オグたん式「F1の読み方」
やはり速いレッドブル
(2013/4/26 14:18)
飛行機による長距離移動の開幕4戦が終わった。先月書いたように、第1戦のオーストラリアGPと第2戦でのマレーシアGPでは雨がからんだ週末となり、それぞれの実力があまりよく見えなかった。だが、第3戦中国GP、第4戦のバーレーンGPを経たことで、やっと序盤での勢力図が垣間見えた。
レッドブルRB9は予選、決勝とも速さをはっきりと出してきている。RB9は先代のマシンから連綿と引き継いだ優れた空力性能を備えている。これを利用して、タイヤへの負担も比較的少なくなっている。金曜日のような路面状態が滑りやすいときには、フロントタイヤの内側のショルダー(接地面の端の角の部分)のゴムが傷む傾向もみられたが、路面状態が改善してくるとそれも収まっている。おかげで、決勝での展開もタイヤ供給メーカーのピレリが想定したものにほぼ近いものになっている。これは、優れたマシンとドライビングと戦略立案で、与えられたタイヤを最大限に使いこなしていると言える。ワンメイクタイヤで全チーム同じタイヤが供給される現状では、もっとも重要な要素を最高の水準で実現している。
序盤4戦の結果では、RB9は決勝レースを戦う中で最速、最強のマシンと言えるだろう。ベッテルはRB9の性能を充分に引き出している。一方、ウェバーには不遇が続いた。中国GPの予選では、燃料補給ポンプのトラブルで燃料搭載量が不足していたためにガス欠となり、グリッド最後尾スタートとなった。さらに決勝ではピットストップでリアタイヤのナットはしっかり絞められないままスタートさせられてしまった。
おかげで、ウェバーはコース脇にマシンを停めてリタイヤになってしまった。マレーシアGPのチームオーダー問題で、ウェバーとレッドブルチームとの間には微妙な隙間のようなものができてしまったはず。本来ならチームは中国GPで最善を尽くしてウェバーとの信頼回復を図りたかったはずだ。
だが、現実はその逆になってしまった。ウェバーもまたレース中の追い抜きで、無理なラインをとってヴェルニュと接触し、バーレーンGPでの3グリッド降格処分を受けてしまった。レッドブルとウェバーにはとてもわるい内容の序盤戦となってしまった。だが、チームにとってマシン開発により積極的で協力的なウェバーは欠かせない。双方の関係を修復し、互いによりよい結果を出すためにもスペインGPからのヨーロッパラウンドは重要なものになるだろう。
上手の手から水がこぼれたフェラーリ
レッドブルに匹敵する速さと強さを示したのがフェラーリF138だった。アロンソ、マッサともマシンの走りやすさを活かしている。とくにマッサの予選での走りは、思いきりのよいマッサ本来の速さも戻ってきている。
F138が決勝でも安定して速く、タイヤも上手く使えるマシンであることは、アロンソの中国GP優勝でも見えた。それだけにバーレーンGPでのアロンソの余計な2度のピットストップは大きな損失だった。リアウイングのフラップを動かすDRSシステムの中の作動機構の故障で、一度作動させるとフラップが上がりっぱなしになってしまった。これでアロンソは勝機を失った。それでも8位に入って4点を稼いだのは見事だった。フェラーリはこのDRSの問題を即座に調べた結果、上記のように動作機構の故障と判明し、その再発防止策を施すと言う。
興味深かったロータスとメルセデスAMG
ロータスE21とメルセデスAMG W04はとても興味深い展開をしてくれた。ともに4つのサスペンションを関連させた構造を採用していると言われている。
メルセデスAMGのW04は、その関連式サスペンションと思われる動きが見てとれた。バーレーンのコースでは、加速・減速の動きが激しくなるが、そこでW04はピッチング(車体の前後傾き)がとても小さかった。おかげで、車体の底と路面との間が常に一定間隔に保てて、そこの気流で発生するダウンフォース量も安定していたようだ。そうなれば、ドライバーはマシンを信頼して、より素早く強い加速ができ、より深く入ったところでより激しいブレーキングもできるようになる。ロスベルクの予選での圧倒的な速さにもうなずけた。半面、決勝ではこのサスペンションがタイヤをより消費してしまう傾向に働いたようで、まだ開発の余地がありそうだ。
