OBDIIで簡単配線、意外と便利なマルチモニター付きスロコン
「3-drive・X」
メーカー:ピボット
価格:2万9400円

 

ピボットの「3-drive・X」。OBDIIに接続するだけで配線OKのスロットルコントローラー

「スロコンって何?」
 筆者は主に自作パソコン誌で執筆をしているが、知り合いのCar Watch編集者から「『「スロコン』の記事を書いてみない?」と電話があった。二つ返事でOKしたものの、そもそも「スロコン」ってなんだっけ?と、とりあえず検索してしまった。

 筆者にとってクルマは趣味の1つであり、好んでMT車を運転しているぐらいのクルマ好きではあるが、運転は好きでもパーツの交換や取り付けなどにはあまり興味がない。と言うか、自分で作業するのがめんどう+壊してしまいそうで怖いということもあり、これまでアフターパーツにはあまり関心を示してこなかった。なので、スロコンに関しても、ほとんど知らなかったのである。

 スロコンというものを検索した結果、正式には「スロットルコントローラー」というもので、アクセルペダルの踏み込み量に対して、目的や好みに応じてアクセル開度(スロットル開度)を変更してくれる装置だと言う。ここ1、2年ぐらいで静かなブームとなっているようだ。

 最近のクルマはアクセルペダルの踏み込み量をワイヤーなどを使って機械的に伝えるのではなく、電気信号に変換してコンピュータ(ECU)に送る「電子制御スロットル(ドライブ・バイ・ワイヤー)」方式を採用しているものが多い。スロコンはこの電子制御部分に割り込みをかけ、アクセルペダルの踏み込み量として送られた信号を調整することで、アクセル開度を変更できるアイテムというわけだ。

 今回紹介するピボットの「3-drive・X」は、スロットルコントローラーとしての機能だけでなく、エンジン回転数や電圧、水温表示まで行える、複数のモニタリング機能を搭載した高機能モデル。アクセル開度のコントロールは、スポーツモードで7段階、エコモードで5段階の調整が可能となっている。


3-drive・Xのパッケージ 3-drive・X内容物一覧 OBDIIコネクターに接続するためのハーネス。これを通してエンジン回転数や水温、電圧の情報を受け取る
3-drive・Xのコントローラ兼表示部。コントローラにさまざまな情報が表示される 各機器を接続するための制御ユニット。ケーブルなどにも固定できるよう、タイラップ用の取り付け穴もある
別売りの車種別専用ハーネス。アクセルペダルのコネクターはメーカーや車種によって異なるので、専用ハーネスを使用する 各ユニットとケーブルを接続したところ

 とは言うものの、使ったことのない筆者からしたら、それがどんな効果をもたらすのかイマイチ想像しにくい。そもそも、「アクセルを通常時より踏み込んだり、緩めたりすれば同じような効果を出せるのではないのか?」という疑問もある。なんにしても、使ってみなければその効果は分からないので、早速取り付け作業に入ってみよう。

 取り付けで使用したクルマは、2006年式の「スズキ スイフトスポーツ」。コンパクトなハッチバックタイプで、搭載しているエンジンは直列4気筒 1.6リッターで最高出力は125PS。トランスミッションは5速MTだ。

取り付けはいたって簡単
 先にも述べたが、筆者はパーツの交換などはほとんどやったことがない。やったことがあると言えば、せいぜいカーオーディオやカップホルダーの取り付け程度。クルマの基幹にかかわるような部分のパーツは、故障や壊す可能性があるのが怖くて、自分では手を出さないようにしてきた。

 今回紹介しているスロットルコントローラーもアクセル開度を変更するという、クルマを制御する基幹部分をいじるものなので、当初は自分で作業するのが怖いと感じていた。しかし、説明書を見ると基本的にはコネクターを接続していくだけという簡単なものだったので、ここは1つチャレンジしてみることにした。

 実際の取り付けは、スイフトの場合、アクセルペダルの上部にあるコネクターを外し、車種別の専用ハーネスを接続。それとOBDII、いわゆる故障診断コネクターと呼ばれる各自動車メーカーでも共通の汎用コネクターに、本体付属のハーネスを接続。あとはコントロールユニットを好みの場所に取り付け、各ケーブルを制御ユニットに接続し、固定するだけのものだ。

運転席下側にあるアクセルペダルのコネクターと、OBDIIコネクターにハーネスを接続するのが主な作業となる まずはアクセルペダルの付け根辺りにあるコネクターに、車種別専用ハーネスを取り付ける 取り外したコネクター。逆挿しはできないようになっているので、向きを間違えて接続することはない。また、簡単に外れないよう、抜け防止用のノッチ(ツメ)も付いている
アクセル用ハーネスの取り付け完了。ケーブルは各ペダルに干渉しないように取り回しておこう 次にOBDIIコネクターの場所を確認。説明書には、メーカーごとのコネクター位置が掲載されているが、車種によっても異なるので注意。今回取り付ける2006年式のスイフトスポーツは、運転席左下にあった OBDIIハーネスを取り付け。スロットル用ハーネスと同様、こちらも逆挿しができないようになっているので、挿し間違える心配はない
制御ユニットにOBDII、スロットル、コントローラーのコネクターを接続する 制御ユニットを、適当な場所に固定する。今回はクラッチペダルの左側、センターコンソール奥にちょうどよいスペースがあったので、そこに両面テープで固定した。余ったケーブルは、タイラップなどでまとめてペダルや足に当たってジャマにならないようにする コントローラを固定する。今回は動画も撮影する都合上、メーターの前に設置したが、ジャマにならず、操作しやすい場所で、メーターの各種表示を遮らない場所に設置しよう。これで基本的な取り付けは終了
イグニッションキーをONにして、通電しているかを確認。その後、説明書の手順どおりに初期設定を行う 初期設定が終われば、すべての作業は終了だ。これでスロットルコントローラが使用可能になった

