ランドローバーにまつわる2つの噂

レンジローバー・イヴォーク

 今回の「ワールドレポート」は、英国ランドローバー社に関する噂話を2つほどお話しさせていただくことにしたい。

 今年春から日本市場にも正式導入された「レンジローバー・イヴォーク」は、早くも大ヒットの兆しを見せ始めているが、ランドローバーはその勢いを保ったまま、今度は次期「レンジローバー・ヴォーグ」の開発を最終段階に移行させたという。

 現行型レンジローバー・ヴォーグは、旧ローバーがBMWグループ傘下にあった時代に開発され、2002年にデビューした車。つまり今年で10年目を迎えることから、次期モデルの登場はもはや時間の問題とも見られている。

 「L405」のコードナンバーが与えられた次期ヴォーグでは、現行型の堂々たるボディサイズが、ほぼそのまま踏襲される可能性が高いと言われる。しかし、そこはエコロジー時代の最新モデルである。同じインドのタタグループを親会社とし、共同歩調をとっているジャガーから導入された、アルミニウム素材のモノコック技術を大胆に駆使して、車両重量約2.6tの現行型比で、実に400~500㎏にも及ぶ軽量化を目指しているとされる。

 一方、搭載されるパワーユニットについては、現時点では不透明なのが実情。リーマンショック以前にはアストン・マーティン系の6リッターV型12気筒を最上級モデルに搭載する? という情報もあったのだが、燃料消費量やCO2排出量の低下が金科玉条となっている昨今では、その線は事実上なくなったと見るべきだろう。

 現実的なところでは、ジャガー「XF」シリーズや「XJ」シリーズ、さらには次期新型スポーツカー「Fタイプ」にも搭載される3リッター直噴V型6気筒スーパーチャージャーの新型ユニットが、次期ヴォーグの基幹ユニットにコンバートされる可能性が高いと思われる。

 また上級バージョンには、現行型ヴォーグおよび「レンジローバー・スポーツ」にも搭載されている5リッター直噴V型8気筒(自然吸気&スーパーチャージャー)が踏襲されるほか、ベーシック版にはイヴォークと共用となる直列4気筒2リッターの直噴ターボエンジン「si4」の搭載もあり得るのでは? という観測もされているようなのだ。

 さらにヨーロッパ市場ではディーゼル版も当然のごとく用意されるであろうことから、恐らく今年中には全体像が見えてくる次期レンジローバー・ヴォーグのエンジン・ラインナップは、実にバラエティ豊富なものとなるようである。

DC100コンセプト(右)とディフェンダー

 さて、ランドローバーに関するもう1つのスクープ情報は「DC100コンセプト」について。昨年秋のフランクフルト・ショーにてデザイン習作をデビューさせて以来、今年の北米ショーなどでもバリエーションを想定した新コンセプトを積極的に提案してきたこのコンセプトカーに関する、注目すべき観測が浮上しているようだ。

 英国で最高の権威を誇る自動車専門誌AUTOCARなどの情報によると、DC100コンセプトから生まれる生産モデルは、2015年頃の発売を目指しているとされるが、当初考えられていたような、旧きよき「ディフェンダー」の後継車ではなく、現行の「フリーランダー」の下位に当たる、ランドローバーのエントリーモデルとして生産化される見込みが出てきているというのだ。

 このスモールSUVカテゴリーでは、「ミニ・カントリーマン(日本名ミニ・クロスオーバー)」や日産「ジューク」など、個性的なスタイルとコンセプトを持つモデルが既に高い人気を得ているが、ディフェンダーを意識したレトロモダンなスタイルは、たしかに市場での訴求力も期待される。

 しかしその一方で、ディフェンダー生来のヘビーデューティ性を熱望する純粋主義的ランドローバー・ファンが期待するようなモデルが別に登場するのか否かは、現時点では不明と言わざるを得ないだろう。

 次期レンジローバー・ヴォーグ、そしてDC100コンセプトの行く末ともに、今後の追加情報を待ちたいところである。

ワールドリポート バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/wr/


(武田公実 )
2012年 6月 13日