日下部保雄の悠悠閑閑
CX-80 PHEV
2024年12月30日 00:00
秋にディーゼルとマイルドハイブリッドに試乗したがさらにPHEVにも乗る機会があった。CX-80のトップモデルで価格も639万1000円からとなる。PHEVに採用したバッテリ電力量は17.8kWhでEVでの航続距離は67kmとしている。このクラスの他社のPHEVに比べると少し短い。
例えば22.7kWhのバッテリを搭載したアウトランダーPHEVは106km(Mグレード)でWLTCモードで100km超えを達成した。バッテリの電力量は価格に跳ね返るがマツダは約18kWhあたりが航続距離と重量、価格、そしてパワーのバランス点だと判断したようだ。
エンジンはCX-5やCX-8に搭載しているロングストロークの直列4気筒2.5リッターエンジンを低中速トルク志向の出力特性として、その後ろにクラッチ置き129kW/270Nmのモーターとプラグインハイブリッドのユニットを配置、さらにその後ろにクラッチを置いてトルコンレスの8速ATを介して動力を伝える。
トルコンレスでパワートレーンは軽く短くできるがクラッチ制御が難しく、モーターとの統合制御は複雑そうだ。しかし試乗中はパワートレーンがギクシャクすることもなく自然体で乗れた。トルコンのような滑らかさだ。
加速も大出力モーターが力強い。エンジンとモーターの総合出力でかなり速いし、NAエンジンは低速トルクがありハイブリッド向きだ。
バッテリが十分なら基本的にはEV走行で静粛性は高い。CX-80のディーゼルエンジンは走り出しで聞こえる独特なノイズもない。スッと前にでる。
そのかわりに減速して停止する寸前でヒュルヒュルヒュイ~ンと聞こえる不思議な音はインバーターノイズだろうか?
乗り心地は柔らかいが工事中のウネリなどを通過すると大きな上下動があり、伸び側の減衰をわざと緩くしているように感じた。個人的にはもう少しサスペンションストロークがほしいなあ。
3120mmもあるホイールベースだけにゆったりと乗るクルマだが、走りにこだわりのあるマツダらしく、一体感のキビキビとした走ると大きな居住空間を活かした豊かな走りをバランスさせる努力をしているのが見て取れる。
明るく質感の高い室内はタン内装でソフトパッドに囲まれて落ち着く。ドラポジにこだわるマツダは足がスッと伸び、広々と感じるが右足を少し左気味に置く癖がある自分にはブレーキとの距離が遠くなり最初は戸惑った。乗り慣れると規則正しく乗れそうだ。
インターフェースはできることも多いが表示されるアイテムとともにもう少し整理した方が使いやすくなる。
難癖付けているように見えるがそうではない。何かとインスパイヤしてくれるCX-80だけに余計に気になるのだ。
CX-80はいくつかのバリエーションがあるが、実は素の3.3リッターターボディーゼルが一番気楽に乗れて好きだ。
しかしそれだけでなく多彩な技術に向き合っているところがいつの時代も変わらないマツダらしさを支えている源流だ。