日下部保雄の悠悠閑閑
JAIAの輸入車一気乗り試乗会
2020年2月17日 00:00
北海道から帰ってくるといつも東京は暖かく感じるが、今年はそれほどでもなかった。自分が行っていた時期の東京と旭川の温度差がいつもより大きくなかったためかな。
恒例のJAIA(日本自動車輸入組合)の試乗会が今年も大磯で行なわれ、旭川から帰った翌日に行ってきた。インポーターの場合は試乗会を必ずしも開催するとは限らないし、追加車種などもあってこのような機会を設けてくれるのは大変ありがたい。
JAIAからは11月に開催時期のインフォメーションと参加確認があり、12月にインポーター側の試乗車が決まると、いよいよ試乗車を希望できるようになる。1日で5台の枠だが、ほかのジャーナリストと希望車種が重複すると抽選となる。今回はそれでも4台のリクエストが通ったのでホッとした。
最初に乗ったのはシトロエン「ベルランゴ」。1.5リッターのディーゼルエンジンだ。その後に乗ったシトロエン「C5 エアクロス SUV」は2.0リッターのディーゼルだった。媒体での取材と違って写真撮影がないので、80分の試乗時間はちょうどいい。ベルランゴは背の高いバンで、ルノー「カングー」のシトロエン版の感じだ。ベルランゴは自分の中では“カングー・カテゴリー”に分類された。
1848mmの全幅と1844mmの全高は予測していたよりひとまわり大きかったが、着座位置の高さで視界が開けており運転はしやすい。ディーゼルエンジンはアイドル時は多少ガラガラしているが、走り始めるとほとんど気にならないし、ディーゼルターボの常で当然トルクもあって走りやすい。1590kgの重量もエンジンにとっては余力がある。
リアシートは3つのシートが独立しており、個人を尊重するフランス車らしい造りだ。乗り心地はシートのクッションストロークがたっぷりしていて快適。シートはファブリックで、個人的には張りのある革製よりもこちらの方が好きだったりする。欧州車の中でもデザインが独特でフランス車らしい佇まいだ。ハンドリングどうこういうクルマではないが、長い付き合いができそうなクルマだった。
C5 エアクロス SUVは2.0リッターのディーゼルターボ。こちらは4500mm×1850mm×1710mm(全長×全幅×全高)で、ベルランゴとほぼ同等のサイズ。全高のみ少し低い。ベルランゴが商用車チックな成り立ちに対して、C5 エアクロス SUVは乗用車からの派生だ。シトロエンから連想する個性には乏しいものの、ソツのないところが誰にでもなじみやすい。こちらのシートはナッパレザーだったが、もう少し乗り込むと年月とともに本来の柔らかさが出てくるのかもしれない。
テスラ「モデル 3」は石川真禧照さんのドライブの横に同乗させてもらった。カードキーをセンターコンソールにタッチすると起動するのだが、たぶん自分でやっていたら一生駐車場から出られなかっただろう。
テスラにしてはコンパクトな全幅1849mmで、重量は1860kg(パフォーマンス仕様)。テスラらしいクリーンなデザインは、エクステリアだけでなくインテリアも同様だ。操作はセンターに立ち上がるタッチパネルからほぼすべてを行なうが、スイッチが見えないと体がムズムズする身としては、アウェイ感満載である。それでも、慣れてくると次第に積極的に触ってみようという気になる。このあたりは同乗者の気楽さだ。
BEV(バッテリーEV)らしく加速力は圧倒的。パフォーマンス仕様にするとさらに強烈で、制限速度まで瞬間移動する。もう慣れたとはいえ、BEVの加速にはいつもビックリさせられる。乗り心地は段差越えなどでドタバタと硬さを感じるが、持ち前の静粛性と相まってなかなか快適だ。
さて、お次はキャデラック「XT5 プレミアム」。テスラのスマートさとは違ったアメリカの伝統を背負ったSUVだ。全幅1915mmはアメリカではなんでもない大きさだが、日本ではやはりデカいし、久しぶりの左ハンドルも緊張する。4.0リッターV6エンジンで2tの重量をグイグイと引っ張るさまは、やはりアメ車だ。とはいえ、現代のアメ車はステアリングセンターがブカブカなんてことはなく、ドッシリして悠然と走る。乗り心地は上下収束もゆったりしながら不快な動きはなく、クルージングは心地よく快適だ。
大きな本革シートにチョコンと座る自分を想像すると「似合わないなぁ」と思うのだが、だんだん味が出てくるところはアメリカンステーキの旨さと通じるところがあるのかもしれない。
恒例になったJAIA試乗会のひとコマでした。