日下部保雄の悠悠閑閑

フリードで新潟へ

今回の旅のお供はフリード AIR e:HEV。全長×全幅×全高は4310×1695×1780mmのコンパクト3列シート。ちゃんと6人乗れる。2人乗車で新潟往復の燃費は19km/L台。上り下りの多い関越道でいい値だと思う

 フリードはガソリン車には試乗したが、e:HEVはまだ乗っていなかった。そこでe:HEVを乗っておこう、そしてどうせなら長距離を……とプランは膨らみ、今年行けていなかった新潟の長岡に墓参りすることにした。日帰りプランは家族に却下され、湯沢に1泊で承認された。1泊ならと今回も家内が同行することになり道中退屈しない、かな。

 それでもかなりのロングドライブ。往復600kmはありそうだ。果たしてコンパクトミニバンの強行軍に耐えれるか、自分が……。

 e:HEVはe-POWERのようなシリーズハイブリッドに近く、EV走行を主体としながらエンジンも駆動にひと役かうパラレル走行も行なうというホンダ独自の2モーターハイブリッド。

 走行直後はEV走行。バッテリがミニマムになったり、加速が必要になったりすると1.5リッター4気筒エンジンが始動して発電するが振動や音が小さい。加速時に面白いのはシフトアップする変速感があることだ。擬似的な演出だがちょっとうれしい。

 エンジンの存在を強く感じるのは長い登坂路。連続してエンジンが高回転になると音が大きく会話も遠慮がちになる。関越道路は坂が多いのだ。

 足まわりは締まってコンパクトらしい節度感がある。先代で感じたサスペンション系の遊びの動きに無駄がなく、思うようにラインをトレースし、ステアリング応答性もそれに応じて素直だ。乗り心地もハンドリングもバランスがよい。

 視界のよさもなかなか気持ちがいい。大きなフロントウィンドウと低いウエストラインでキャビンが明るい。そして左右の死角も少ないために安心感が高い。とにかく運転しやすい。

 乗り心地ではシートもよくできている。以前はシートフレームが身体に合わなかったがシート全体で身体を支えて格段に疲れは少なくなった。

フロントシートはホンダらしいクリーンなデザイン。インフォテイメント系も使いやすい

 家人は助手席から後席に移動しても足下が広いためゆったりと座り、大きな窓から外の景色を眺めている。珍しく居眠りしないと思ったら寝ていました。

2列目から眺めたフロントシート。上方を絞ったデザインで前方視界もひらけて明るい。シートバックはスマフォ入れなど少ない空間を有効活用しているのは軽譲り

 3列目は狭いが、爪先を2列目シートの下に入れることで大人が座れるスペースを作り出す。2列目を少し前に出す必要はあるがパッケージングはホンダらしい。

サードシートは右の2列目シートを少し前に出すとレッグルームが現れる。爪先が入るので意外と広く使える

 ACCとレーンキープはバランスよく機能する。ただ、前車を捉えるのはタイムラグがあるのが気になる。

 フリードは突出したところはないが性能の隙間をきっちり埋めたソツのない仕上がりだ。

ラゲッジルーム。3列目を使用しても小型のスーツケースが入る。使わないときは跳ね上げ式で収納する

 おかげで湯沢の温泉で身体を伸ばせたし、ご先祖さまの計らいか雨が一瞬やんだ中、墓参りもできた有意義なロングドライブでした。

赤城高原SAで休憩。往路の関越トンネルに入る前は青空が広がっていたが、トンネルを抜けると低く雲が垂れ込めていた。雪じゃなくてよかった
湯沢温泉 一望千里と謳う湯宿の中屋さん。部屋からは谷川岳が望めた
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。