高画質のアドオン用バックカメラ
「T-7/B」
メーカー:ハンファ・ジャパン
価格:9800円

 

T-7のパッケージ。本国ではラインアップが6種類ほど用意されているようだけど、「UMAZONe」での取り扱いは今回紹介するブラックとクローム(T-7/C)の2種類

 前回、「お手軽&格安のバックカメラ」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/minigoods/20101001_395732.html)を紹介、装着した。画質面を中心にいろいろと不満がありつつも「まぁ、価格を考えれば十分かな。無いよりはマシだし」なんて思っていたのだけれど、これが同乗者にはすこぶる評判がわるい。

 「どこが映ってるの?」とか「(夜間に)まったく見えない」なんてあたりが定番で、「あってもなくても変わらないんじゃ?」なんて過激なセリフを吐く猛者まで現れる始末。

 不満が多かった点は以下のとおり。

・視野角が狭い
・夜間見づらい
・駐車ラインが邪魔
・根本的に画質がわるい

 そもそもが「値段なり」でしかなかったワケで、装着した本人はソレをよく分かっているのだけれど、関係ない同乗者にしてみればこうした感想になってしまうのも当然というもの。そこで、早くも(装着期間わずか2カ月)リプレースを決意したのだった。

 で、上に書いたような不満を解消するアイテムを、ってことで見つけたのがハンファ・ジャパンのWeb直販サイト「UMAZONe(うまぞん)」で販売されているリアビューカメラ「T-7」。同社は純粋なクルマ系の読者にはあまり馴染みがないかもしれないが、PC系の読者なら超小型PC「viliv」の発売元といえばピンとくるのではないだろうか。

 ちょっと話が逸れたけれど、この商品を選ぶ決め手となったのが、同サイトに書かれていた商品の特長だ。

・158度広角レンズ採用
・バックランプの光量でカラー撮影が可能な0.1lux低照度レンズ
・ピクセルプラスCMOS380TVL
・駐車ラインON/OFF対応
・映像上下反転対応
・防水・防塵設計

 「ピクセルプラス」が何を指すのかはちょっと分からなかったけど、スペックを見るに、使われているCMOSセンサーは1/4インチで解像度が380本。有効画素数は512×492ピクセルなので約25万画素、レンズはf1.8、最低被写体照度は0.1lux、S/N比が45dB以上というあたりからみても、画質は期待できそうだ。それ以外の3つの不満もおおむね解消できそうな感じだし、防水・防塵は当たり前としても映像上下反転対応も地味に嬉しい。前回ミスして装着後にカメラの上下を入れ替えるなんてことをしているだけに、その必要性がよく分かるのであった。まぁ、本来はカメラを装着する向きによって上下を入れ替えるためのものなのだろうが。

 届いたパッケージを開けてみると、中に入っているのはカメラ本体のほかハーネス類、ナット・ワッシャー・テープといった小物類のみで、説明書的なモノは入っていない。箱の裏面になにやら説明が書かれているものの、残念ながらハングル文字なので詳細は不明。

 もっとも、電気的に接続が必要となるのは電源と映像(コンポジット)の計4本だけ。同梱されるハーネスには、バックギア連動用コネクタも用意されているが、電源をバックランプから取る&カーナビ(テレビ)がバックギアに連動して自動的に切り替わるタイプなら接続は不要だ。汎用品の常でコネクター部分の付け替えが必要だったりはするものの、基本的にはテレビとビデオの接続ができればOKという程度の難易度であるため、どうしても説明書が必要という商品ではないのも事実。

 どちらかといえば内装を外したり、ハーネス類を室内に這わせる方が手間が掛かるし、難しい作業と言える。それでも取り付けに不安があるようなら「UMAZONe」に詳細なリポート(http://www.umazone.jp/Page/GOODSDETAIL-236)があるので、それを頼りにするとよいだろう。

カメラ本体には2.5mほどのハーネスが直付けされている。電源ハーネスとのコネクタ部は小型なので狭い場所にも配線しやすいカメラ本体部はコンパクトフラッシュより少し小さいぐらい。レンズ面は路面と平行している部分に取り付けるとちょうどよい角度になるようにスラントしている背面には取り付け用のネジ部が「生えて」いる。つまり取り付けには穴を開けることが必須となる
メインハーネス。左側の黄色コネクターが映像用。その下の黒色コネクターはバックギア連動用の12V出力だが今回は未使用。中央上の赤黒線が電源用だメインハーネスにあるループ状のワイヤー。緑色を切断すると駐車ラインを非表示に、白色を切断すれば映像を上下反転することができる
本体固定用のテープとワッシャーなども付属するちょっと工作して緑色のラインを延長。スイッチを付けて駐車ラインのON/OFFを可能にしてみた