 取り付け後は、説明書に書かれている手順どおりに初期設定を行う。この作業も別段難しいことはなく、1、2分程度で終了。取り付けにかかった作業時間は15分あるかないかという程度で、取り付けにチャレンジなんて意気込んでいたものの、実際には拍子抜けするほど簡単なものだった。気を付ける部分と言えば、ケーブルが各ペダルに干渉しないよう配線することぐらいだ。

キビキビしたレスポンスが楽しいスポーツモード
 さて、取り付けが終了したので、動作確認を兼ねて早速ドライブ。まずは「ノーマル」設定で普段のドライビング感覚と変わりないかを確認。このクルマで6年弱、距離にして7万kmほど走っているだけに、当然ではあるが普段の感覚とまったく変わらないものであった。

 ひと通り走り回ったところで、「スポーツモード」に切り換えてみる。スポーツモードでは小さいペダル踏み込み量でアクセル開度を大きく変化させるというもの。その分燃費性能は悪化するが、加速性能やレスポンスが向上すると言う。

 まず、効果をはっきり確認できるようモードを最大の「SP7」に設定。そして、いつもの感覚で発進しようとしたら、クラッチミートの際にエンジン回転数が上がりすぎ、信号待ちの歩行者たちから白い目線をいただくことに。

 いや、でもこれはすごい。アクセルの開度を変更するとこんなに違いが出るものなのかと、その効果を実感。しかし、「SP7」ではレスポンスの向上はすごいが、街中を走るにはあまりにもアクセルペダルのコントロールが敏感になり過ぎる。そこでSP7以下のほかのモードも試してみたところ、自分が普段の走り方で「快適」と感じられるのは「SP3」辺りであった。

 スポーツモードで何より感動したのが、自分の感性に近いアクセルペダルの踏み込み量に調整できたことだ。これまで加速するときは、アクセルペダルをグッと踏み込んでいたのだが、その場合の踏み込み量はそれなりに深く、深い位置でコントロールを続けることは難しいと気付いた。

 3-drive・Xではアクセル開度も表示でき、ノーマルモードではアクセルペダルの踏み込み量と、アクセル開度がリニアな関係になっている。アクセルペダルを50%踏み込めば、アクセル開度も50%という具合。

 自分の感性とマッチするスポーツモード(SP3)では、ペダルの踏み込み量を小さくでき、まず「アクセル操作がラク」なのだ。また、小さい踏み込み量でペダルをコントロールできるので、キビキビしたアクセルコントロールができるようになる。

 あまりモードを上げると、今度はレスポンスがシビアになり過ぎて逆に疲れるが、これはこれでサーキット走行時などでは威力を発揮するだろう。公道を走る場合には、モードを下げてやれば、ノーマルよりも圧倒的に運転がラクに、しかも楽しくなる。


3-drive・X ノーマル



3-drive・X SP7時の発進加速。回転数の上がり方が速くなっているのが分かるだろうか? これでも、ノーマル時よりもアクセルペダルの踏み込み量は少なくしている

まったり走れるエコモード
 次はエコモードを試してみる。エコモードはスポーツモードとは逆に、アクセルペダルの踏み込み量に対してアクセル開度を小さくすることで、燃料噴射量を抑え、燃費性能を向上させるというモードだ。また、ペダルを目いっぱい(100%)踏み込んでも、アクセル開度を80%に抑えるように設定されている。

ノーマル時50%のペダル踏み込み量のアクセル開度表示。踏み込み量と等しい数字が示される。アクセル開度は5%刻みで表示され、左側にアクセル開度表示を示す「A」の文字が付く。なお、15%未満は表示されない ノーマル時50%のペダル踏み込み量では、SP7ではアクセル開度85%となる 同じくノーマル時50%のペダル踏み込み量では、EC5ではアクセル開度30%となる

 こちらもスポーツモード同様、効果をハッキリ体感できるよう最大の「EC5」に設定した。そして、ノーマルと同様の感覚で発進しようとしたところ、今度は何とエンストしてしまい、信号待ちの歩行者から嘲笑を受けてしまった(ような気がした)。

 エコモード時のスロットルの反応は、かなり「鈍い」。とくにEC5ではそれが顕著に表われるので、エンストしないようにするにはペダルの踏み込み量を多くするか、半クラッチの時間を長めにしないとならないのが難点。街中で利用するのならEC2辺りが快適だった。

