【iPhone&Android】Formula1.com 2011
ライブタイミングを無料で手の中に

 

 いよいよ開幕した2011年のF1 GPだが、スマートフォンユーザーなら観戦のおともにぜひとも活用したいアプリを紹介しよう。その名も「Formula1.com 2011」だ。

 「Formula1.com」はF1の公式Webサイトで、F1に関する情報発信から、グッズやチケット、観戦ツアーの販売まで、F1ファンのためのコンテンツを揃えている。

 なかでも素晴らしいのが「Live Timing」(ライブタイミング)。練習走行、予選、本戦の計時データを、リアルタイムで公開しているのだ。さらにサーキットからのコメンタリー(状況説明)や、風向・風力・気温・気圧・湿度・路面温度・天候といったサーキットの状態も見ることができる。

 登録は必要だが、これだけのデータを無償で世界中に見せてしまうというのだから、実に太っ腹な話だ。ライブタイミングのデータを眺めるだけでレースの展開を楽しめてしまう剛の者も、きっと世界のどこかにいるに違いない。

 そんなライブタイミングを手元のスマートフォンで見ることができるのが、このFormula1.com 2011というわけだ(Webサイトとアプリの名前がカブっていてややこしいのだが)。英語でしか提供されていないというハードルはあるが、まさにF1ファン必携アプリと言えるだろう。

各ドライバーのラップタイムなどの計時データのほか、サーキットの状態、レースのスケジュールなども分かる

 Car Watchは2008年にこのライブタイミングの楽しみ方を紹介している(関連記事参照)が、このときはパソコンでFormula1.comにアクセスするしか、ライブタイミングを利用する方法がなかった。iPhoneでライブタイミングを楽しめるアプリがソフト・バウアからリリースされたのは翌2009年。さらに翌年になって、Formula1.com自身が「Formula1.com 2010」の、iPhone(iOS)とBlackBerry用をリリースした。

 ここで紹介するFormula1.com 2011は、Formula1.com 2010の新バージョンということになる。2011はAndroid用アプリが加わり、3つのプラットフォームでライブタイミングを楽しめる。

 各プラットフォームの対応環境は次のようになっている。

プラットフォームOSバージョン対応機種
iOSiOS 3.0~iPhone/iPod touch/iPad
Android1.6~
BlackBerry4.2.0~BlackBerry App Worldを参照

 アプリは、各プラットフォームのダウンロードサイト、App StoreとかAndroid Marketからダウンロード、インストールする。各サイトで「Formula1.com」と検索すればいいが、Formula1.comのモバイル用サイト(http://mobile.formula1.com/)の「Download 2011 Application」に行けばダウンロード先へのリンクがあるので、こちらからでもいい。

インターフェイスは共通、iOSだけの機能も
 ではアプリをインストールして、起動してみよう。

 この記事を書くにあたっては、iOS用をiPadで動作させて確認しているが、iPhone、iPod touchはもとより、AndroidやBlackBeryでも画面や操作はほぼ同じだ。

iOSの画面。左がタイミングデータ、右がラップチャート
Androidの画面(ドコモ Xperia SO-01Bで動作)で同じ画面を見たところ。このほかのトラックデータやレースといった画面も3つのプラットフォームで全く同じだ
BlackBerryの画面。ほかの2つのプラットフォームよりも画面が小さいBlackBerryだが、スクロールすれば同じ内容が表示される
なおiPadで動作させても、アプリの表示は480×320ピクセルのまま。HD表示には対応していない

 ただし、iOSにだけあってほかの2つにない「プッシュ通知」という機能がある。練習走行や予選の結果、レースの状況、レース後のニュースなどを随時配信し、表示してくれるのだ。

iPadを起動すると、練習走行3回目の3位までの結果がプッシュ通知されていた予選やレースのスタート時にもプッシュ通知がレース終了後、Twitterを眺めていたら、ザウバーの2人の失格を伝えるプッシュ通知が

 当然ながらプッシュ通知もライブ(リアルタイム)でやってくる。ライブタイミングまで楽しもうという方ならたいていはリアルタイムの中継をご覧になっているだろうが、録画で楽しもうという向きには、興醒めなことになってしまうので、ご注意のほどを。

