格安ドライブレコーダーでドライブの新たな楽しみ KEIYO「ドライブレコーダー AN-R001」 |
メーカー:慶洋エンジニアリング 価格:オープンプライス(購入価格:1万円) |
KEIYO「ドライブレコーダー AN-R001」。2GBのmicroSDカードのほか、装着用の備品が付属する |
クルマの走行状況を常に記録できるドライブレコーダー。万が一事故などがあった場合にその状況を記録し、場合によっては証拠として使われることもある。
登場した当初は、急ブレーキや追突などの衝撃を感知すると記録を止め、その前後数十秒間の映像を記録している、といったものだった。記録時間が短い上に、衝撃を感知するセンサーなども入っているため価格も高価で、主にタクシーや運送業者など、業務用のクルマを中心に普及した。
しかし、ここ数年で大容量の記録メディアの値段が下がったことで、大容量のメディアに過去数時間分の映像を記録し続けるシンプルなタイプのドライブレコーダーが登場した。今回購入したKEIYO「ドライブレコーダー AN-R001」もそうした常時録画タイプ。衝撃によって録画を自動停止したりはしないが、その分価格は手ごろで、実売1万円程度で手に入る。付属の2GBのmicroSDカードに過去1~2時間分の映像を記録することができ、市販の16GBのmicroSDカードを使えば、最大過去16時間分の記録ができる。ここまで撮れると、もはや事故の記録という消極的な目的より、ドライブそのものの記録として積極的に楽しむことができそう。ただし記録されるの映像だけで音声は記録されないのであしからず。
実はこのAN-R001だが、今年の頭からAN-R005に型番が変更になっていて、現在は在庫の001と新規の005が両方売られている状態。メーカーに問い合わせたところ、仕様は特に変わっていないとのことなので、どちらを選んでもよいだろう。
本体サイズは125.3×34.6×59.5mm(幅×奥行き×高さ)。GPS内蔵のドライブレコーダーでももう少し小さいことを考えると、ちょっと大きすぎる気はする。ルームミラーの後ろに隠れるサイズなので、実質的には問題ないのだが、このエリアは他にもETCのアンテナや車検シールなど、意外と場所の取り合いになるところなので、できればもう少し小型化して欲しかった。
配線はシガーソケット電源を繋ぐのみ。後は両面テープで本体をガラス面に貼り付け、カメラの角度を調整するだけなので、装着はカンタン。ただし電源の配線をキレイに隠そうと思うと、ピラーなどのトリムを外す作業が必要になる。
装着の際に気を付けなければいけないのは、その位置。フロントガラスの場合、保安基準の問題で、ガラス面の全体の高さ(フチの塗装部分は除く)の上から20%の範囲に貼らなくてはいけない。しかもやっかいなことに、microSDのスロットが本体の上面についているので、あまり上に付けすぎるとmicroSDカードの抜き差しができなくなってしまう。また、雨天時のことを考慮するとワイパーの払拭エリアで、かつできるだけセンターにレンズが来るようにしたい。
ということで筆者が選んだのは写真の位置。ずいぶん下に見えるが、丁度ルームミラーの後ろに隠れるので、運転視界的には問題ない。ただし、パワーランプや録画ランプも隠れてしまうので、のぞき込まないと動いているか分からない。だが、筆者は視界内に無駄に光るものを置きたくない主義なので、この位置を選んだ。
ETCのアンテナなど、意外とこの位置のせめぎ合いは激しい。筆者はミラー裏側に位置する場所へ装着した | 筆者のクルマではフロントガラスの縦の長さが約580mm。ということで上から116mm以内に貼り付ければよい | ご覧のようにミラーの背面に隠れるので、運転視界を妨げることはない |
■取り付け方法
なお、本体にはAV出力とUSB端子が付いている。AV端子に付属のケーブルを繋いで、カーナビなどの外部入力に接続すれば、カメラで記録している映像をリアルタイムに表示したり、過去に記録したデータを再生したりできる。また、時刻の設定やフレームレート、記録時間の単位などもこの外部モニターを使って行う。逆に言えば外部のモニターがないとこうした細かい設定ができない。