E21もサスペンションを積極的に動かすマシンである。おかげで、決勝ではタイヤへの負担が少なく、タイヤの性能を上手く引き出すマシンになっている。このことは、バーレーンGPでのライコネンとグロジャンの2位、3位にも現れていた。とくにライコネンは2度のピットストップだけで走り切ってしまっていた。
ただE21はドライビングが難しいマシンようだ。サスペンションがよく動くために、車体の姿勢が変化しやすく、ダウンフォース量が変化しやすくなるはず。すると、ドライバーはマシンの性能が激しく変化することに戸惑ってしまいやすい。グロジャンは中国GPでもマシンの挙動を「ミステリアス」だとし、バーレーンGPではシャシーを変更した。だが、これはこのE21とドライビングスタイルによるものなのかもしれない。
一方、ライコネンは比較的うまくE21の性能を引き出している。おそらくライコネンは車体の姿勢をできる限り変えないようにドライビングしていると思われる。これは、ラリーやドリフトを経験したドライバーが得意とするところで、ライコネンの2年間のラリー経験が活かされているのではないだろうか。実際、ステアリングの切り方でも、最初に少しハンドルに舵角を与えて、その後さらにハンドルを切って行くやり方をして、急激に車体にロール(横傾き)を起こさせなくしている。加速、ブレーキングもとても丁寧だ。
こうしたマシンを上手く利用するドライビングは、1987年にロータスのアクティヴサスペンションを操縦していたときのセナにも共通すると思えた。当時のアクティヴサスペンションはドライビングによる操作入力とサスペンションの反応に遅れがあり、セナはブレーキをワンテンポ速く踏んで、それに反応したフロントサスペンションが踏ん張れるようになったところで本格的なブレーキを踏むなど、マシンの動きに合わせてドライビングを変えていたのだった。
こうしたドライビングとともにタイヤへの入力をマイルドにする特性は、タイヤの素早い発熱と性能発揮には不得意で、1987年のロータス99Tは予選でのワンアタックでの速さで課題ができてしまっていた。現代のロータスE21が予選でややふるわないのも、ロータス99Tに似た状況のように思えた。
ロータスにとって現在の最大課題は、テクニカルディレクターのジェームズ・アリソンの残留だろう。ロータスは財政的に楽ではない状態にある。一方、アリソンは契約更改の時期にきている。アリソンは経験豊富となり、F1マシン空力については現在エイドリアン・ニューウィーと並ぶ実力にまで成長している。他チームにとってアリソンはとても欲しい人材である。アリソンは、以前フェラーリにもエアロダイナミシスト(空力技術者)として在籍し、シューマッハーの黄金時代の一翼も担ったこともあった。今のフェラーリもアリソンを呼び戻したいところだろう。ロータスとしてはアリソンを引き留めたいところだが、その財源をどう確保するかも課題となっている。
フォースインディア、マクラーレン、ウィリアムズほか
フォースインディアは、バーレーンGPでディ・レスタが4位に入った。ディ・レスタのドライビングが優れていたことも確かだが、VJM06の素性のよさも見えた。とくにVJM06はタイヤの性能が上手く引き出せるマシンである。これで空力などほかの性能が上がれば、ディ・レスタもスーティルもトップ3が見えるはず。ライバルもアップデートをしてくるので表彰台獲得は決してたやすいことではないが、いずれにせよ希望が見える状況だ。
マクラーレン、ウィリアムズは課題が大きな状況だった。だが、両チームとも問題の要因は把握できていて、スペインGPからのアップデートで対策すると言う。ザウバーはやや時間がかかるとしながらも改善はできるとしている。
ケーターハムは、問題点を洗い出すためにコバライネンを呼び戻して、バーレーンGPの金曜日のP1で中国GP仕様のマシンで走らせていた。スペインGPではアップデート仕様もコバライネンにP1で走らせることで、その効果をはっきり見極めようとしている。これが上手く行けば、ふたたびマルシャやトロロッソとよい戦いができるようになるかもしれない。
