DIYでクルマいじり
NAOさんのDIYでクルマいじり
第20回:秋の夜長の「ヴィッツ」快適化計画、Qi充電パッド内蔵とデジタル静音化に挑戦! 騒音計実地テスト映像も
(2013/10/16 00:00)
猛暑もようやく一段落、クルマいじりに最適な季節ですね
納車直後にバラバラ分解クルマいじり洗礼を受けた「ヴィッツ」くんは、すっかり我が家になじんで毎日大活躍。広々した室内空間と運転しやすいコンパクトボディーはカミさんも大満足、以前にも増してお買い物行動範囲が広がっているようだ。「いや~、クルマって、本当に楽しいものですね」。
最近はスマートフォン通信環境が相当便利になり、LTE回線テザリングでWi-Fiルーター代わりに使う機会も増えてきた。それにともないモバイルバッテリの使用頻度も高まり、「ヴェルファイア」に内蔵搭載したQi(チー)充電パッドが予想以上に活躍してくれている。この便利さをヴィッツにも与えるべく、DIY施工してみよう。以前ヴェルファイアに内蔵したときはスペース的に余裕があったのでコイル移動式の充電パッドを使ったが、今回は限られた空間に収納する必要があるためコイル固定式のQi充電パッド「AIR VOLTAGE WP-PD10S」を用意。横幅113mmのスタイリッシュなコンパクトボディーなので、このままクルマに積んでおけば……いやいや、それでは充電器は納まってもDIY魂が納まらないので、とにかく分解スタート!
●日立マクセル Qi充電ステーションシングルタイプ WP-PD10S
http://www.maxell.co.jp/air/lineup.html
●パナソニック 無接点対応USBモバイル電源 QE-PL202-W
http://panasonic.jp/battery/pocket/
●NAOさんのDIYでクルマいじり
【第18回】イクリプス「AVN-ZX02i」を中心に、これでもかっ!と快適IT装備を満載して東京ゲートブリッジへ行こう!
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/c_diy/20130405_594144.html
センターコンソールを分解してQi充電パッド設置場所を見つけよう
ヴィッツの車内はあっちにもこっちにも小物入れやらトレイやらホルダーといった収納スペースが用意されているのだが、コンパクトカーの限られた空間を最大限に活用したデザインのため「ここならQi充電パッドが余裕で入るもんね」という場所がなかなか見つからない。ひと通り見回して、やはりセンターコンソールがよいだろうということで早速分解。後席側小物入れ部分に10mmボルトがある以外はすべてクリップ固定となっているため、脱着は容易だった。
さて、どこに埋め込もうか。仕切り板が脱着できるフロントコンソールトレイ部分は十分な面積を持っているが、この一等地は飲み物やメガネケースなどが常駐するためNG。サイドブレーキ後ろのスイッチ用予備スペースはモバイルバッテリーを置くにはちょうどよいが、スマートフォンがはみ出してしまうのと運転の邪魔になる可能性があるので却下。これは困った、なかなかよい場所が見つからないぞ。
●トヨタ ヴィッツ ユーティリティ・居住性
http://toyota.jp/vitz/003_p_007/interior/utilities/side/index.html
Qi充電パッド設置場所は後席側小物入れ部分がよさそうだが、裏側に剛性確保のための筋交いが入っている。そのままQi充電コイルを取りつけると機器との隙間が開きすぎてしまうし、筋交いをカットすると剛性が足りなくなって副作用が出てしまうことは容易に想像できる。いろいろ思案した結果、後席側小物入れにバッテリーなどを「立てて置く」スタイルに決定した。ただ置いただけでは走行中にずれたり倒れたりしてしまうので、小物を入れない場合は弾力のある樹脂バンパーで、小物を入れる場合は小物で充電機器を押さえつけることで対処する。日ごろからスムーズな発進加速とブレーキを励行しているので、これで特に問題はないだろう。ちなみにセンターコンソールの裏側には、結構な量の吸音用ニードルフェルトが純正施工されていた。
コストに厳しいコンパクトカーにもかかわらずしっかり対策されていることに関心しつつ、徹底防音施工してみたい欲求も湧いてきた。これはいずれまた別の機会にやってみたい。写真のとおり、試行錯誤しつつ充電パッドの内蔵は完了、電源はバッ直接続してある800W DC/ACインバーターから供給する。
※Qi対応スマートフォンについて
写真ではiPhone 5を使っていますが、iPhone 5はQi(ワイヤレス充電規格)に対応しておらず、Qiで充電するためにはQi充電対応ケースなどのオプション品が必要です
