F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第117回:イタリアGPはフェルスタッペン選手が速かった! 特別カラーのフェラーリは地元で4位&5位獲得

 イタリアGP。3日間快晴でした。

 そんなイタリアでは、フェルスタッペン選手がポール・トゥ・ウインで快勝!

 絶対に諦めない、そんな気持ちが見えたように思いました。

 フェルスタッペン選手のQ3アタックラップ。僕はパラボリカで俯瞰から撮影してきました。この位置で、これだけイン側の縁石を踏んできたのはフェルスタッペン選手だけ。コース幅を1mmでも有効なラインで通過するためだと思います。

 コースレコードも記録したポールポジションのタイムは1:18.79。

 素晴らしいし、カッコいい! もうほれぼれ!

 スタート、1コーナーで曲がりきれず、縁石をカットしてしまうフェルスタッペン選手。その後2周目でノリス選手にポジションを入れ替えていました。

 4周目の2コーナー。首位に出たフェルスタッペン選手。思い切りのよさがカッコいい!

 その後は、徐々に引き離していくペースのよさがありました。

 角田選手。予選10位、レースのグリッドは9位。

 予選のフェルスタッペン選手との差は0.7秒。もう少し詰めたいところです。

 レース序盤は9位を走行していましたが、2コーナーで見ている限りペースが上がらず、前を走るクルマから遅れだしていました。

 タイヤをハードに交換してローソン選手と同じポジションで復帰。

 接触してしまい、フロアにダメージを負ってしまってペースが上がらず13位となりました。またしてもつらい結果となってしまいました。

 上が角田選手、下がフェルスタッペン選手。リアウイングの違いがわかります。フェルスタッペン選手のリアウイングの方が小さく見えます。

 この小さく削ったような仕様が1セットしかなかったのか、どうなのかわかりません。フロアも違っているという情報もあります。

 それが、どの程度レースのペースへの影響があったのか?

 また、ローソン選手との接触にしても、避けられなかったのか?

 ローソン選手はどのようなレースをするかというのは知っていたはずですし、同じようなペースでしか走れなかった理由はなんなのでしょうか?

 いずれにせよ、完璧なレースをやってのけて優勝し、フェルスタッペン選手は25ポイント獲得。13位で終わってしまった角田選手は0点。

 毎回書いていますけど、結果を持ち帰ることこそ将来につながります。アゼルバイジャンはなんとしても大きなポイントを獲得しなければなりませんね。

 2位と3位はノリス選手とピアストリ選手。

 チームオーダーによる順位入れ替えは2人が納得すればよしとしなければなりませんね。

 昨年の覇者、ルクレール選手は4位。

 ハミルトン選手は10番グリッドから6位入賞。

 フェラーリは地元GPでダブル入賞。特別カラーリングは美しいと思いました。

 上のハミルトン選手と同じ1コーナーのイン側から、ジャン・アレジさんのデモランを撮りました。

 どちらが、カッコいいと思いますか?

 僕は現代のF1の方がカッコいいと思います。

 ただ、アレジさんが乗ったこの1995年の412T2のV12エンジンの音は最高でした!

 ストレートからシフトダウンしてくるとき、なんと表現すればいいのかわかりませんが、とにかく素晴らしいのです。やっぱり、F1の魅力は音の部分が大きいよな~と思うのです。圧倒的な高揚感に包まれます。

 だって、鳥肌たつもの……こんなのが20台同時に走っていた時代があって、そりゃあその場にいるお客さんは感動したわけです。

 今の静かになったF1でも、それはそれでいいんだけれど、忘れかけてたところに、こんな素晴らしいV12の音を聞くとやっぱりこれだよなと思うのです。

 最近のニュースで、V8復活の大反対が現在のPUメーカーから出ているとありました。参戦の継続には、NAエンジンでは社内のコンセンサスが取れないし、これまでの投資や知見はどうなるんだというような問題があるのは重々承知しているし、わかります。

 でも、実際サーキットに来てレースを見るファンの立場や、個人的な気持ちはやっぱりNAエンジン、V8やV10のF1をもう一度見てみたいと思うのです。安く作れるし、軽くもなる。燃料を地球に優しいものでやればいいじゃないですか。

 そうはいきませんか……いきませんよね……。

 このマシンはアレジさんが唯一カナダで勝った年のマシン。そしてアレジさんは現役のときからあいさつをお互い交わせるほど仲良くさせていただいている方です。

 現役時代は、眼光鋭く、キレキレのスピードを見せてくれたし、絵になるし、たくさん写真を撮らせてもらいました。

 グリッドで小松さんと話すアレジさん。小松さんにあとで聞くと、小松さん自身がアレジさんのファンだったそうです。

 2人ともいい笑顔ですこと!