課題が多かったチームでは、ピレリの今年のタイヤが苦戦の要因とする説も流れた。だが、レッドブルのところでも書いたように、ワンメイクタイヤで同じタイヤが供給される以上、それを使いこなせないマシンを作ったチームにこそ問題がある。タイヤだけを攻めるのは責任転嫁である。そしてF1マシンだけでなく、普通のクルマでも走行性能を高めるのにはタイヤの性能をどう引き出せる車体とサスペンションにするかが求められる。つまり、苦戦の責任をタイヤにだけ負わせるのは技術的にも本末転倒であり、マシンをつくるコンストラクターとしても格好わるいと言わざるを得ない。現に上位チームは同じタイヤを使いこなしているのだから。
マルシャは、この4戦で昨年よりもはるかに進歩したことが分かった。ビアンキのよさが目立っていたが、チルトンも経験を重ねることでその実力も伸びているように見える。
トロロッソはチームが想定したよりも成績が上がらなかった。不運なクラッシュもあった。若い2人のドライバーには、レッドブルの育成システムによってさらに次の世代のドライバーが上がってこようとしているのもプレッシャーになりそうだ。スペインGPからのアップデートでよりよいマシンとなって、存分にその才能が発揮できる状況になればと思う。
スペインGPからのヨーロッパラウンドは、序盤4戦での状況と対策を踏まえた大きなアップデートが多数でてくる。とくに金曜日(モナコは木曜日)のP1では色々と試してくるだろう。また、予選、決勝では勢力図に変化も出るかもしれない。5月のF1はとても興味深いものになるだろう。
インディカーでは佐藤琢磨が日本人初優勝
インディカーでは佐藤琢磨が第3戦ロングビーチGPで優勝した。これは佐藤にとってインディカー初優勝であるだけでなく、100年を超えるインディカーの歴史でも日本人の初優勝となった。また、伝説的ドライバーであるA.J.フォイトが率いるA.J.フォイト・エンタープライゼズチームにとっても2002年以来の勝利となった。第3戦でのレース展開については、すでに速報が出ているのでそちら(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130422_596881.html)をご参照いただきたい。
佐藤は開幕からよいパフォーマンスを見せていたが、第2戦まではコクピットで走行中に水分補給するドリンクシステムが故障し、ピットストップの際にドリンクボトルを受け渡さなければならず、これでピットストップ時間が長引いて順位を後退させる要因となっていた。
だが第3戦ではこの問題も解消され、マシンのセットアップも決まっていた。インディカーはシボレーとホンダのエンジン以外すべて共通なので、細かなセットアップを詰めきれたものが有利となる。そのため、優れたエンジニアを雇えるペンスキー、チップ・ガナッシ、アンドレッティといった裕福なチームが有利と見られる。ところが、A.J.フォイトチームもマシンのセットアップは今のところ上手くやっている。佐藤とのコミュニケーションも良好で、これは佐藤の今後の展開に有利に働きそうだ。
それでもインディカーで勝つのは難しい。クラッシュがあればセーフティカーが入ることで築いたリードがゼロになりやすい。燃料タンクは18.5ガロン(ほぼ70L)と小さく、複数回のピットストップが必須条件となる。このピットストップがレース走行中か、セーフティカー中でも明暗が分かれる。しかもいつセーフティカーが入るかは当然分からない。レース戦略は、絶えず変化していく展開に臨機応変に対応して実行することが求められる。順位変動が起こりやすいので、とにかく勝つことは難しい。さらに周回遅れに接触される恐れもある。それ故に、万難を排して優勝することはとても意義と価値があるものなのだ。
佐藤の初優勝はもちろん、今年のインディカーもなかなか見どころがいっぱいだ。開幕戦のセントピーターズバーグ(ストリートコース)ではジェームズ・ヒンチクリフが初優勝。第2戦のアラバマ(ロードコース)では昨年のチャンピオンのライアン・ハンター・レイが優勝した。この2戦で見えたのは、ツインターボのシボレーエンジンのほうがシングルターボのホンダエンジンよりも加速で優っていて、リスタートやコーナーからの立ち上がりで有利ということだ。
シボレーはツインターボにすることで、スロットル操作とパワーの出かたの関係であるスロットルレスポンスをよりよくし、ストリート、ロード、オーバルの全コースに対応しやすいオールラウンドなエンジンを目指して造ってきている。