利用には登録が必要
 初回起動時には、Formula1.comのアカウント情報を入力するログイン画面が表示される。この画面は初回しか表示されない。違うアカウントでログインし直したいといったときは、1度アプリを削除して、またインストールしなおす必要がある。

 すでにFormula1.comのアカウントを取得しているなら、登録したメールアドレスとパスワードを入力して、「Sign in」をタップすればよい。

 アカウントを持っていないなら、「Register」でアカウントを取得する。「Register」をタップするとブラウザが起動して、Formula1.comの登録フォームが表示されるから、First name(名前)、Last name(苗字)、Gender(性別。男性ならMale、女性ならFemale)、Year of birth(生年)、Country(母国)、Email address(メールアドレス)、Password(パスワード。任意の6文字以上の半角英数字。大文字と小文字に注意)を入力する。その下の3つのチェックボックスは上から「メールでFormula1.comのニュースレターを受け取る」「メールでFormula1.comのプロモーション情報を受け取る」「Formula1.comの利用条件に同意する」で、一番下のチェックボックスだけチェックしておけばよい。

初回ログイン画面「Registe」をタップすると、ブラウザーが起動してmobile.formula1.comの登録フォームが表示される

 登録に成功すると指定したアドレスにメールが来るから、その中の「To confirm your registration, please follow this link:」にあるリンクをクリックすれば、手続き完了だ。

 再度、「Formula1.com 2011」を起動して、メールアドレスとパスワードを入力すれば、めでたくアプリを利用可能となる。

 なお、登録やログインがうまくいかないときは、ログイン画面の「Try」をタップすれば、試用できる。「試用」となっているが、機能は登録ユーザーとまったく一緒だ。ただし、「登録しなくても1レースウィークエンドの間だけ体験できる」とあるので注意されたい。

 ログインできない、あるいはTryをタップしても後述のような画面にならない(正常に表示されない)ときは、Formula1.comのライブタイミング用サーバーに接続できていない可能性がある。

 Formula1.com 2011は、ネットワークの専門用語で言うと、「ポート番号2428」でライブタイミング用サーバーに接続している。無線LAN(WiFi)で接続しているときに正常に動作しないなら、そのネットワークでポート2428の使用を禁じられているのかもしれない。

 その場合は、WiFiをあきらめて3Gなどの携帯電話ネットワークで接続すれば、たいていは大丈夫だ。WiFiよりも通信速度で劣るが、これはFormula1.com 2011ではあまり問題にならない。

まずは「ホーム」でレースのスケジュールを確認
 「Formula1.com 2011」を起動すると「ホーム」画面になり、次のレースのスケジュールが表示される。3回の練習走行と予選、レースが始まる日時が表示されている。この日時は、「My Local Time」すなわち自分が今いる場所の時間と、「Race Local Time」つまりレース開催地の現地時間に切り替えることができる。

 ほかの画面からこのホーム画面に戻ってくるには、画面下部のアイコンの一番左にある「Home」アイコンか、画面左上の「Home」ボタンをタップすればいい。ここがすべての出発点だ。

次のレースのスケジュール。次のセッションまでのカウントダウンも表示される。これはMy Local Time(現在地の時刻)スケジュールの下のタブ「Race Local Time」をタップすると開催地の現地時間になる3回目の練習走行「Practice 3」の最中の画面。「Practice 3」の右の「Launch」をタップすると、そのセッションのライブタイミング画面に移る
レース終了後もこのように表示され、各セッションの右の「Result」をタップすると、それぞれの結果が表示されるこれは予選の結果こちらはレースの結果。獲得ポイントも表示されている

 画面下部の「Race」アイコンでは、2011年の全19戦のスケジュールが分かる。その右の「Standings」は、ドライバーの順位と獲得ポイントだ。「Help」には後述するライブタイミング画面の解説などがある(すべて英語だが)。

「Race」は年間のスケジュール。クリックすればレースごとのセッションの開始時刻が分かる「Standings」はその時点でのドライバーズランキング(左)。下にスクロールするとコンストラクターズランキングも分かる(右)。画面は第1戦オーストラリアGP終了時のもの

ライブタイミング画面では色が大事
 ではお待ちかねのライブタイミングに行こう。ライブタイミング画面には、画面下部の左から2番目のアイコン「Live Timing」をタップして行く。練習走行、予選、本戦の各セッション中であれば、ホームの各セッションの右の「Launch」からも行ける。