※バッ直配線の活用について
車両側純正配線に負荷を掛けず追加設置した電装品を安定稼働させるために、筆者はバッテリーからリレーハーネスを経由して車室内に直接DC+12Vを別系統で引き込む作業、いわゆる「バッ直」を行っています。最近のクルマは使用電力量を測定してオルタネータの発電負荷を制御し燃費を向上させる「充電制御」が行われており、この制御とバッ直配線が相容れないのではないかというソーシャルコメントを前回いただいたので補足します。トヨタ車の場合、充電制御用の電流センサーはマイナス端子側に取り付けられておりプラス側配線を引き出すバッ直については何ら充電制御に影響せず、正しく電流測定制御が可能です(ディーラーにも確認済み)。ただし、メーカーや車種によってはプラス側に電流センサーが取り付けられている場合もあるので、自分で判別できない場合はディーラーなどに確認するのがよいでしょう。
やはり静かさは最重要、お手軽静音化パート2を実施
前回、古いカーナビの移植とともにドア4枚とリアハッチに簡易デッドニング作業を行ったヴィッツくん。これだけでも十分快適に過ごせるわけだが、筆者入魂のヴェルファイア兄さんに一歩でも近付けたくなるのも人情というもの。フロアやルーフについてはまったくの手つかず状態ということもあり、強い雨の日にはコンコン、バチバチと雨音がかなり気になったので対策してみたい。
ヴェルファイアの場合はコストも重量も気にせず徹底施工を目標にチビチビ作業を進めているのだが、ヴィッツの場合はせっかくの軽快さをできるだけスポイルしない(制振材などで重くしすぎない)方向で、かつコストも抑えたい。今回は、何かと多用しているニードルフェルトと、通称プチプチこと梱包用エアキャップ緩衝材やキャンプマットを使って防音効果を試してみた。作業は簡単、リアハッチのウエザーストリップゴムを外して、ルーフと内装材の間に押し込むだけ。サンルーフもないため特別な配慮はいらず、作業はいたって簡単だ。まずはプチプチを押し込んで、ホースで上から水を掛けてもらう。バチバチバチ……う~ん、多少の断熱効果はあるのかも知れないが、正直防音効果は感じられない。続いてキャンプマットをグニグニと棒で押し込んでみる。ごつごつバチごつバチ……若干の防音効果はあるものの素材に伸縮性がなさ過ぎて、マットが入っていない部分の叩き音が余計気になってしまった。そして(筆者的には)王道のニードルフェルトをモニョモニョと押し込む。ごつごつごつ……ルーフ裏にレジェトレックスなどの制振材を施工していないため叩き音が響きまくるのは相変わらずだが、音そのものは確実にマイルドになった。さすがのコスパと効果である。
※ニードルフェルトの活用について
過去記事にも何度か記載していますが、前回ソーシャルコメントが多かったようなので念のため補足です。筆者は20年ほど前からデッドニング素材としてニードルフェルトを各部に活用し、施工した各愛車は年間約5万kmペースで走行してきましたが、ニードルフェルトが腐るなどのトラブルが発生したことはありません。多少湿気ってもすぐ乾くのか、何度かバラして確認した際もドアアウター部はもちろん、フェンダー内側やバルクヘッド付近のフェルトにも異常は出ていません。仮に泥水たまりに突っ込んで汚れてしまったとしても、20mロールで4000円前後とコストも安く、必要に応じてメンテナンスすればよいと考えています。なお、ご意見ご感想は編集部まで直接メールでいただけるとうれしいです。
※樹脂マット類の活用について
今回はあくまで防音効果を試してみるためにプチプチやキャンプマットを仮設してみました。熱に弱く劣化も早いため、クルマ内部での常用は避けたほうがよいでしょう。
デジタルノイズキャンセリング静音化に挑戦!──あっさり失敗編
みなさんはノイズキャンセリングヘッドホンを体験済みだろうか。スイッチを入れると、スゥ~っと周囲の騒音が聞こえにくくなる画期的なアイテムだ。実際の処理システムと調整ノウハウは相当複雑なのだろうが、あえて簡単に言うと左右のヘッドホンにマイクが内蔵されていて、そこで拾ったノイズ成分と逆位相の音を作り出すことで、ノイズ成分だけが相殺されて聞こえにくくなるという仕組みだ。ヘッドホンで実現できるなら、スピーカーでも再現できるはず。実際、一部の高級車にはすでに搭載されているのだが、車種専用の音場空間測定データに基づいた高度なシステムなので当然汎用市販はされていない。だが、物理的なサイズが限られ、重量増もできるだけ避けたいコンパクトカーにこそ、ノイズキャンセリングシステムは必要なはず。よし、とにかく難しいことは考えずに、ヘッドホンを分解してスピーカーに信号を突っ込んでみよう!