一方ホンダは、インディ500での勝利を最大目標とし、最大出力で有利となるシングルターボにしている。半面、ロードやストリートではスロットルレスポンスがややわるくなってしまう。実際、開幕戦セントピーターズバーグでのリスタートでは、メインストレートでホンダエンジン勢の加速が鈍く、シボレーエンジン勢に遅れをとっていた。第3戦ロングビーチ(ストリート)でのリスタートで、順位を落とさずに着実にリードを拡げた佐藤のドライビングは見事だった。
第2戦のアラバマでは、シボレーエンジンのウィル・パワーがピットストップ回数を1回減らすことで順位を上げる戦略で5位になった。インディカーは、ドライバーがフュエルマップを選択できるようになっている。それはセーフティカー走行時のもっとも燃料が薄いものから、フルパワー走行で燃料がもっとも濃いものまで、4種類がある。アラバマでのウィル・パワーはこれを駆使して、できる限り燃費をよくする走行を行っていた。
実際、ウィル・パワーのレース中の燃費は3.8MPG(マイル・パー・ガロン)くらいだった。kmとリットルに換算すると1.6km/Lとなる。ところが、インディカーの燃料はE85というガソリン15%+エタノール85%というもの。エタノールはガソリンと比べて熱量が少ないので、同じ出力を出すにはガソリンよりも多くの量を必要とする。E85で1.6km/Lということは、ガソリン燃料では2.5㎞/Lくらいの数字となり、レーシングエンジンとしてはかなりよい燃費といえた。実際には3.8MPGを超えていたときもあったほどだった。
この高い燃費性能でも戦えたことは、戦略とレース展開として面白かっただけでなく、バイオエタノール系燃料、ターボによるダウンサインジング化という技術への「走る実験室」としても興味深いものとなっている。参考のために記すと、インディカーは昨年から排気量2200ccのV6ターボエンジンとなっている。これはアメリカでは小型車に搭載するような小さめのエンジンと言える。
これからオーバル戦も出てくることで、シボレー対ホンダエンジンの戦いもより興味深いものになる。5月26日には伝統のインディ500も開催される。昨年のインディ500で佐藤は2位を取り逃したが、その果敢なアタックで全米から人気を得た。今年、佐藤はインディに注目されるドライバーとして戻る。伝統のボーグ・ウォーナートロフィーにその顔と名前を刻む初の日本人ドライバーとなれるだろうか? その期待は大きい。だが、ただでさえ優勝が難しいインディカーレースの中でもインディ500はより難しいとされる。佐藤のチャレンジは要注目だ。
WECはアウディが先手をとる
WECは、シルバーストーンで第1戦が行われた(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130418_596463.html)。
昨年後半は、ガソリンエンジン+キャパシタ式ハイブリッドのトヨタのTS030が速く、ディーゼルターボエンジン+機械式ハイブリッドのアウディはディーゼルエンジンによるピットストップの少なさでじわじわと追い上げる展開だった。そのため、開幕戦では今年型のアウディR18 eトロン・クワトロがどれだけ速さでトヨタに迫れるかというのが世界的な注目事項だった。
ところがレースではアウディが速さでトヨタを凌駕し、速さによってピットストップ1回分のタイムを稼いで勝つというトヨタの戦略は序盤で崩されてしまった。だが、開幕戦でのトヨタのTS030は昨年型で、2013年型マシンは第2戦のから投入となる。この第2戦が本当の勝負となるだろう。
開幕戦では小林可夢偉もAFコルセからGTE Proクラスで初出走し、クラス2位となった。このクラスはフェラーリ、ポルシェ、アストン・マーティンが新車販売の宣伝もかけて、真っ向勝負を展開している。そのためライバルとは激戦となる。しかも、同時により遅いGTE Amクラスを抜き、はるかに速いLMPクラスをうまく抜かさせなければならない。このめまぐるしい状況に最初は戸惑ったという小林だったが、フェラーリの期待に応える結果を出した。これは小林のドライバーとしての経験やスキルという点でより幅が広がることにもなっただろう。
