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トヨタ、2919名が参加した2025年度入社式 モビリティカンパニーへの変革へ向け前年から1027名増
2025年4月1日 16:02
- 2025年4月1日 実施
トヨタ自動車は4月1日、本社事務本館において2025年度の入社式を開催した。2025年度の入社式参加者は2919人。新卒の2010名は会場参加を行ない、キャリア入社の909名はリモート参加。トヨタとしての2024年度採用実績者は3123名で、前年度の2023名から1100名も増加。154%の増加率になる(入社式と採用者の数字がずれているのは、キャリア入社は2024年5月~2025年4月付入社での参加のため)。
トヨタによると人員増の要員は、モビリティカンパニーへの変革と電動化への対応。新卒では技術職が394名から671名、キャリアでは事技職が400名から852名と大幅に伸びており、開発系の人材増となっているのが分かる。
入社式は開式の後、同社 佐藤恒治社長からのメッセ-ジに続き、そのメッセ-ジを受ける形での新入社員代表2名による誓いの言葉が披露され、最後は事務本館前にて車両展示や記念撮影が行なわれた。
車両展示は実車が12台、開発中の新型4気筒G20型搭載テストカーや、C-HR PHEVなど普段は見ることができないような車両を展示していた。水素FCEVトラックを含め、その展示はトヨタらしくマルチパスウェイとなっており、BEV、FCEV、HEV、ICEとバラエティに富んでいた。また、新型クラウンも車種専用ディーラー「ザ・クラウン」で販売するクロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートの限定車をそれぞれ展示。トヨタ新入社員が群戦略のクラウンを一堂に見る機会となっていた。
トヨタ自動車 代表取締役社長 佐藤恒治氏あいさつ
おはようございます!社長の佐藤です。クルマ屋のトヨタへようこそ!
本日は、2010名の新入社員のみなさんに、この場に集まっていただきました。909名のキャリア入社のみなさんには、職場からオンラインで参加いただいています。合計2919名のみなさんが仲間に加わってくれたことを心からうれしく思います。
トヨタを選んでくれて、本当にありがとうございます。
みなさんの原点になる入社式。本日は、これから社会人生活を送っていくうえで、とても大切な1日です。だからこそ、記憶に残る景色の中には、クルマがあってほしい。そう考えて、カンパニー・工場ごとに、みんなで一生懸命作っているクルマでみなさんをお迎えいたしました。
豊田章男会長も、マスタードライバーとして自ら鍛えてきたクルマで、みなさんの入社を歓迎しています。ぜひ後ほどゆっくりご覧いただき、クルマと向き合うことから始まったトヨタでの会社生活。そんな風に今日がみなさんの記憶に残ってほしいと思います。
展示車両の1つ、クラウンは、今年、誕生から70年を迎えました。みなさんにとって、クラウンはどんなイメージでしょうか。70年もの長い間、お客さまに愛されてきたロングセラーカー。クラウンには、トヨタが大切にしているクルマ作りやモノ作りへの想いがたくさん詰まっています。
歴史を振り返りながら、紹介したいと思います。
クラウンが生まれた当時、日本の道を走っていたのは、外国車かトラックでした。そんな中で、「みんなが乗れる乗用車をつくりたい」という想いで、私たちの先輩は、国産乗用車作りに挑戦をしました。
当時の持てる技術をすべてつぎ込んで、1955年、初代クラウンが誕生しました。そこにあったのは、「自分たちの手で、日本の道、日本のユーザーに合うクルマをつくろう」という「クルマづくりへの情熱」と「お客様第一の想い」。そして、「よい品よい考」、創意工夫を重ねてお客様に品質のよいクルマをお届けするという「モノづくりの精神」でした。
クラウンのチャレンジは続きます。
初代クラウンで、トヨタは世界に目を向けて初めてアメリカへの乗用車の輸出に挑戦をしました。そして、1959年には、日本初の乗用車専用工場「元町工場」を立ち上げて、多くのお客さまにクルマをお届けする、量産へのチャレンジが始まりました。
それ以降も、歴代のクラウンは、日本のお客さまのニーズに寄り添って、進化を続けて、多くのお客さまに受け入れられてきました。