 今回も光る走りでした、アジャー選手。ピットレーンスタートから10位入賞で1ポイントを獲得。

 ますます、評価は高まるばかりですね。

 ボルトレート選手の評価もどんどん上昇中です! 予選8位、レースでも8位!

 今年デビューの新人です。ブラジルでは盛り上がっているんでしょうね。

 仲良しのベアマン選手とボルトレート選手、アジャー選手を含め、今年のF2からの昇格組は、みんな素晴らしいパフォーマンスを示しています。

 グリッドでフェラーリの人と話す小松さん。フェラーリとの関係もハースにとっては大切なパートナーですから、コミュニケーションは大切な仕事の1つになります。

 今回のハースは残念ながらポイント獲得ならず。アゼルバイジャンに期待しましょう。マシンのアップデートはオースティンを予定しているそうです。

 ハースのガレージは笑顔が多く見られるようになってます。チーム内の雰囲気は前向きでいい感じです。

 ドラパレに向かうハミルトン選手。フェラーリの地元で大声援を受けてました。

 チャンピオン・フェルスタッペン選手のチームメイトとしてレースができるのは、幸せであるとも言えるし、チャンスでもあると思うのと同時に、難しさも同じくらいあるわけです。

 残り8戦、角田選手の正念場が続きます。

 ホンダのスタッフのうち、若いメカニックやエンジニアはシーズンの途中に入れ替わりがあります。角田選手のPUを担当していた下の写真中央の八頭司さんは今シーズンこのイタリアで最後となりました。

 より多くの人がF1の現場でさまざまな状況を経験することによって、人材が育っていくんです。これは今はホンダしかできないことです。

 モーターホーム、チームホスピタリティーの最終戦は毎年このモンツァ。

 今回、木曜日のランチを小松さんに呼んでいただきごちそうになりました! スパゲティボンゴレとエビ! むっちゃおいしかったです!

さらに、日曜日のレース後にご飯食べる? って聞いてくれて、もちろん行ってきました。

 ボンゴレとタコのキャビア乗せ! ボンゴレもおいしかったけど、タコが自分史上のタコ料理の中で最高においしかった!

 ハースのシェフは元フェラーリで長くシェフをしていた人で、小松さんから絶大な信頼を得ています。

 宿泊している町にあるピザ屋さんで買ってきました。7ユーロ。やっぱりおいしい!

 毎年通っている海鮮レストラン。もちろんすごくおいしいです!

 サラダとタリアテーレポルチーニ、スパゲティペスカトーレ。

 最終コーナーのパラボリカの撮影台で毎年会う係の人。温かく迎えてくれます。

 コーヒーをごちそうになりました! グラッツェミッレ!

 今回の会場内のモニターに映っていた、バリラのコマーシャルがカッコよかった。

La rivalità si fa da parte.(60秒)

警察に捕まっているわけではないと思います。今回はいいレースでよかったですね!

 古いF1です。

 お久しぶりです、川合さん。

 オランダのレンタカーを返却するときの給油。ガソリン376円/Lでございます……。

 今回のレンタカーはルノー・クリオ。6速MT、ガソリン車。いいクルマです!

 リアゲートを開けるのにリモコンキーでしか開けられないのが唯一のなんでだろでした。

 朝、パン屋さんに行くときに出会ったDS。美しい!

 ティフォシの皆さんの応援するフェラーリは勝てませんでしたね。でも、ときどき勝てるからそのときまでエネルギーを温存しておいてください。

 次戦のアゼルバイジャンには行きません。写真映えするサーキットなので行きたいのですが、経費高騰で個人事業主としては残念ながら諦めました。

 ということで、僕の次戦はシンガポールになります! ではまた!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。