WECの第2戦スパ6時間は5月4日が決勝日となる。このレースがル・マン24時間の前の最後の実戦テストの場でもあり、アウディ vs. トヨタは初の2013年マシンでのバトルを展開するはず。トヨタには中嶋一貴もドライバーに戻る予定。中嶋は、タイヤ性能を長持ちさせながら極めて速いラップをコンスタントに出すことにおいてトヨタチーム内でトップであり、WECの中でもトップクラスとされている。中嶋の走りには注目だ。
フェラーリで走る小林の2戦目も楽しみなところ。また、井原慶子もこのスパ6時間からLMP2クラスでレースに復帰する。
国内レースも盛り上がる
4月は国内レースも面白い展開だった。SUPER GTは岡山で開幕。そこでホンダHSVが速さを見せた。今年がGT500車両規定最後の年にもかかわらず、ホンダはHSVを大幅に改修してきた。このホンダの技術者たちの努力によって速さが出たのだった。
こうなると第2戦富士(4月28日、29日)ががぜん面白くなってくる。GT500はレクサス、日産、ホンダがほぼ互角の状態で戦うことになるからだ。しかも、この富士はシリーズ唯一のハイスピード仕様のエアロとなり、そのディテールも興味深い。
GT300も白熱の接戦でさらに面白さを増しそうだ。GT500/GT300ともタイヤメーカー間の戦いがあり、これも変わりやすい富士の気候とあいまって、より勝負の展開をエキサイティングにしてくれるだろう。
スーパーフォーミュラも鈴鹿で開幕戦を迎えた。3月の鈴鹿と富士でのテストでは、今年から投入された新型タイヤが高いグリップ力と耐久性を示し、大部分のドライバーがラップレコードをたたき出していた。
また、富士のテストでは、ステアリングのラックギヤが増大したグリップ力による負荷に耐えられなくなり、クラック(ヒビ)が入った。このクラック発見の直後にテストは赤旗・中断され、その後原因究明が行われた。結果、前期型と後期型の2種類あるステアリングギヤのうち、前期型にトラブルが発生していたことが分かった。また、後期型も科学的に検査した結果、レースに耐えられることが分かり、全車後期型のステアリングギヤで開幕戦を迎えていた。
開幕戦の鈴鹿は、3月のテストのときよりも気温も路面温度も上がった。これで新型タイヤのグリップ力がやや下がり、ラップタイムもテスト時よりわずかに下がった。ステアリングギヤのトラブルはもちろん起きなかった。それでも、鈴鹿でのスーパーフォーミュラのマシンは、コーナリングスピードと横GでF1の下位チームのものを超えている。おかげで予選と決勝はより白熱したものになった。
なかでも小暮卓とナカジマレーシングの復活は、目を見張るものがあった。「2年間、サーキットにきても楽しくなかった」と、昨年までの苦戦を小暮は振り返った。だが、その表情は昨年までの生気が失せたものではなく、活気のある笑顔だった。
この小暮とナカジマレーシングの復活劇の戦略的側面をスーパーフォーミュラのWebサイト(http://www.superformula.net/sf/enjoy/2013/special/feature-r01.shtml)で詳細に紹介している。また各チームのエンジニアによる鈴鹿開幕戦への準備も紹介されていて、スーパーフォーミュラがいかに緻密で高度な戦いと戦略を行っているかも知ることができる(http://www.superformula.net/sf/apf/ap/NList02.dll/?No=NS017377)。
復活した「速い小暮」、昨年から速さと強さを増した伊沢拓也、最年長ドライバーで今季の王座奪還を目指す松田次生が開幕戦の表彰台に登った。このほか、ディフェンディングチャンピオンの中嶋一貴をはじめとした、全日本選手権にふさわしい優れたドライバーたちがスーパーフォーミュラには集まっている。高性能なマシンと、優れたドライバーたちによるバトル。スーパーフォーミュラはまさに「スーパーなフォーミュラ」だ。
5月はSUPER GTの韓国戦が中止となったことで、国内レースはややおとなしい月となった。しかし、海外では先述のようにF1は今後の勢力図を占うスペインGP、伝統のモナコGP、WECはル・マン前哨戦でトヨタ vs. アウディの2013年マシン初勝負となるスパ6時間がある。インディカーはサンパウロ(ストリート)のあと、伝統の第97回インディ500を迎える。5月は海外の重大なレースが盛りだくさんで、くつろいでテレビ観戦するにはもってこいの月となりそうだ。寝不足がやや心配だけど。