 さて、いよいよ取り付け。詳細はハーネス類の接続は前回紹介しているし、内装の取り外しや装着場所はクルマによって異なるので今回は割愛。ただ、カメラ本体の装着に関してはちょっと特殊なので触れておこう。

 このアイテムの場合、よくある両面テープを使うのではなく、本体に直付けされているステー(というかネジ)を利用する。そのぶん、確実な固定ができるものの、ボディーにφ8.0mmのけっこう大きな穴を開ける必要がある。DIYでの作業やノーマルに戻せることなどを考えると、装着場所はガーニッシュなどできるだけ小さな樹脂&無塗装のパーツを選びたいところ。そういったパーツなら万が一、失敗しても被害が少ないし、最悪新品パーツを購入しても大した負担にはならないはず。穴開けそのものはドリルが必要となるものの、樹脂が相手ならハンドドリル程度でも十分に使えるし、取り外せる部分なら家の中での作業も可能だ。サイズは1mmぐらい大きくても問題ないので気楽にやれば大丈夫。

 また、前回もちょっと触れているが、保安基準の改正により2009年1月1日以降に新規登録したクルマの場合は、外装の突起物についての制限が追加されている。今回のような小型のバックカメラでも装着場所によっては適合しない場合があるので注意が必要だ。

左側が前回装着したバックカメラ。今回はナンバープレートランプ部に取り付けてみようと思う。というのも、カメラがクルマの中央からオフセットしていると見づらいのだ。ここならほぼ中央になるランプ部を取り外して穴開け。ちょっといびつなカタチに空いてしまったけれど、見えないところだし、ナットと本体でカバーされるからこの程度でもOK(だと思う)
穴を開けた部分にハーネスを通す。固定用両面テープやワッシャーなどを通す順番をよく確認しておかないと、長いハーネスと何度も格闘することになる仮付け。イイ感じではないでしょうかまだ仮付けだけど本来の位置に固定するとこんな感じに
この時点で電源を入れて映像をチェック。けっこう綺麗に映っていてひと安心駐車ラインのON/OFFスイッチはインパネの空きスペースにセット

 ということで、取り付けはサクッと終了。さっそくカーナビのモニターに映し出された映像をチェックしてみる。……う~ん美しい。「バックカメラはこうでなくちゃ!」と思わずほくそ笑んでしまうぐらい段違いにキレイな映像だ。前回、映像に満足できなかったのはコンポジット接続の影響かと思っていたのだけれど、どうやらカメラ&レンズ性能に問題があったようだ。

 少し詳しく見ていくと、まず感じられるのが解像度の高さ。スペック的には約25万画素と頼りない印象を受けてしまうけれど、ノイズが少ないこともあってかなり細かな部分までハッキリ見える。「後方の安全を確認する」ことが目的のバックカメラとしては十分すぎるほどだ。もう1つ、色乗りがよいのも特長。これなら道路と路肩など色が近いモノでも区別できる。レンズの画角も十分に広く、死角が多い後方の様子をしっかりと確認できるのも嬉しい。

 工作を加えた駐車ラインのON/OFF状態は電源ONの時に認識されるようで、リアルタイムで切り替えることはできなかった。要は一度パーキングから別のギアに変え、再度パーキングに入れればその状態を認識するってこと。残念ではあるけれどイレギュラーな使い方なので、オマケと考えればこの程度は仕方のないところ。

バンパー後端から広い範囲がキレイに映し出された。もう少し上側が表示されるとベストだけど、下側はこれでほぼ文句のない位置。つまり取り付け角度を変えるのではなく、現状(約1m)より上に装着すればもっとイイ感じになるハズ1.5Lのペットボトルを横に寝かせ、底をバンパー後端に合わせて置いた状態。バンパーにけられた部分以外はほとんど見える感じブローニーのフィルム(7×3cmぐらい)を置いてみた。かなり小さいモノでもしっかりと画面上で確認できるのが嬉しい
駐車ライン表示をONにした状態。カメラ位置が高さ約1mとなる今回の装着位置の場合、各ラインまでの距離は手前から約0.7m、1.2m、2m、3mだったまったく照明のない真っ暗な場所では、バンパーがかろうじて見える程度になってしまった照明がそれなりにある駐車場ではこんな感じ。駐車ラインや車止めがハッキリ見えるし、後方の黒いクルマも確認できる
照明がなくても近くに光を反射するモノがあれば、バックランプの光だけでも十分見える。しかもちゃんとカラーだ

 今回紹介した「T-7」は価格的には「格安」とまではいかないものの、1万円を切るプライスは十分に「安い」し、性能的にもけっこうハイレベル。取り付けに穴開け加工が必要となるためハードルがちょっと高いものの、前回のようにいろいろと注釈を付けなくても、バックカメラ未装着ユーザーにはオススメできるアイテムだ。

(安田 剛)
2010年 11月 5日

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