ただ、代を追うごとに、作られてきてしまったものがあります。「クラウンはこうあるべき」「このカタチ」という「固定観念」です。
現在の16代目クラウンも、実は、当初の企画提案は、従来どおりのFRセダンでした。その提案に対して、当時の豊田社長は、「お客様の価値観は変わり続けている」と言って、「NO」という決断を下します。この言葉を受けて、チームは、クラウンの原点に立ち戻りました。初代クラウンの開発を担当した中村健也さんは、こんなことを言っています。
「信念をもって人にモノを売るということは、『自分の心でいいと思うもの、本当のお客様の心が入ったもの』をつくるということ」。つまり、お客さまの笑顔を第一に考えて、常識にとらわれずに、「いいと思うもの」を作る。開発チームは、その思いを大切にして、「クラウンはどうあるべきか」を考え抜きました。
そして、たどり着いたのが、セダンからクロスオーバーまで、お客様のニーズに多様にお応えする新しいクラウンでした。
今のトヨタが大切にしていることを表わすエピソードであると思います。
信念をもって、いいモノをつくり、お客さまに喜んでいただく。これがトヨタの原点であるということを、クラウンの歴史は教えてくれていると思います。
今日からみなさんは、トヨタの一員です。信念をもって、1つひとつの仕事に取り組んでほしいと思います。世の中にないものを、自分たちの手でつくる。ない」と思われていることを、技術やモノ作りの力で「できる」ようにする。クルマ作りは、とてもやりがいのある仕事です。
大変なことも、苦しいことも、たくさんあります。「楽しい」と思えるためには、たゆまぬ努力が必要です。豊田佐吉さんが大切にされていた「百折不撓」という言葉があります。9999の失敗の先に、ひとつの成功がある」「信念をもって挑戦し続けなさい」。私自身の支えにもなってきた言葉です。
一生懸命勉強して、挑戦し、失敗したらもっと努力して、また挑戦する。クルマ作りは、その繰り返しです。
苦労した末に何かを生み出せたとき。そして、それが誰かの役に立ち、「ありがとう」と言ってもらえるとき。そこには、かえがたいよろこびがあります。その第一歩は、自分の担当する仕事1つひとつに、一生懸命取り組んでいくことです。
私が新人時代に初めて設計を担当したのは、カローラの「チルトレバー」というステアリングの小さな部品でした。そのクルマが発売されたあと、販売店に行って、「自分が設計した部品が本当にクルマについている!」と何度も見たり、触ったりしていた、あのときのうれしい気持ちは今でも忘れません。
トヨタには、「誰かを笑顔にできる」やりがいのある仕事がたくさんあります。「失敗を恐れずに、挑戦しよう」。そう言ってもらえる環境があります。まずは、仕事の基本をしっかり覚えて、一生懸命勉強して、技能や専門性を磨いたり、世界を見て、感性を磨いたりして、自分らしく成長していきましょう。
これから先、仕事を始めると壁にぶつかって悩むこともあると思います。そんなときに、きっとみなさんの支えとなるもの。それは、「クルマ愛」だと思います。
好きなことであれば、誰かの笑顔のためであれば、たとえ苦しいことがあってもがんばれます。夢中になって、時間が過ぎていきます。
クルマを通じてお客さまを笑顔にする。お客さまに「愛車」と呼んでいただけるクルマを作るには、まず自分たちが、愛をもってクルマと接することが大切だと思います。
いろんなクルマ好きがいていいと思います。みなさん一人ひとり、クルマに向き合って、クルマの持つ多様な価値や楽しさを見つけてみてください。
本日を迎えるにあたりみなさんがトヨタで実現したいことが何か、たくさんうかがいました。「楽しいクルマをつくりたい」「クルマをもっと世の中の役に立つものにしたい」「誰もが自由に移動できるモビリティ社会をつくりたい」。みなさんそれぞれに、熱い想いをもってトヨタに入ってきてくれたと感じました。
もっといいクルマを作り、クルマの未来を変えていく原動力は、そんな一人ひとりの「熱量」だと思っています。
今の気持ちを大切にして、熱い思いを語り合える仲間をたくさん見つけていきましょう。必ずみなさんの支えになります。
みんなで心に火をつけ合って、現場で汗をかいて、情熱を持ってクルマ作りに取り組んでいきましょう。改めまして、ようこそトヨタへ。
これから一緒に、クルマの未来を変えていきましょう!