロープを装着した「車いす仕様車」をラインアップ。リアハッチの開口部に845mmの横幅が確保されているため、一般的な車いすを無理なく載せられる
オプションで電動スロープと電動ウインチの装着も可能。操作はリア側タイヤハウスの後方に設置したスイッチに加え、専用リモコンも用意される
2列目シートの位置に車いすを固定。2脚仕様車ではさらに3列目シートの場所にも車いすを載せられる
車いすの積載が不要になったときに後付けする専用の2列目シートもディーラーオプションで用意。このシートを設置すれば、通常の7人乗り仕様と基本的な使い勝手が変わらず利用できることが大きなアピールポイントとなっている。装着後は車検証の記載事項変更が必要になる
専用のセーフティベルトを車いす前後に掛け、モーターでベルトを巻きとって車いすをしっかりと車体に固定できる
スロープは前側に倒してフロアとの一体化が可能。3列目シートやラゲッジスペースをノーマル車と同じように利用できる
車いす仕様車のリアサスにはエアサスを使っている。スロープ利用時はスイッチを押して車高の調整が可能
ノーマル状態の車高
スロープ使用時はリアをここまで下げられる

純正用品&モデリスタ

 トヨタのカスタマイズブランド「モデリスタ」からエアロパーツなどがリリースされているほか、純正オプションでもさまざまなアイテムが用意されている。

ヴォクシーの「モデリスタ エアロツアラーキット」装着車。フロントフルバンパーのほか、サイドスカート、リアスカートがセットになっている
スクエアな形状でスポーティなイメージを演出するマフラーカッター
モデリスタの「WingDancerIII」アルミホイールとタイヤのセット。タイヤはダンロップ ENASAVE RV503でサイズは205/50 R17
純正用品の「ウッド調ステアリング」
ウッド調パネルの「センタークラスター」。こちらも純正用品
PVC素材の「革調シートカバー」
フットレストにもなる2列目シート用の「オットマン」
軽い荷物を収納できる「ルーフネット」。耐荷重は1kg。ベルトの固定位置を変えればラゲッジスペースでも使用可能
立体的な収納やテーブルとしても使える「マルチボード」

(安田 剛)