筆者は適当なモニターがなかったため、以前カーグッズレビューでお伝えした、AC100VからDC12Vを作れる直流安定化電源を編集部から拝借し、自宅でドライブレコーダーを起動し、テレビにAV端子を繋いで設定した。
パソコンを持っていない人でも、モニターさえ繋げば本体のみで再生できるという点は評価できるが、パソコンは持っていてもカーナビの外部入力がない筆者のようなタイプにとっては面倒な仕様だ。といっても、工場出荷時には時計も合わせられており、各設定もデフォルトのままで使えば問題ない設定となっているので、モニターがなければそこまで意地になって設定を行う必要はないだろう。
また、USB端子にパソコンを繋げば、microSDを本体から抜くことなくUSBケーブル経由で映像データをパソコンに取り込むことができる。microSDは小さくて、うっかり車内で落とすと紛失しそうなので、ノートパソコンがある人はこのほうが安全かもしれない。
前置きが長くなったがいよいよ撮影。特に難しい操作はなく、エンジンを掛けてシガーソケットから電源が供給されると、自動的に録画が始まる。連続して10分(設定で15分にも変更可能)記録すると別のファイルを作り新たに10分記録する。また、10分未満で電源が切れた場合は、そこまでが1つのファイルとなり、再始動時には新たなファイルに記録される。記録を続けてメモリーカードがいっぱいになると、一番古くに記録されたファイルから消去されていくという仕組み。メモリーカードの容量を増やせばそれだけ多くの時間を記録できるわけだ。
記録できる時間の目安は、付属の2GBの場合で、デフォルトの14フレーム/秒で1時間、半分の7フレーム/秒で2時間。画像サイズは640×480ピクセルでファイル形式はAVIとなっている。
実際に記録した映像を見てみると、筆者のクルマがクーペタイプでガラスが傾斜していることもあるが、左右のフェンダーをAピラーの付け根近くまで見ることができた。水平画角は97度とのことだが、これならば前方の事故についてはほぼカバーすることができそうだ。さらに垂直画角は77度でダッシュボードの先端が見える。この位置に外付けのスピードメーターなどを置けば、また違った遊び方もできそうである。
画質はあまりよくなく、事故の際の証拠としてはやや力不足というレベル。先行車両のナンバーは条件がよければ読み取れる程度で、夜間などでは車種やボディーカラーは分かってもナンバーの特定は難しそうだ。といっても信号機の色などはハッキリと識別でき、どちらの信号が赤だったか、とか、ウィンカーを出していたか、といった証拠には十分使えそうだ。LEDタイプの信号機も点滅して見えるが何色が光っているかは分かる。
●動画(昼):信号待ちで前のクルマに近づくと、ナンバーの下4桁はなんとか確認できる程度
●動画(夜 その1):ガソリンスタンドなどが並ぶ大きな通りでは、夜間でも十分周囲の状況が分かる
●動画(夜 その2):街灯程度しか明かりのない場所だと、ヘッドライトの明かりだけが頼りといった印象
という具合で、事故の際の証拠として使うことを考えると、やはり安いなりの部分を感じないこともないが、実際に使ってみると、ドライブ好きの筆者にとっては走った道をモニターでじっくり見ていること自体が、意外と楽しいと思えてくる。
ドライブレコーダーが事故の証拠として活躍する機会というのは、そうそうあるものでもないし、できればないほうがよい。その点、ドライブスポットの記録、たとえばこれからのシーズンなら桜並木のスポットなどの映像を記録するといった使い方なら、普段から楽しむことができるし、1万円程度なら十分元を取れると思う。さらにこの値段なら、もう一つ後方用に買ってもよいかもしれない。実際に筆者が経験したことのある事故は追突だし、万が一覆面パトカーに追尾されたときには、その様子を見て反省もできそうだ(苦笑)。
(瀬戸 学)
2011年 2月 4日