 おもしろいのが、エコモードで運転していると「スピードを出す気がなくなる」ことだ。筆者は普段からスピードを出し過ぎるような運転はしていないつもりだが、それでも流れを阻害しない程度には出すし、流れよりも遅く走っているクルマがいれば、片側2車線以上ある道路であれば追い越すこともある。

 ところが、エコモードにして運転していると、ゆっくり走っているクルマの後ろに付いていても、「追い越そう」という気がなくなってしまうのだ。アクセルレスポンスが鈍くなっているからなのか、それとも気分的なものなのかは分からないが、のんびり走りたいときにはエコモードのほうが気持ちよく走れる。自分だけなのかもしれないが、エコモードに切り換えると自分の気持ちも一緒に切り換わっているようで、ちょっとおもしろい。


3-drive・X EC5の発進加速。相当ダルイ加速になっている。SP7時とは反対に、こちらはアクセルペダルの踏み込み量をかなり多くしていてこの加速である

 燃費に関してだが、完全ではないものの各モード(ノーマル、SP7、EC5)で、それぞれ約100kmずつ走って計算してみた。なるべく条件が同じになるよう、走行ルートは一定、同じガソリンスタンドの同じ給油機を使って給油し、計算している。

 その結果、ノーマルでは12.8km/L、SP7では12.7km/L、EC5では12.5km/Lだった。走行距離100kmでは、ほとんど誤差の範囲かもしれない。もっと長い距離を何回も走らないと何とも言えないが、EC5がもっとも低くなってしまっているのは、街中ではアクセルを大きく開けている時間が長くなってしまい、かえって燃料消費量が多くなってしまったからだと思われる。

実用度の高い水温・電圧表示
 3-drive・Xは、スロットルコントローラーとしての機能のほか、エンジン回転数、水温、電圧を表示できる、マルチモニター機能もウリだ。とくに水温計は目盛りさえないアナログメーターで、熱くなってきている、冷えている程度の情報しか分からない。それを3-drive・Xでは、実際の温度としてデジタル表示してくれる。

水温表示モード。1度単位で表示でき、右側には水温表示であることを示す「c」が表示される 回転数は100rpm単位で表示。右側には回転数を示す「r」が表示される 電圧表示モード。0.1V単位で表示できる。電圧表示モードでは、モードを示すアルファベットはない

 エンジン回転数表示も、視線の移動が小さい場所に3-drive・Xを配置すれば、サーキット走行を行うようなユーザーは水温表示ともども重宝するだろう。


3-drive・X 回転数表示の追従具合。ほぼアナログのタコメーターと同じ表示だが、回転数が下がるときは、やや遅れて追従する感じだ

 電圧も普段は何Vなのかなんて、ほとんど気にしていないが、いざバッテリーが上がってしまうと困ってしまう。それを防ぐにはボンネットを開け、テスターを使って普段からバッテリーをチェックすることが重要だが、それはとてもめんどうだ。しかし、3-drive・Xであれば車内から簡単にチェックできるので楽々。このようにモニター機能も十分実用的と言える。

目からウロコの快適性を手軽に実現
 これまでノーマルの状態で、しかもそれなりの年月を乗ってきた現在の愛車であるが、乗り換えた当時は、それまで乗ってきたクルマとの違和感があったものだ。もちろん、長年乗ってきたクルマから、まったく違うクルマに乗り換えるわけだから、性能や操作性の違いなどから違和感が出てくるのは当然だ。

 筆者の場合は200PSのスポーティーカーから125PSのコンパクトカーへの乗り換えだったため、その違和感はかなり大きいものだった。とくに、自分のアクセル操作に対して「ワンテンポ遅れる」感覚が大きかったのを覚えている。しかし、年月を経ると最初は気になっていた「レスポンスのズレ」も「これが当たり前」と、自分でも気付かないうちに修正してしまい、いつしか気にすることもなくなっていた。それが慣れと言うものなのだろう。

 もちろん、ノーマルの味付けは、コントロール性、加速性能、燃費性能などを総合的に考えたもので、それはそれで大変よくできているものだと思う。

 ところが、今回スロコンを導入したところ、「このクルマはこういうもの」という既成概念を、よい意味で覆してくれた。「別にスロコンなんてなくても、加速したいなら単にアクセルペダルを踏み込めばよいのでは?」と、導入前には疑問に思っていたが、これまでと同じペダル踏み込み量でも「ワンテンポ遅れないレスポンス」や「自分のイメージに近い加速」「レスポンスが鈍くなるがよい燃費(筆者の場合は悪化したが)」など、好みや用途で使い分けられるアクセル開度調整は目からウロコの新鮮な感覚である。

 導入するにはOBDIIコネクターと車種別専用コネクターでつなぐだけ。それだけで、ドライブが楽しくなること請け合いだ。なお、スロットルコントローラーという特性上、車種に対応していることが必要だ。対応車表については、ピボットのWebサイトに掲載されているので、気になった方は、最初に対応車表を確認していただきたい。

対応車表(PDF)
http://pivotjp.com/product/3dx/img/3DX_list.pdf


(目黒廣道)
2012年 4月 20日

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