 セッション中なら次のような画面になり、めまぐるしく表示が変わっているはずだ。

ライブタイミングの画面。「ALO」(アロンソ)のラップタイムに赤い文字で「OUT」とあるが、これはピットアウトした周回(アウトラップ)を意味する

 内容は左から「Pos」(順位)、「Car」(カーナンバー)、「Name」(ドライバー名)、「Lap time」(ラップタイム)、「Sector」(セクターごとのパフォーマンス)、「Pit」(ピットインした回数)。

 この中ですこし特殊な表示になっているのがSector。モバイル端末の狭い画面ではセクター1~3のすべてのタイムを1度に表示できないので、各セクターでのドライバーのパフォーマンスが、目安として色で表示されるようになっている。通常は黄色だが、ファステストタイムを叩き出すとピンク(マゼンタ)になり、自己ベストが出ると緑になる。白は、そのセクターを走り終えて次のセクターに入っているという意味だ。この色の変化の規則は、ラップタイムやドライバー名にも適用されるから、よく覚えておこう。

 上の画面で言うと、1位ベッテルがセクター2のファステストラップを更新して逃げている一方で、3位のウェバーはセクター3で自己ベストを出している。5位アロンソはピットアウトしてセクター2に向かっているところ、7位バトンがセクター2、セクター3、ラップタイムの自己ベストを更新して追い上げ中、ということが分かる。

 また、ヘッダ(Sectorと書いてあるところ)をタップすると、セクター1~3それぞれのタイムに切り替えられるようになっている。

 「Lap time」のヘッダをタップすると、「Gap」(トップからの差)、「Int」(前走車との差)に切り替えることができる。

 下段の「TRACK STATUS」は、通常なら緑色だが、イエローフラッグで黄色になり、セーフティーカーのコースイン準備で「SCS」、コースインすると「SCD」と表示される。さらに、赤旗中断で赤色になる。

 また「Commentary」をタップすると、現地からの解説テキストが読める。

一番下までスクロールすると、ファステストラップ(Best Lap)が表示されているコース上の出来事をコメンタリーで読める
ラップタイムはトップからの差や前走車との差に、セクターは各セクターのタイムに切り替えられる。

サーキットの状況が分かる「トラックデータ」
 ライブタイミング画面では、画面下部のアイコンが変わる。一番左の「Timing」がライブタイミング画面、その右の「Track Data」はサーキットの現在の状態が分かるセクションだ。

 リアルタイムで「Track Temp」(路面温度)、「Air Temp」(気温)、「Wet|Dry」(路面がウェットか、ドライか)、「Wind Speed」(風速)、「Wind Source」(風向)、「Humidity」(湿度)、「Pressure」(気圧)が表示される。これらは数値だけではなくて、風向が図示されたり、グラフで時間を追った変化が表示されたりもする。

Track Data。気温などが表示される下にスクロールしていくと、風向がサーキットのコース図に図示されている
さらに下に行くと、風速、気圧、湿度、気温、路面温度、路面の乾き具合の変化をグラフで見ることができるさらに下には、各セクターでのドライバーのトップスピードが表示される

 「Track Data」の右、「Lap Chart」(ラップチャート)はその名のとおり、周回ごとの順位をグラフで表示したもの。レース中にリアルタイムで更新されていくが、レース終了後も表示されているから、レースの展開を後から振り返るのにも便利だ。

ラップチャート

 開幕直前に突然公開されたこのアプリ、すでに試されている方もいらっしゃると思う。ライブタイミングのアプリはすでに有料のものがいくつか出ていて、マシンのアイコンがコース上での位置をリアルタイムで教えてくれたり、高解像度画面でさらに高機能なiPad版があったりする。

 Formula1.com 2011はそこまでの機能はないが、無料でライブタイミングの醍醐味を十分に味わえる、オトクなアプリだ。ライブタイミング活用のポイントは、表示されている色の意味を覚えることにあるので、ぜひマスターしてF1観戦をより楽しいものにしていただきたい。

※価格やバージョンは執筆時のものです。
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(編集部:田中真一郎 )
2011年 4月 7日