運転席と助手席のあたりに左右マイクを設置して、出力は左右スピーカーから出せばなんからの効果は得られるはず。得られてほしい。得たい。──得られない。がーん。まあ、周波数特性がまったく合っていないのだから当然といえば当然だが、調整用半固定抵抗をいじったりEQをいじったりしてもまったく無駄だった。いつかリベンジ、まあ今回はこのぐらいにしておいてやろう。
●ソニー デジタルノイズキャンセリングヘッドホン
https://www.sony.jp/headphone/lineup/series/noise_cancel.html
●ソニー ポータブルオーディオプレーヤーウォークマン
http://www.sony.jp/walkman/
ヴィッツ vs.ヴェルファイア 走行騒音比較
デジタル静音作戦は初戦敗退となったが、防音しまくったヴェルファイアと防音工事発展途上のヴィッツと、どの程度の騒音差があるのか。そもそもクラスが違うので比べるのは酷ともいえるが、天下の世界戦略車「ヤリス」の気合いに期待しつつ騒音計で測ってみた。
同じ時刻、同じ場所、同じ周辺環境で走行測定するのが理想だが、現実的にはなかなか難しいため参考数値ということでご理解いただければありがたい。デッドニングも静音化も、バランスが最重要であることはこれまで何度も述べてきた。例えばフロント部分だけを極端に静音化すれば、「静かなクルマだなぁ」という印象ではなく「横と上と後ろがうるさいなぁ」という印象になる訳で、今回の測定数値も静音化ヴェルファイアが静かなことに間違いはないが、だからといってヴィッツが不快な(バランスのとれていない)うるささだという意味ではないことは強調しておきたい。
測定場所は東北自動車道 浦和IC(インターチェンジ)~岩槻IC間と周辺の一般道。水はけのよい高機能舗装のため、いわゆる普通の舗装に比べてゴーゴーと音が出る路面をあえて選んでいる。言うまでもなく、路面状況、周囲の走行車両、その他環境が一定ではないため、くどいようだが参考数値ということでご理解いただければ幸いだ。また、デシベル数値(A特性で計測、平均値を掲載)を見てもピンと来ないという方のために、身の回りの環境音もちょっとだけ測定してみたのでご参考まで。今回の結果は以下のとおりだった。
●装着タイヤと条件
ヴェルファイア:ブリヂストン エコピア PRV 215/65 R17+純正アルミホイール/左右後エアコンOFF/カーテンオープン/サンルーフ内装閉/データ記録用のノートPC 1台稼働
ヴィッツ:純正装着タイヤ 165/70 R14+純正スチールホイール+純正ホイールキャップ/エアコンOFF/データ記録用のノートPC 1台稼働
●NEXCO東日本 排水性舗装(9ページ)
http://www.e-nexco.co.jp/company/strategy/pdfs/privatization_document.pdf
ヴィッツ+純正タイヤ
静音化ヴェルファイア+ブリヂストン エコピア PRV
そして、まさかのパンク! これは何かのお告げなのでは……(謎
前後左右バランスが取れたノイズなのでヴィッツがそれほど騒々しい感じはしないのだが、測ってみるとやはりハッキリ差が付いた。バランスを崩さず、次はどこをいじろうかな、などと考えつつ出かけていたら、カミさんから緊急連絡が。「たいへん、たいへん! いつの間にか、タイヤがぺっちゃんこになってるの!!」……パンクか。まだ9分山の新品状態、空気圧もまめに点検していたのだが、どこかで鋲を踏んでしまったようだ。とにかく事故も怪我もなかったのが不幸中の幸い。筆者が駆けつけられないタイミングだったため、いつものディーラーに頼んでピックアップとタイヤ交換を依頼した。しかし、1本だけタイヤが新品になるというのも、なんだかなぁ。タイヤ。静かさ。タイヤ。ハッ!これは……(次回に続く)。