日下部保雄の悠悠閑閑
GR86/BRZ
2021年11月22日 00:00
袖ヶ浦フォレストレースウェイでGR86/BRZの試乗会が行なわれたのは7月。まだ正式な発表の前で、もちろんプロトタイプだった。サーキットなのでエンジン回転も高回転をキープしながらスピードも自由に上げられ、2.4リッターフラット4NAエンジンの気持ちよさも体感できた。
ぜひ普通の道も走ってみたいと待っていた公道試乗は、数多くのコーナーと路面が待っているいつもの箱根。
今回は旧知の竹岡圭ちゃんの圭Tubeに友情出演。おかげで彼女の枠も使ってGR86とBRZのATとMTの各2台ずつ計4台のスポーツカーに乗ることができた。
圭Tubeはバラエティの達人、圭ちゃんだけあって緩~くやっているのが持ち味。これまで何回か出ているけど、いつも圭ちゃんのペースに乗せられながら雑談の中でカメラが回っていく。油断していると余計なことまでしゃべりそうで危ない、危ない……。
2台のクルマを走らせてみるとキャラクターの違いは明快。結論から言うと繊細かつ穏やかなBRZとライトスポーツのダイレクト感を提供したいGR86。その方向がキャラクターの違いだ。
乗り心地では路面からのあたりはBRZが柔らかく、波状路でのサスペンションの追従性もBRZはしなやかだ。一方のGR86はリアからの突き上げが強めでライトスポーツ、GR86らしさへのセッティングがこのような路面では強めの衝撃となっているようだ。
ハンドリングもガラリと差がある。4輪を接地させてロールへの移行をしなやかにバランスさせようとしているのがBRZだとすると、GR86はクイックなステアリングレスポンスとリアのロール剛性を高めたサスペンションでガツンと曲がっていく。
ハンドル応答性ではGR86はレスポンスが高く感じられる。少し大きめに切り、反応したところからさらに切り増すというイメージだ。BRZではわずかなハンドル操作でジワリと舵が効き出す。操舵力もそれほど大きくないという違いがある。
コーナリング中ではGR86はフロントのバネが頑張りぐんぐんと旋回する。BRZはしなやかな動きで少しアンダー気味の姿勢を維持する。いずれもコーナーでのグリップは高く、安定性はこれまでの86/BRZに比較すると格段に高い。
エンジンは同じだが、わずかにセッティングが違う。アクセルのゲインが高い。GR86に対してBRZは幾分穏かに感じる。この2台は乗れば乗るほどいろいろ奥が深くて面白い。
BRZはグランドツーリングの延長線上にスポーツカーを想定しているようで、穏やかなクルマの動きにそれが現れている。路面からのあたりが柔らかい乗り心地、4輪をグリップさせて素直にコーナーを走り抜ける姿勢、ジワリとしたアクセルワークの反応にもそれが感じられる。
GR86はガラリと変わって反応がシャープだ。ドライバーが姿勢を積極的に作りながら走らせる味付けは先代の86からのDNAを受け継いでいる。
どちらがよいということではなく、ドライバーがスポーツカーに何を求めるかによって好みが分かれるのだと思う。
例えばサーキットをイメージして流れるように走らせるとすればBRZはとても安定して走れるに違いない。一方GR86はガツンとハンドルを切れば、グイとノーズを入れて曲がっていく。後輪はタイヤのキャパ次第だがグリップを維持してドライバーの次の反応を待っており、それ次第でどのようにも反応する。
車内では真剣にGR86とBRZのハンドリングについて意見交換をした、わけはない。会話はしょうもないことばかりで、とても世間様には聞かせられませんでした……。