日下部保雄の悠悠閑閑
ラリージャパン2024
2024年12月2日 00:00
出張とプライベートの旅行が連続した10~11月。ラリージャパン2024の週末がやってきた。出張続きにどうしようかと迷っていたが、チャンピオンを争うヒョンデから「待ってますよー」の声に背中を押されて日曜日のDay4に行ってきた。結果、やっぱり行ってよかった!
ドライバーズもマニュファクチャラーズもタイトルは最終戦にもつれ込み、ドライバーはヌービル選手を同じヒョンデのタナック選手が激しく追い上げ、マニュファクチャラーズもヒョンデ優勢ながらトヨタにも一縷の望みがあるというラリージャパンだ。しかもラリージャパンのコースは誰もが口をそろえて難しいと言うほど、何が起こるか分からない。
豊田スタジアムでスーパーSS(SSS)を観戦する。スタジアムは多くの観客が上から観戦できるという普通のSSとは違ったメリットがあり、距離は短いがラリーにとって重要なステージだ。アスリートが走るコースをクルマが走るのだから狭いに決まっている。その限られた条件でもドライバーはテクニックを駆使してタイムを競う。
コースを2周しても距離は2.15km、トップタイムは1分42秒~44秒。金曜日を除いて1日1回ずつ行なわれるので3人のウィナーがいるからタイムは複数ある。
最終日のSSSウィナーとなった勝田貴元選手の360度ターンは見事だった。円柱にノーズをこすりつけるように、それこそカナードが円柱を切り裂くようにピタリと張り付いていた。
コース幅も去年より広く、コースが交錯するジャンピングスポットも滑らかな角度でかなり走りやすかったと思う。サッカー場の芝をはがして張り替えた路面は滑りやすそうだが、その中でもリアを流しながら駆け抜ける。平均速度は74.35km/h。ストレートでは140~50km/hは優に出ていそうだ。最終コーナーはテールアウトのゼロカウンターで直線に入ってくる姿はラリー車らしい。
2日目にトラブルから大きく順位を落としたヒョンデのヌービル選手はこのSSSでも全開。1コーナーで左リアをバリアにぶつけて、タイヤから煙を上げながら2秒遅れの1分46秒で走り切った。
豊田スタジアムでのSSSは残念ながら今年で終了。来年からは岡崎に場所を移し、初のナイトステージが設けられることになりそうだ。
さて今シーズン終盤から調子を上げ、Day1から絶好調のタナック選手はDay4が始まった直後のSS17でコースアウトしてリタイア。びっくりだ。
ヌービル選手は順当に完走すればタイトルが取れそうだが、マニファクチャラーズタイトルは3台が堅調に走っているトヨタに対してヒョンデ優位の状況は逆転。現在のWRCは最終日もコンペティターにしっかり走ってもらうためにポイント比重が高くなっておりヌービル選手も気が抜けない。
結果、最終SSを終了した時点でドライバーズタイトルはヌービル選手が確定。そしてマニュファクチャラーズタイトルは今シーズン不運が続いたオジエ選手がベストタイムを出し、エバンス選手、勝田選手も走り切って僅差でトヨタが逆転した。なんとドラマチックな幕切れだったことか!
ヌービル選手、念願のドライバーズタイトル! そしてマニュファクチャラーズの激闘を彼ららしい勝ち方で制したTOYOTA GAZOO Racing、おめでとうございます!
WRC2クラスではシトロエンの「藤原とうふ店」カラーのシトロエンC3ラリー2のグリアジン選手が優勝。来年TGRでラリー1に乗る若手のパヤリ選手がGRヤリスラリー2で2位。新井大樹選手は9年落ちのシュコダ・ファビアR5で3位に入ったのは素晴らしい。
2024年最終戦はいろいろな意味で印象に残るラリーだった。ラストとなるトヨタスタジアム、ピレリ、ラリー1のハイブリッドシステム、そしてミシェル・ムートンさんもFIAセーフティデレゲートを引退する。女性でチャンピオン争いをした名ドライバーの最後の任務が日本だった。感慨深いラリージャパンでした。