F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第2回:バーレーンGP

2022年のF1が開幕!

 F1開幕しました!

 角田選手、今回は土曜日のFP3でハイドロの問題が出てしまって、コースに出ることなくセッションが終了してしまい、予選への準備がままならず、予選は16位スタートとなってしまいました。

 ガスリー選手のヘルメットは、ウクライナカラーで、その頭頂部には反戦へのメッセージが書かれています。アピールすることは、思っていること以上に大変なことです。

 みなさんご存知だと思いますが、ホンダが2021年でF1から去りました。

 とは言っても、レッドブルとアルファタウリの2チーム、4台のマシンは、日本のHRD Sakuraで開発し、製造したPUが搭載されています。チームウエアにはHONDAのロゴも残っていますし、車体にもHRCのロゴもあります。昨年から引き続き、ホンダのスタッフもパドック、ガレージにはいます。

 やめたとは言え、HONDAは今年もF1に存在しています。

 まあ、微妙な感じなんですよね、表立ってはいないんですけど、走っているわけです。

 元ホンダの山本さん。レッドブルのアドバイザーとして、今回ガレージでその姿を拝見いたしました。ユニフォームがレッドブル。

「いや~。やっぱりF1はいいね!」という言葉が今回も聞けました。

 山本さんと、ホンダの本橋さん。本橋さんは、現場のまとめ役になりました。

 フェルスタッペン選手。ゼッケン1です。

 今年から、車体など大幅なレギュレーションの変更があって形が変わりました。予選タイムで、1.5秒くらい遅くなりました。低速と中速コーナーで遅くなっているようです。

 この写真はヘアピンへのアプローチなんですが、確かに少し遅く感じます。昨年までの、キレというかクイックな動きが見られなくなってしまいました。

 まあ、慣れの問題ですから大きな問題ではありません。

 メルセデスは、銀色になりました。DRSが開くとこんな感じになります。

フェラーリが、昔を思い出すカラーリングになってかっこいいです。でも艶消しなんですよね……。

 そして、予選でポールを獲得しました。速いフェラーリです。フェラーリが速いと、雰囲気もいいし、全体が盛り上がりますよね。

 懐かしい感じ。ブリアトーレさんとベルガーさん。

 今回はF2の開幕戦でもあります。岩佐選手がF2にステップアップ。

 調子よかったんですが、なんと予選のアウトラップでスピンしてしまって、タイム無し……。もったいない。

 レース1もレース2も最下位からのスタートになってしまいました。しかし、土曜日のレースで怒涛の追い上げで22位から8位入賞。1ポイント獲得!

 この写真は、日曜日のレース2でこれまた怒涛の追い上げで7位まで順位を上げていて、終盤セイフティーカーが入ったところで突然のエンジントラブル……。リタイアとなってしまって「悔しい!」という表情の岩佐選手。エンジントラブルがなければ5位になれたレースだったので、悔しさ倍増の表情です。

 速さはアピールできたので、今後が楽しみです。

 F2、もう1人の日本人ドライバーの佐藤選手。3年目の今年は、ヴィルトゥオーシレーシングからエントリー。昨年までより、チーム力が格段に上のマシンなので、乗っていて楽しいと佐藤選手談。

 残念ながら、今回はノーポイントに終わってしまいました。

 予選とスタートをうまくまとめられれば、上位で入賞も可能な体制を得た今年は勝負のシーズンです。

 同じくF2の、ドゥーハン選手。

 僕が若い頃、オートバイの世界選手権に行っていた頃、そうね……30年くらい前……。お父さんのミック・ドゥーハン選手が、ロスマンズカラーのホンダ NSR500で戦っていました。5年連続チャンピオンを獲得したレジェンドです。

 上の写真の目元とか、そっくりです。ヘルメットのカラーリングも、お父さんと似ています。

 佐藤選手とチームメイトで、今回ポールポジションも獲得しています。この人も、今年どんなレースを見せてくれるのか楽しみです!

 フェルスタッペン選手は予選2番手。

 日曜日、レース直前のガレージの様子。フェルスタッペン選手の表情は明るい。笑顔がたくさん見られました。

 去年は、こんな感じじゃなかったですね、やっぱりチャンピオンを獲って雰囲気がチーム全体にいいということなんでしょう。

 グリッドで、マルコさんからのお言葉を聞く角田選手。

 今年のアルファタウリは白い部分が多くなりましたね。結果は8位入賞。4ポイント獲得。ホンダPU勢で唯一の完走。

 レース前半のトップ争い。フェルスタッペン選手vsルクレール選手。

 フェルスタッペン選手はここでタイヤを傷めてしまい、少し後退してしまいました。そして、終盤に燃料系のトラブルでリタイアに。

 このトラブルは、ホンダが関係していないものです。

 ペレス選手も同様のトラブルが原因でリタイアとなってしまいまして、レッドブルはノーポイントとなりました。まさかまさかの展開でしたね。

  スタート!

 今回はメルセデスが下がってしまったので、フェラーリvsレッドブルという感じでしたけど、メルセデスが復調してくれば3チームのトップ争いが繰り広げられるシーズンになるかもしれませんね。

 やっぱり、誰が勝つか分からないというレースがいいですよね!

 最下位にマクラーレンという展開は、予想できなかったです。

 優勝は、ポールからスタートした、ルクレール選手! 2位にサインツ選手というフェラーリの1-2!

 とっても久しぶりな感じ! 新鮮です!

 そして、今回、僕が一番うれしかったのがハースの復調です。ハースのマグヌッセン選手が予選7位を獲得したんですよ!

 今回のレギュレーション変更に合わせてマシンの開発を進めていたので、ここ2年くらいの成績は、下位に沈みっぱなしでした。少ない予算をどのように割り振っていくのかという問題が、ハースのような小さな規模のチームには非常に大切な判断となります。

 そのような中で、今回のニューマシンの速さを発揮できたというのは、素晴らしい快挙と言えるんではないでしょうか!

 レース後の、小松さんとチーム代表のグンターさん。なんと、マグヌッセン選手が決勝レースで5位入賞! この2人の笑顔が、全てを物語っている感じもします。

 レース後の雰囲気をどうぞ!

 撤収作業が行なわれている中、チームメンバーにあいさつする雰囲気は暖かく素晴らしい時間。

メカニックの吉田さんと一緒に!

 小松さんに少し話を伺いました。

 今シーズン、テストから始まって、マシンの準備がものすごく大変で本当に大変だったそうです。

 そして、土曜日の予選。実は、マグヌッセン選手のPUにトラブルが出ていて、Q3に出て行くときには、1ラップのアタックができるかできないかギリギリのところで、もしアタック中にトラブルが出てしまったら、パワステが効かなくなる可能性もあって、小松さんとしてマシンをアタックさせるかどうか、非常に迷ったそうです。もしトラブルが出てしまったら怪我をさせてしまうかもしれない……。

 その可能性を、きちんと説明し、行くことに決めて1アタックできたときは、本当にホッとしたそうです。

 もう本当に、1つずつコーナーを無事にクリアしてくれという願い。

 予選後。
「アタックさせてくれてありがとう!」
「こちらこそ、素晴らしい予選をありがとう!」
 そういう会話があったそうです。

 でも、「こういうヒリヒリした感じ、すごく大好きなんですよね、僕」という小松さん、かっこいいですよね!

 いい表情です!

 最高の1枚になりました! 今シーズンのハースに注目ですよ!

 そして、フェラーリの優勝記念写真!

 今年のF1も、面白いぞ! 次戦は3月25日からのサウジアラビアです!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。