省電力で明るいLED室内灯
ルームランプをバルク品のLEDに交換
メーカー:不詳(秋月電子で購入)
価格:各800円

 

 家庭の電灯ではLEDがブームから定番になろうとしているが、クルマの世界でもLED化の動きは進んでいる。最も手軽にLED化でき、実用性があるのは室内灯だ。そこで、交換するだけですむ後付けのLED電球を試してみた。

秋葉原の秋月電子で購入したLEDランプ。バルク品でビニール袋に入っているだけの簡素なパッケージ今回交換する元の電球。5Wのウェッジタイプ

同型タイプへの交換が基本だが、事前にランプの構造を確認する
 今回用意したのは、秋葉原の秋月電子通商で販売されているLEDルームランプ。カー用品店の同等品よりも安価だった。

 購入の前には必ず電球のタイプを確認するのが基本だが、LED化するにあたってはそれだけでは不十分。LEDと電球では、光る場所や光線の向きが異なるため、どういった仕組みで照らしているかまで確認する必要がある。

 まず、電球のタイプだが、室内灯に使われている電球のタイプは大きくわけて3タイプ。ウェッジタイプ、口金タイプ、両口金タイプの3タイプ。さらにそれぞれにサイズが複数あるため、説明書に記載してある電球の規格をメモするだけでなく、電球を取り外して現物を持参して購入するのが、簡単で確実だ。

 次に室内灯の構造を確認する。電球はガラスの中にある電線が光を発するため、360度あらゆる方向に光を放つ。それに対してLEDには全方位に光を照射するものはなく、光の向きが決まっているため、ある方向しか光を発しないLEDランプを購入した場合、電灯としての意味をなさないことがある。

 最初に購入したLEDランプは超高輝度LEDを5灯搭載し、水平方向に90度ずつ4灯と垂直方向に1灯を配置するタイプ。価格は1個800円。装着は簡単でただ差し替えるだけ。注意する点としては、LEDは電気の極性があるので点灯しなければ反対向きに装着してみること。点灯しないといって慌てないようにしよう。

 なお、元の電球の配光になるべく近づけたタイプだったのだが、後述のとおりクルマに完全に適しているとは言い難かった。

実際に装着を試したクルマの室内灯。反射板がなく、電球の一方向の光だけを使っている。LEDに交換した場合、後ろ向きのチップの光が無駄になっている
カメラの露出とカラーバランスを固定して撮影した電球とLEDランプの差。人間の目である程度補正されるのでここまで極端ではないものの、肉眼で見ても白くはっきりした明かりに激変した

電球形状よりも板状のLEDランプなどが適する場合も
 筆者のクルマのルームランプは、電球の横方向への光が車内を照らす構造となっていた。反射板もないため、購入したLEDランプに5個配置されたLEDのうち、照射が無駄になっているLEDもある。

 幸いにして光量の点では問題がなかったが、LEDの光がもったいないので、別の形状のLEDランプを検討してみた。再び秋月電子で購入したのは、12個のLEDが基板に配置された製品。基板からリード線が出ていて、ソケットに刺す口金につながるようになっている。こちらも1個800円。これなら1方向だけを集中して照らすことができる。

 今回購入した製品は、主要タイプの口金がすべて同梱されているので、基板を貼る場所さえあれば、ほとんどのルームランプに装着できる。最初からこのタイプを購入したほうがよかったわけで、事前にランプの構造を確認しておけば、このようなムダが省けたわけだ。

次に購入した板状のLEDランプ。口金が5種類入っている。両口金は主要3サイズが入っており、ほとんどの形状に適合する。装着用に板の後ろに両面テープがついている
クルマに適合する口金に接続したところ。車種によっては絶縁のためにしっかりと固定が必要だ一見ランプの中に光ムラがあるように見えるが、下向きだけ無駄なく照射しており、光量は大きい
元の電球で照射したクルマの室内最初に購入した電球形状のLEDランプではこのくらいの明るさ次に購入した板状のLEDランプ。圧倒的な光量だ

バッテリー上がりの心配が減ることも
 遠回りをしてしまったLED化であるが、電球に比べて白っぽいすっきりとした光は、ドレスアップのほかにも効果がある。

 LEDランプにもよるが、家庭用のLED電球と同じで、電球に比べて圧倒的に電力消費量が減る。エンジンがかかっていないときの利用が多い室内灯だけに、バッテリー上がりの不安がなくなるのはありがたい。また、長時間点灯させたいがために、エンジンをかけて室内灯を点けておく、ということも減らすことができよう。

 実際に測定すると、5Wの電球の場合、13.8Vをかけた状態で380mAの電流が流れるが、最初に購入したLEDランプでは95mA、板状になった12個のLEDライトでは81mAだった。板状になったLEDライトを使い、およそ5分の1程度まで消費電流が減るとなれば、室内灯のつけっぱなしによるバッテリー上がりの恐れはだいぶなくなると思われる。

実用面でもおすすめだが、室内灯以外は注意が必要
 ドレスアップ面が強調されがちなLEDだが、省電力という実用性の点を見てもメリットは大きい。LEDの種類を選べば、省電力にしつつ光量を増やせ、より純白の光になることもある。まずは試してみる価値のあるカー用品と言えよう。

 なお、室内灯だけでなく、スモールランプやテールランプ、ターンシグナルランプへの応用も可能だが、反射板の角度によっては輝度不足になってしまうことや、信頼性の問題、さらに輝度や色あいが変わってしまうと法規に触れることになりかねないため、専門家と相談して導入する必要がある。

 特にターンシグナルランプは、消費電流の低いLEDでは球切れと判断されて点滅速度が早くなってしまうなど、問題が起こりやすい。ヘッドライトバルブに隣接したスモールライトでは、熱によってLEDが破壊されてしまう問題もある。

 LED化は、問題が起こりにくい室内灯からの装着がおすすめだ。

(正田拓也)
2010年 4月 9日